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「ちょっ! ラーゼ!!」


 ウサギっ子の声に焦りが見える。なにせ何とかリセットして私たちは繰り返してるわけだけど、流石に始祖の龍だって何回も遊ぶつもりはないらしい。こっちがこざかしく逃げてるけど、向こうもこっちの逃げ……に対して擦り合わせてきてる。そもそもが始祖の龍の攻撃が当たる――という運命からすり抜けてたわけだけど、今回はそれが無理みたいだ。今まさに始祖の龍の攻撃が当たる運命が私たちの運命とかっちりとかみ合ってしまったんだろう。

 少しずつ、かわすのが苦しくなってるのはわかってた。けど何か対策をする前に次に行くしかなかったわけで……これは必然なんだろう。始祖の龍の攻撃に当たるのはまずい。いや、私は良いけどさ。私はまだ生きられる可能性がある。

 なにせ同じ始祖だし……実際「死」は体験したことないし……怖いが。このままでは確実にウサギっ子が死の運命によってなくなるだろう。なにせウサギっ子はまだこの宇宙の……現宇宙の存在だ。つまりはその生も死も始祖の龍に握られてるのと同義。けど私は新生宇宙側の存在だ。この現宇宙とは既に離れてる。

 だから私の『死』をこいつが決める事は出来ないだろう。いや、始祖だから始祖を殺せると思うよ。けど、まだこの始祖の龍は私が始祖だとは感づいてないんじゃない? それなら始祖を殺すほどの事はしてないだろう。


「ごめんウサギっ子」


 私はそういってウサギっ子をパクッと食べた。ずっと食べたいちゃい……とは思ってた。けどそれはこんな物理的な意味ではなく、もっと性的な? そっちの意味だったんだけどな。まさか本当にウサギっ子を物理的に食べる日がくるとはね。私だって予想外だよ。


 けど……これしかない。だって避けられないんだ。もう『死』は確定してしまってる。ならばどちらかがここで死なないとだめだ。そしてそれは……死の先に行ける可能性がある始祖である私しかない。


「何やってるの!? あんたそんな奴じゃないでしょ!!」


 ウサギっ子が私の中でそんな事をいってる。まあ確かに、ウサギっ子はよく私の事をわかってるよ。私は本当はこんな自分を犠牲になんてしないって言いたいんでしょう? 私が一番大切なのは自分だって……その通りだよ!! 私は一番自分が大切だ。そんな当然で当たり前だろう。

 誰だって自分が一番大切……そんなの決まってる。けどさ……


 私は自身の中に龍じゃない私自身を投影する。裸の私だ。けど大丈夫、体の大部分は光によって見えないようにしてます。


「ウサギっ子。貴方は生きて」

「ラーゼ……なんで……私はあんたに感謝なんてしないわよ!」


 そんな事をいって私の胸に額を押し付けてきてポカポカ殴ってくるウサギっ子。まったくかわいい奴め。こんな姿が見られるのなら、死の一つくらい受け入れてやってよかった。


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