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「逃げる……どこに？」

　始祖の龍はアーミュラに手を出されて怒ってる。この現宇宙はめっちゃ広大だけど、それと始祖の龍から逃れる事ができるかといえば……はっきり言って始祖の龍なら宇宙の広さとか関係なく追ってきそうな気がする。きっと始祖の龍はそのくらいできる。

　だって始祖なのだ。この宇宙は成長してるから私の新生宇宙なんて目じゃないくらいに広い。それでも……始祖の龍からは逃れられない気がする。かといって戦って勝てる気もしないんだよね。

　つまりこれって詰んでるのでは？

「二人共大丈夫？」

『いったい……』

『何が？』

　ルドルヴルヴもヴァラヴァレレイドも何が起きたのか理解できてなかった。まあ見えてなかっただろうし、頭が破裂しそうだったからね。記憶にも影響がでてるみたいだ。どうやら始祖の龍はただその強大すぎるエネルギーを放つ……というだけの攻撃しかしないとかないらしい。

　もっとエゲツない攻撃だってできる。ただ野生らしくその圧倒的な力を押し付ける方法を好む……というだけなんだろう。なにせ始祖の龍ほどの力があるなら、複雑な事なんて考えなくて、その力をただぶつけるだけで大抵の奴らは粉砕できるだろう。

　それで良かったし、それで間違いなかった。どんな世界もそれで壊して来たはずた。じゃあ、なんでここでちょっと違う攻撃を出したかの？　それはきっと始祖の龍の内部にはないよね。

　私は始祖の龍が抱えてる神へと目を向ける。アーミュラ……

「私達友達……だったよね」

　私はそう呟く。私の神としての始めての友達はアーミュラだったといえる。私の魂をあの星に転生させたのも彼女だ。アーミュラは私が神にまでなるなんて思ってなかっただろうけど、そう考えると私達の付き合いは長いのだ。

　私的にはアーミュラには感謝してもしきれないくらいだと思ってる。可愛い容姿に、剣と魔法の世界に行けて、そして神にまでなった。そのきっかけをくれたのはアーミュラだ。神になってもアーミュラにはお世話になった。神の役割やマニュアルをくれたのだって……まあマニュアルはアクトパラスたちから間接的にもらっただけだけどさ。

　でもアレのお陰で色々と助かったのは事実だ。アーミュラは悪いやつじゃない。それに自分の宇宙も好いてた。アーミュラだってこの宇宙を壊したくなんてない筈。けどいくらパートナーだったとしても、直接的にはアーミュラは始祖の龍を止められないんだろう。だからよりそってる。

　アーミュラは賢い神だ。決して愚かじゃない。ならばそれにだって意味がある。アーミュラはまだきっとこの宇宙を諦めてないと思う。でも……少しくらいのアドバイスはほしいよ。切実に……察してって嫌われるからね。