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第十三章 初めてのダンジョン探索

 時はあれから数分後。

 場所は件の洞窟――最奥。


「ふむ、やはりこの先から魔物達の気配を感じるのじゃ」


 と、言ってくるのはカルラだ。

 彼女は壁をコンコンしながら、フレイへと言葉を続けてくる。


「この壁、結構厚いみたいじゃが……まったく、壁壊さないと入れないダンジョンとか、面倒すぎるのじゃ!」


「まぁ、まだ見つかってないダンジョンだから仕方ないよ。僕やカルラみたいに、気配に敏感な人じゃないと気がつかないだろうし」


「むぅ……それでフレイよ。この壁、どうするのじゃ?」


 と、今度は壁をケリケリしているカルラ。

 彼女が言いたいことは、フレイにもよくわかる。

 なぜならば。


 と、フレイは壁へと触ってみる。

 そして、カルラの様に叩いたりしてみるが。


 壁だ。


 普通に壁。

 この奥にダンジョンがあるとは、まるで思えない。

 きっと、相当に壁が厚いに違いない。


(ダンジョン入る前に、あんまり消耗は避けたいんだけど……まぁ、一瞬なら大丈夫かな)


 と、フレイは考えたのち、カルラへと向きなおる。

 そして、彼はそのまま彼女へと言う。


「カルラ、これから僕とキミのスキルで入口を作る」


「ふむ、さすがの判断なのじゃ! 我もそれしかないと、そう考えていたところじゃ!」


 と、近寄って来るカルラ。

 フレイはそんな彼女へと手を翳し――。


「《聖装顕現》」


 直後、現れたのは美しくも禍々しい――漆黒の大剣。

 ここまで来ればあとは簡単だ。


 フレイは壁の方へと振り返る。

 そして、彼は大剣を道塞ぐ壁へと、軽く突き立てる。

 直後。


 発動したのは消滅の力。

 本来カルラが持っている固有スキル《滅界》だ。


 その力は凄まじい速度で壁を侵食。

 瞬く間に、壁だったものは消え去ってしまう。

 結果、フレイとカルラの目の前に現れたのは――。


「想像以上に壁が厚かったけど、無事にダンジョンの入り口が見えたね」


「うむ! ところでフレイよ……」


 と、何故か心配そうな様子のカルラ。

 彼女はフレイへと言ってくる。


「魔力は大丈夫かの? 我の《滅界》は燃費がかなり悪いのじゃ……なんなら、今日は帰って明日また――」


「大丈夫だよ、カルラ。一瞬――それも出力を絞ってしか使ってないから、疲労感はない」


「本当かの? 我は心配じゃ! フレイは我が唯一の友じゃからな! おぬしに何かあったら、生きた心地がしないのじゃ!」


 と、狐耳をぴこぴこさせているカルラ。

 フレイはそんな彼女を撫でたのち、一人考えるのだった。


(魔力は本当に問題ない。確かに万全を整えるなら、出なおした方がいいけど……)


 フレイとカルラには時間制限がある。

 それすなわち、次回の荷馬車通過日。

よって、時間を無駄にする選択肢は、極力取りたくない。


(そもそも、僕とカルラがこれから歩む未来はきっと、もっと険しくなる)


 ようするに

 こんなダンジョンなどで、いちいちビビッているわけにはいかないのだ。


さて……いつも言ってることなのですが


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