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β9

「少し宜しいですか?」

「はあ……」


 一番先頭のその人は真っ赤な赤髪に、深い黒い瞳で長身痩躯のイケメンだ。何やら胸の辺りに軍隊の勲章バッジみたいなのがついてるけど、この人達は軍隊の人じゃないよね? 皆さんの胸には同じ様なバッジが見える。けど、軍事訓練受けてる生徒たちは別校舎だしな……いや、ここはその人達も使うんだけどね。けどお昼休みが違うんだ。

 だって既にこの有様だよ。向こうの校舎の人達までも重なったらもう戦場……いや、既に戦場だけどこれが更に酷くなる。それは流石に不味いとなったんだろうね。それならこの人達は……皆の反応が一目置くようなそんな感じ。これはさっきまでの話の流れからして……

 

「私達は生徒会です。今話題の貴女に興味があるのですが、話を聞いてもらっても構いませんか?」


 やっぱり――と思った。でもタイミングいいね。実はどこかで話し聞いてたのでは? そんなタイミングだよ。

 

「えっと長くなる話ですか?」


 私はアミーさんをみてそして自身の目の前にある食べ物をみる。まだ半分以上残ってる。これから午後の授業の事も考えると、これを食べないなんて選択肢はない。でも基本話しながらの食事って行儀悪いとか、目上の人がいる場合は許可を貰った上でないと食べれないとかある。まあただのマナーだし、口うるさく言うのなんて一部の貴族の中の高飛車で高慢ちきな奴だけ。

 けど生徒会なんて偉そうな組織の人達の中にはそういうやつがいそうな気がする。そうなると私のお昼が……そう思ってると、銀髪の美しいその人がクイクイって赤髪の人の袖をひっぱる。そして何やら耳打ちしてる。

 何あの人……可愛すぎでしょ。あの銀髪の人は普通よりもスカートが長いけど、ダサいなんて思えない。寧ろ清楚感が漂ってて素敵だ。しかも耳打ちするために踵を地面から離して耳打ちするその姿……周りの男子生徒達がまどろんだ顔してる。

 

「えっと、それじゃあご一緒しても良いかな? 私達も腹ごしらえしないとだしね。そうやって談笑しようじゃないか」

「まあ……それなら」


 そうして、私達が座るテーブルは何やら皆の注目の的の様な感じになった。だって常に視線を感じるし、前を通ろうとした人達が「ひっ」とか言って遠回りしてくくらいだよ。うん……なんかいつも美味しい料理が美味しくない。生徒会の皆様は中々に楽しそうだし、それにアミーさんも普通に参加してる。けど私は……静かにするしかできない。

 そもそも私に会いに来たとか言ってた割には放ったらかしなんですが……そう思ってるとなにやら黙々と食べる私の皿に青い豆が運ばれてきてた。銀のスプーンの先には白く細い指がある。そしてそれを辿って行くと、バチッと犯人と目があった。するとペロッと舌を出して笑う彼女。

 

(可愛すぎでしょ)


 そんな顔されたら青豆くらいじゃ怒れないよね。

 

「それで皆様はキララさんにどんな御用なんですか?」


 私の代わりに確信を突いてくれるアミーさん。流石私の親友。勝手に親友認定したけど、アミーさんなら許してくれるだろう。

 

「そうだね。単刀直入に言おう。君は生徒会に入るべきだ」

「はい?」


 勧誘ではなく。確定事項なのかな? こんな大勢の前で人気者の生徒会メンバーからの誘いを断ったら、私調子乗ってるってなるんじゃない。いや、ここで了承してもそれはそれで調子乗ってるってなりそうな気もする……一体……私はどうすれば!? 

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