Σ59
弾丸が当たった箇所が凍ってく。けどそれがどうした? と言う感じで少女はこちらに飛んでくる。けどそれをグルダフさんが阻む。上からかかと落としを少女の背中に食らわせる。曲がっちゃいけない方向に背中が曲がったように見えた。そしてその勢いのままに、地面にめり込む少女。その衝撃は凄まじく、地震の様に地面が揺れた。
だけどそれでも少女は止まらない。直ぐ様グルダフさんに体当たりして、彼をふっとばす。そしてそのままこちらにきた。
「お姉さん! そろそろ食べさせてよ!!」
直ぐ様こちらに向かって来る少女に向かって、私は銃を撃ちまくる。色々と試すけど、少女はどれも意に返さない。貫通力を高めたり、爆発力を付与したり、着弾地点から蔦を生やして拘束したり……どれも意味はなかった。
(傷ついたって止まらない相手をどうしろって言うのよ!?)
恐怖が迫ってくる。こんな目の前で意味なんてないかもだけど、再び私の手には分身を作るカードがある。てか他のを選んでる時間はない。私はカードをセットして再び引き金を引く。地面に穿つ三つの弾丸。そしてそこに私の分身が三体出てきた。でも分身は動いてくれる訳でも、ましてや戦ってくれる訳でもない。本当にただ突っ立ってるだけだ。
(こんなバレバレな状況でこんなのが効くわけ――あれ?)
鉄血種の少女が止まってる。頭を私を含めて四つの私を見て戸惑ってる? いやいやいや、私ポーズ違いますけど? 三人突っ立ってて、一人違うのって可笑しいでしょ? それ本物でしょ? けど少女は何度も頭を巡らせてる。
(どういうことこれ?)
流石に動くとまずそうだから、動かない様にしてる。けどここまで来ると動いてみてもいいかも? とも思う。もしも……もしもだよ……動いてもこの少女が本物がわからないとなると……それって……それって……
(ヤバイ……頭がこの状況についてかないよ)
そもそも私はそこまで頭良くないし……普通なんです。身体動かす方はこっちで鍛えられたら、自分の未知の才能が開花したのか、それなりに良かった。けどやっぱり頭の方は普通だった。そんな私にはこの状況を分析なんて出来ないよ。
(ゼロ……お願い!)
こうなったらゼロ頼みだ。けど声も出せないし、分かってくれてるか分からない。いや、ゼロは常にこの戦場を見て思考してる筈だ。信じよう。大丈夫、グルダフさんが来てくれる筈。そしてその思いも届いた。戸惑ってる少女にグルダフさんの拳がめり込む。一気に上に飛んでく少女をグルダフさんが追って飛ぶ。そして追いついて空中で攻防戦を少しした後に、更に少女を地面に叩き落とす。
ちょ……ドラゴン○ールか!?




