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097 魔眼のバロル6:バロルの反撃

 ――ドシンッ。


 後ろから聞こえる重たいものが落ちる音。

 振り向いた先では、ヴォルクが地面に叩きつけられていた。

 俺の【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】は一撃で破られ、手足があり得ない方向に折れ曲がっていた。


 慌てて回復魔法をかけようとした俺をラカルティが手で制する。


『――エクスヒール』


 彼が手に持つ錫杖から回復魔法が飛び、瞬く間にヴォルクの傷を癒していく。


「痛えな、おい」


 回復したヴォルクは何事もなかったかのように立ち上がり、バロルを睨みつける。



「油断してたわけじゃねえんだけどな」

「だいじょ、ぶ?」

「ああ、問題ない」


『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』


 ヴォルクに魔法障壁を張り直す。


「ちっとばかし重てえが、直撃しなけりゃどうということはねえ。おらっ、行くぞッ!」


 ヴォルクは果敢にも、バロルに向かって駆け出す。

 それに反応したバロルが再度拳で殴りつけようとするが、今度はギリギリで回避し、逆に爪でバロルの腕に一撃を加える。


 そして、そのままバロルの腕を足場に跳躍。

 胸を蹴り、肩を蹴り、高く登っていく。


 バロルの顔の高さまで到達したヴォルクは、鋭い爪でバロルの右目を抉る――。


 ――グワゥゥゥ。


 バロルの右目から血が垂れる。

 乱暴に腕を振り回すが、ヴォルクは難なくその間をすり抜け、くるりと宙返り、

 華麗に着地した。


「俺が囮になる。オルソも攻撃に回れ」

「了解」


 バロルの重たい攻撃はオルソでも受け切れないと判断したのだろう。

 一発でも喰らったら大ダメージだが、なんとかなりそうだと感じさせるだけの体術をヴォルクは見せた。


「おら、当たんねえぞっ」


 ヴォルクが挑発しながら、素早いステップでバロルの足に爪を立てていく。

 バロルはヴォルクの動きに完全に翻弄されていた。

 その顔に苛立ちが浮かぶ。


 乱暴に拳を振り回すが、遅すぎる。

 確かに攻撃自体は速く重たい。

 だけど、反射神経が全然追いついていない。

 ヴォルクは見事にバロルを手玉に取っていた。


 その間に、『紅の牙』の三人はバロルの後ろに回り込んでいた。

 バロルの視界の外から、攻撃を、魔法を叩き込む。


『――必撃入魂ッ!!!』

『――ファイア・ストーム』

『――土の槍』


 立て続けに放たれる攻撃はバロルのアキレス腱を削っていく。


「今なら、大丈夫そうね。私も行ってくるわ。サンディは例の準備をよろしくねっ。ロイルは無理しないで、サンディを守って。攻撃は必要ないわ」


 俺たちの返事も待たないで、ディズは駈け出した。

 バロルの股をくぐり、三人の攻撃の輪に加わる。


 言われた通り、俺はサンディの前に立って、彼女を庇う。


「師匠、ありがとうございます」


 魔力回復ポーションを飲み終えたサンディは切り札の準備に取りかかる。

 俺も今のうちに魔力を回復しておこう。


 マジック・バッグから一本取り出し、ひと口飲む。


「…………まず、い」

次回――『魔眼のバロル7:魔力回復ポーション』


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