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最後の一撃……それをゼーファスは打ち込もうとしてる。それに合わせて、ヴァラヴァレレイドも力を放とうとしてる。自身と、そして私の新生宇宙の力を乗せた。一撃だ。それはかなりの痛痒を始祖の龍へと与える事はできるかもしれない。
でも……それで滅せる事ができる……とは思えない。だって同じように始祖の龍もその力を高めてる。今、始祖の龍はその体の内側から変質したゼーファスを出し、そしてそんなゼーファスから叩かれてるから、その黒い体に白いヒビが全身に広がってる。
それだけ見たら、かなりダメージを始祖の龍がおってるように見える。だって始祖の表面がかなり砕かれてるようにみえる。きっと周囲の神たちはあと一発……あと一発で始祖の龍は砕け散る……とおもってるのだろう。
でもそんな訳はない。始祖の龍の力は見た目ほどに減ってない。いや、むしろ大きくなってる。きっと周囲の神たちは始祖の龍の凶悪な力に当てられてて、その強大さは見えてないのだろう。
恐怖に……神の目が曇ってる。でもきっと繋がってるゼーファスはわかってるだろう。それでも攻撃を止めないのは、ゼーファスは死を覚悟してるから。あの状態から戻る事はできないから、少しでも爪痕を残すために最後の一撃を打ち込む気だ。
「けど、始祖の龍が甘んじて受けてくれるというのなら、こっちも仕込んでよう」
あれでやれる……とは思わない。けど仕込んでおいて損はない。なにせ……始祖の龍は何回もゼーファスの攻撃を受けてる。実際、始祖の龍がやる気になれば今のゼーファスを引き剥がすことだってできると思う。でもそれをやらないのは始祖の龍にとってゼーファスの攻撃が脅威じゃないからだろう。
始祖の龍は自分の事を絶対的な上位の存在だと信じて疑ってない。まあそれは事実だ。現宇宙では間違いなく始祖の龍は絶対的な上位の存在だ。それは神よりも……龍よりも上だ。
だから始祖の龍にとってはゼーファスのこの決死の攻撃もただの児戯……だから受けてる。面白いことをやってる……くらいに思ってる。でもそこで私が仕込む。何も考えない始祖の龍と、考える始祖である私。
本当は邂逅する必要なんてないんだろうけど……私は元の現宇宙に関わりすぎた。だからただ滅んでいく……滅ぼされて行くなんて、関係ないなんて出来ないんだよね。
ゼーファスの決死の一撃と、放たれたヴァラヴァレレイドのブレス。それによって全宇宙が振動するような響きが周囲を満たす。同時に、始祖の龍から生えてたよう白いゼーファスの体が散っていく。
『皆……この宇宙を頼む……』
そんな声がすべての神に聞こえてた。




