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115 魔眼のバロル24:ディズの想い

ディズ視点です。


 ディズは孤児だった。

 小さく、弱く、両親の名前も顔も知らなかった。

 そんな私を救ってくれたのが「神の啓示」だった。


 私は選ばれた。

 聖女として選ばれた。

 神によって選ばれた。


 啓示を受けた私は、聖都ホーリで聖女としての生活を始めた。

 聖句を唱え、神聖魔法を学び、癒やしの力を得るための辛く厳しい修行生活だ。

 他の幼い聖女たちと一緒に修行に明け暮れ、自由な時間などまったくなかった。

 それでも、孤児院での生活と比べたら天国みたいだった。


 私はホーリで先代聖女であるフェリス様と出会った。

 フェリス様は優しく、慈愛に満ち溢れていた。

 私が頑張れば褒めてくれて、元気がないときは励ましてくれて、沈んでいると頭をなでてくれた。


 親を知らない私にとっては母親みたいな存在で、それと同時に憧れの存在だった。

 私もフェリス様のような立派な聖女になりたい。

 そう思って、よりいっそう修行に打ち込むようになった。


 しかし、いくら頑張っても神聖魔法が使えなかった。

 聖女の仕事は傷ついた人、病に伏した人を神聖魔法で癒やすこと。

 他の聖女たちが神聖魔法で人々を救う中、私は誰を救うこともできなかった。


 落ち込む私はある日、自分の中にある未知なる力に気がついた。

 いつの間にか、その力が感じられるようになったのだ。


 そのとき、フェリス様が私に話をしてくれた。

 古き神々と呼ばれる邪なる者と、神から力を授かった人間の戦い。

 そして、聖女の本来の役目について。


 聖女の表向きの役割は神聖魔法で人々を癒やすこと。

 だが、聖女の力はもうひとつある。

 それは封印魔法。


 蘇った古き神々を封じること。

 それこそが聖女本来の役目だと。


 聖女の中でも封印魔法を使える者は極わずか。

 そして、私はその一人だった。

 今の聖女の中で、封印魔法を使えるのは私とフェリス様のみ。

 私はフェリス様から封印魔法を受け継いだのだ。


 聖典のひとつに『封魔の聖女』という断章がある。

 厳重に秘匿された聖典だ。

 それを知るのは封魔の力を持つ聖女のみ。

 いつからか、どうしてかはわからないが、そのように秘匿されるようになったそうだ。


 『封魔の聖女』には古き神々を封印するための方法が記されていた。

 他の人から聞いたのであれば、私は信じなかっただろう。

 だけどフェリス様だったから信じた。


 フェリス様のように、神聖魔法と封印魔法の両方を使えるわけではない。

 それでも、封印魔法を使えるのはフェリス様以外では私だけ。

 私は生きる意味を見出した。


 私は「強くなろう」と決心した。

 人々を癒やすことはできなくても、古き神々から人々を救うことができる。

 そして、それができるのは私だけだ。


 それからは封印魔法の修行をしつつ、魔物を狩り、ダンジョンに潜り、戦い続けた。

 聖典にもあるように、魔物は人への供物だ。

 魔物を倒すことによって、人は強くなれる。

 そんな生活を数年間も続け、私はAランク冒険者並みの力を身につけた。

 人々を脅かす魔物を自分の力で倒せるようになった。

 聖女らしい方法ではないが、それでも人々を救うことができた。


 そのことには満足していた。

 だけど、ある日突然、私は急に無力感に襲われた。

次回――『魔眼のバロル25:ディズの想い2』


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >>聖典のひとつに『封魔の聖女』という断章がある。 >>『封魔の魔女』には古き神々を封印するための方法が記されていた。 魔女なのか聖女なのか
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