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『ヴァラヴァレレイドはなるべく力を込めた遠距離攻撃を始祖の龍に叩き込んでください。その際、あれを狙う必要はありません。むしろ全く違う方向にその攻撃は放つのが良いでしょう』


 そんな声が聞こえてきた。ありがたい指示である。きっとこの指示は私に聞かせてるために、声……としてヴァラヴァレレイドに届けてる。古龍たちはそれこそ、思念を飛ばして大体会話してるわけだけど、新生宇宙にいる私にはあの白い古龍はどこにその思念を向けたらいいのかわかんないだろう。

 だから私にも聞かせるためにも白い古龍は『声』にしてるのだ。宇宙に空気はないから、振動で声を届けてるわけじゃないけど、私達神だって普段はそこら辺意識しなくても、なんか喋ってるからね。

 普通の生物というか、存在じゃない私達は音ではなにかできっと声を受け取っているんだろう。きっと神の超パワーだと思われる。でも全く別の方向……ね。なにかあるのか?


『それと、ヴァラヴァレレイドへの力の分配はやめてください。こっちに全てを回してくれませんか?』

「それは……ヴァラヴァレレイドに死ねと?」

『あら、反応をくれて嬉しいですわ。そんなつもりは一切ありません。別にヴァラヴァレレイドには突貫をしてほしいわけじゃない。後方からあの子達の援護をしてほしいのです。ならば、必要なくないですか?』


 どこにいるか知らないが……白い古龍はそんなふうに言ってくる。確かにこの白い古龍の言ってることもわかる。わかるよ。後方なら別に私の力なんてヴァラヴァレレイドには必要ないって言い分もわかる。多分だけど、援護を求めてる……というのもただのポーズなんだろう。

 別にヴァラヴァレレイドの攻撃で始祖の龍になにか痛手を与える……なんてこいつらは思ってない。だからそんなことに私の力を分散させるよりも、もっと密度を上げたいってことだ。そしてそれは古龍である私達に使うべきだと……そう言ってる。


『それで良いですよ。仰せのままに』

「ちょっ!?」


 なんということか、ヴァラヴァレレイドの奴この無茶な要求を受け入れてるじゃん。確かに後方だけどさ……油断なんて出来ないよ? だって相手は始祖の龍だ。はっきり言って始祖の龍にとっての攻撃範囲? っていうの? それって実際どこまでか? なんてのは誰もわかんない。いや、最悪を想定するならば、始祖の龍はこの現宇宙なら全てを攻撃範囲に含めることが出来たって、何もおかしくない。ただ今はそれをしてないだけで、私的には『始祖』にはそれができる。

 だって私だってその気になれば新生宇宙の全てに目を光らせるとかできるし……ならば同じ始祖である始祖の龍が出来ないわけはないだろう。つまりはどこにいたって油断は出来ないってことだよ。

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