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&426

(もうにげたい)


 始祖の龍と戦い始めてなんどそう思ったか? もう数えるのも億劫になるほどだ。すでにこの現宇宙の辺境のほとんどを食い散らかしてしまったかもしれない。そんな中、ついには……


「あれが始祖の龍か!」

「あの龍はなんだ? あれも始祖ではないか?」

「始祖と始祖のぶつかり合いってか? 燃えるぜ!!」


 そんな風にアクトパラスとゼンマイがいってる。まあコイツ等は逃げないよね。実はなんとか私の宇宙の方から遠ざかるように動いてたんだけど……結局全てを破壊する気の始祖の龍なんだから、その誘導もあんまりいみなかった。

 実際アクトパラスとゼンマイがどうなろうが知ったこっちゃない。私の安否の心配を一切しないようなやつはもういいよ。けどコイツらの宇宙の奥の奥、豆粒みたいな場所は私の現宇宙の領地なのだ。私の宇宙。

 実際、もうようはないというか? けどあそこには聖杯がある。聖杯を現宇宙から新生宇宙に移動させたいわけだけど、今はまだ……一応現宇宙とのつながり的な物の為に取っておいたわけだ。でもこのままでは現宇宙の私の宇宙ごと、始祖の龍に破壊されることになるだろう。

 てか始祖の龍が聖杯を取り込んだらどうなるんだろうか? やばいことにならない? それもちょっと心配ではある。まあすでにアホみたいな力をもってる始祖である。今更聖杯を取り込んだ所で……と思う反面、不安もやっぱりあるよね。下手したらここから更に超強化されたりさ……


 聖杯は宇宙のバグを使ってエネルギーを永遠に生み出すという反則チックな代物である。そして始祖の龍も当然反則的な存在。なんかかけ合わせたら相乗効果がでそうじゃない? 

 不安だ。実際、アクトパラスとゼンマイなんかよりもよっぽど不安である。そもそもが始祖の龍と対峙した時点でアクトパラスもゼンマイも終りというか? この2人が生き残るためには私が戦ってる間にどっかに逃げる……しか道はなかった。もっと強い神に庇護を求めるしかなかった。


 実際、これまで始祖の龍が壊してきた辺境の宇宙の神は大抵がそうやってたと思う。慌てて逃げ出してて立ち向かって来たのはそんなに多くない。それに立ち向かってきてた神やら竜はどいつもこいつも一瞬で魂から消えてるからね。勝負になんてなってない。

 そういう情報くらいアクトパラスもゼンマイも持ってるはず。なのに……立ち向かうとは。


『逃げろ! 貴様たちは相手にならないぞ!!』


 どうやらヴァラヴァレレイドが警告を2人にしてくれたみたいだ。けどここに……始祖の龍にまだヴァラヴァレレイドが立ち向かってるのを見てゼンマイが『ヴァラヴァレレイド?』――となんか意味深に呟いてその試験管の無数の目玉がぐるぐると回る。

 けど思考の深みに入ってる場合じゃないと知らせるように、始祖の龍が一吠えた。今から貴様たちを食べる……と宣言してるようだった。

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