表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

107/148

107 魔眼のバロル16:光矢

 地上に、そして、ディズに向かって光線が連発される。

 ディズはその光線をかいくぐって、バロルの額に槍を放つ。


『――アンティオキア・バースト』


 光輝く聖槍が額の眼に向かって投げられる。

 だが、バロルは首を傾け、瞳への直撃を避ける。

 聖槍は額に深々と刺さり、バロルがうめき声を上げる。

 ディズはアンティオキアを掴み、引き抜く。

 それとともに光線の雨が途切れた。


 ディズが一矢報いたが、バロルの赤眼から放たれた光線の被害は甚大だった。

 俺だけでなく、『紅の牙』の四人も大ダメージを負っていた。

 四人ともギリギリで回避して、直撃は避けたようだが、それでも被害は甚大だ。


「あぶねえ。獣化してなかったらヤバかったな」

「なんたる威力」


『――【大いなる生命の息吹グランディス・ヴィータ・スピィリートゥム】』

『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』


 回復魔法と障壁魔法を全員にかけ直す。

 魔力はいくらでも補強可能なので出し惜しみはナシだ。


 さて、どうするか。

 切り札を切るべきか……それとも。


 そのとき――バロルの額の瞳が閉じられる。

 そして、再び開いたとき、瞳の色は青くなっていた。


「この色のときは普通の攻撃は通らないよ。ロイルはみんなを守って」

「わか、った」

「ここは私がやるから――」


『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』

『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』

『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』

『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』

『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』


 みんなを守るように障壁を何重にも重ねて発動させる。

 これだけあれば、ダメージは防げるだろう。


 ディズはそれを確認すると、天高く昇っていく。

 バロルを下に見下ろす高さまで翔んでいく。


 バロルはディズをチラリと見たが、俺たちを標的に定めたようだ。

 その口が開き――。


 ――ヴォオォォォォオッォォ。


 その口から圧縮された魔弾が地上に向けて何発も撃ち出される。

 狙いは適当だ。それよりも数で押そうしている。

 光線のときよりも、はるかに多い。

 地面に向かって、手当たりしだいに連発される。


 ――ガン。パリンッ。


 魔弾が障壁にぶつかり、障壁が破られる。


『――【絶対不可侵オムニノ・ノモレスト・遷移空間(トランジ・ロゥクス)】』


 その端から、俺は新たに障壁を張り直していく。

 魔弾が破壊するよりも、俺が張り直す方が早い。

 これなら、防ぎきれる!


 ディズは高みからバロルを見下ろす。

 空中に停止し、両腕を横に伸ばし、両足は閉じられる。

 十字姿勢をとったディズは詠唱を開始し――。


『――光矢の雨(ホーリー・レイン)


 負けじと光矢の雨を降らせる。

 光矢はバロルの身体に降り注ぐ。

 たまらずバロルは上を向く。

 そして、今度はディズに向かって魔弾を撃ちまくる。


 光矢と魔弾のぶつかり合いだ。

 この勝負を制したのはディズだった。

 光矢は魔弾を打ち消しても余りある。

 その光矢がバロルの身体に直撃する。


 一方的な攻撃が続き、やがて、途切れる。

 バロルの額の眼は閉じられていた。


「おい、見ろっ」

「縮んでるな」


 バロルの身体はひと回り小さくなっていた。

 まだまだ、十分に巨大だが、それでも小さくなった。


「いい調子じゃのう」

「イケる気がするぜ」


 皆がバロルに注目している中、俺はディズを見ていた。

 ふらりとディズの身体が傾く。

 そして、そのまま糸の切れた凧のように、ディズは落下を始めた。

 俺は慌てて落下地点に駆け出した――。


次回――『魔眼のバロル17:聖気』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 水差す様で悪いのだが、いつまで戦ってるの?俺ツエーでテンポ良かったのに。俺ツエー・主人公最強系で苦戦って普通に世界滅ぶと思うのもあるが、やっぱ面白くないと思う。この展開でなぜ俺ツエー主人公に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ