142 救援
予約投稿忘れてましたm(_ _)m
帰還途中のことだ。
第5階層でモンスターと戦闘中の冒険者パーティーを見かけた。
四人組の若手パーティー。
対するはスケルトンが七体。
基本的に冒険者同士は不干渉。
特に、戦闘中に手を出すのは、『横殴り』と呼ばれるマナー違反だ。
だが――。
「なっ、なんで、出ないんだよっ! そっちは」
剣士の少年が斥候職の少女に向かって叫ぶ。
「こっちもダメ。あー、もう!」
少女は手に持っていた物を投げ捨て、腰のナイフを抜いた。
少年も同じように剣を構えるが、スケルトンの勢いを止めきれない。
「あれ、は……」
「うん」
二人が投げ捨てたものは見覚えがある。
つい先日のサラクンでのスターンピード。
そのときにサラクン騎士が使っていた遠距離武器――魔銃だ。
どうやら、前衛の二人は魔銃で戦っていたが、魔銃の調子が悪く、思い通りにならなかったのだろう。
そこをスケルトンに押し込まれてるところだ。
前衛の二人が武器を持ち替えてかろうじて防いでいるが、もう限界が近い。
「どうする、リーダー?」
「うん」
ディズの問いかけに俺はうなずき――。
「助け、いるか?」
大声で彼らに向かって叫ぶ。
喉が少し痛んだが、俺の声は彼らにちゃんと届いた。
「お願いしますっ!」
リーダーらしき剣士の少年が、切羽詰まった返事をする。
「よし、いこ」
「おっけー!」
「はいっ!」
今の俺たちにとって、スケルトンはたいした相手ではない。
『――【獣化:猪】』
『――【重突撃】』
猪に獣化して、スケルトンの中心に向かって突進する。
弾き飛ばされた数体は即死。
残りもディズとサンディの手で容易く倒された。
「だい、じょぶ?」
「間に合って、よかった」
「助かりました」
「ありがとうございます」
剣士の少年がお礼の言葉を述べ、他の三人も頭を下げる。
ひと安心と胸をなで下ろすと、斥候少女が俺に話しかけてきた。
「ろっ、ロイルさんですよねっ!」
「う、ん」
「うわぁ、感激ですぅ! 握手してください」
十七、八歳くらいだろうか?
小柄な彼女がキラキラとした瞳で俺を見上げる。
いきなり差し出された手に戸惑うが、そんな目で見られたら断るわけにはいかない。
「う、うん」
「ありがとうございますっ!」
なんか凄い勢いで喰いつかれた……。
サンディの「師匠!」とはまた違った、尊敬の眼差しを向けられ、まんざらでもないのだが……。
……あっ、これ、反感買うパターンだ。
四人組パーティーに女性は彼女のみ。
残りの三人は同い年くらいの少年三人。
そう思っていたのだが、他の三人も――。
「俺も」
「俺も」
「僕も」
3人とも女の子と同じように、憧れのまなざしで握手をせがんできた。
「あっ、ああ」
いきなり人気者になった気分。
慣れないことにテンパってしまう。
「『アルテラ・ヴィタ』の皆さんですよね?」
「ああ」
「うわあ、ディズさんだ」
「サンディさんもいる」
四人は俺だけでなく、ディズやサンディ、そして、俺たちのパーティー名まで知っていた。
「よく、知って……るね」
「なに言ってるんですか!」
「今、この街で一番有名ですよ」
「『紅の牙』がいなくなって、メルキ最強パーティーって言われてますよ」
四人とも若いせいか、興奮が収まらない様子だ。
「とりあえず、移動、しよ」
「はいっ」
このままのんびりしていると、またモンスターに襲われかねない。
「俺たちは、帰る、けど」
「じゃあ、俺たちも一緒していいですか?」
「構わん、よ」
歩き始めて、俺はディズに目配せをする。
ディズは俺の意をくみ取り、小さく頷いた。
「ねえ、さっきの戦いだけど、魔銃を使ってたよね?」
「はい、でも、いざというときに壊れちゃったんですよ」
「ちょっと、見せて」
「はい、これです」
二丁の魔銃を受け取ったディズはひと通り観察してから、俺に手渡す。
「う~ん、ロイルなら分かる?」
「えーと……」
魔銃を手にするのは初めてだ。
だが、魔道具なら魔力の流れを見れば、なにか分かる……んじゃないかな?
半信半疑だったが、ここはカッコイイところを見せたい場面だ。
『――【世界を覆う見えざる手】』
うーん。
えーと。
ほうほう。
ふむふむ。
魔力を流してみて、ひと通りのことは理解できた。
その構造。機能。そして、故障した原因。
俺がそれを伝えても良いのだが――。
「サンディ」
「はいっ!」
「練習、やって、みて」
「私がですか!?」
「きみ、なら、できる」
「わかりましたっ! やってみますっ!」
サンディはだいぶ魔力こねこねに慣れてきた。
攻撃魔法なんかはまだまだ遠いが、魔力走査くらいならできるんじゃないかな?
どちらにしろ、彼女にとっていい練習になるのは間違いない。
これはあくまでも彼女のためだ。
決して、俺が説明するのが面倒くさいからではない。
あわよくば、彼女に説明してもらえないかな――なんてちっとも思っていない。
そんな俺の思惑はよそに、サンディは魔力を繊細に操り――。
「あっ! わかりましたっ!」
うん。弟子が優秀で俺も嬉しいよ!
後の説明は任せた!
次回――『魔銃の欠点』
1月25日更新です。




