&430
アクトパラスの奴が二度も復活した。どっちも確実に始祖の龍によって食われたはずだ。喰う動作自体はしてない。そんな事をせずとも始祖の龍ならばどんな攻撃でも敵を食える。そしてアクトパラスは確実に二度……食われたはずだ。なのに復活した。そんなにアクトパラスは特別なのか? 確かに元からアクトパラスはしぶとかった。そして不死性が元からあいつにはあっただろう。けど……始祖の龍はこの宇宙の理だ。
一つの神の力を抑え込むことなんて始祖の龍にとっては造作もない事のはずだ。だから本来ならアクトパラスは死んでるはずだ。きっとそのカラクリはゼンマイにある。アクトパラスは二度死んだ。それをもしもなかったことに出来る……というのならそれは一体どんな理屈だ?
「あのバカ」
私はせっかく復活したアクトパラスが再び始祖の龍へと向かってるから、背後から始祖の龍に攻撃をする。なにせちょっとは始祖の龍もアクトパラスに関心を持ったようだ。自身が二度も直接くだいたのだ。それなのに何度も現れるこいつはなんだ? と始祖の龍は思ってる。
ちょっとだけワクワクしてるのかもしれない。なにせおかしいからだ。もしも……もしも二度の奇跡で命を拾ったのかもしれない。でも、それならなぜこの矮小な『神』は向かってくる? それがわからない。分からないから、もう一度壊してみよう――と思った。始祖の龍の意識はアクトパラスにだけ向いてた。
だから背後からの攻撃に対して気づかなかった。いや、そもそもが始祖の龍はたいていの攻撃がきかない。だから気づこうが気づかなかろうが関係なんてない。そのはずだった。でもこの宇宙で唯一、始祖の龍にとって攻撃を通せる存在がいる。それがラーゼが変化した美しい龍だ。
そして今の攻撃はそのラーゼの攻撃だった。美しい光……そして周囲にどこか心が静かになるような音が響く。それこそ特別。特別な攻撃だった。この宇宙にとってあり得ない力の波動と衝撃。この現宇宙の力なら始祖の龍がすべて飲み込むことができる。でもラーゼの力は別だ。
けどそれでも……始祖の龍は食おうとする。なにせ今まで感じたことがない味がするのだ。だからこそ、始祖の龍はこの力の味も好きだっだ。




