105 魔眼のバロル14:魔力変換
「よしっ、できた」
邪気の解析は完了した。
それを利用する方法も把握した。
すなわち――新しい魔法の完成だ!
『――邪気変換・吸収』
時間も余裕もないので、適当に名付けた。
だが、その効果は絶大だった。
大気中に充満しているバロルの濃密な邪気を魔力へと変換し、自分に取り込んでいく。
それにつれて、際どい残量まで減っていた俺の魔力がどんどん回復していく。
本来なら毒であるバロルの邪気を有効活用できるようになったのだ。
その上、バロルが放出した邪気は、飽和しそうなほど大量だ。
いくら吸収してもし尽くすことはないだろう。
――これで魔法は撃ち放題だッ!
それだけじゃない。
『――魔力供給』
体内に次々と注ぎ込まれてくる大量の魔力を、倒れている五人に供給していく。
最初に立ち上がったのはサンディだ。
「はっ! バロルはっ!」
起き上がったサンディはすぐに戦いの最中でであったことを思い出したようだ。
その視線がバロルと宙を舞うディズに釘づけだ。
「こっ、これは……」
その直後、自分の身体に起こっていることに気がついたようだ。
「すごいですっ! 魔力がどんどん流れ込んできますっ!」
サンディはキラキラした目で俺を見る。
「魔力……供給、する……から……全力……で……撃って」
「はいっ! 師匠! ありがとうございますっ!」
状況を理解したサンディは極大魔法の魔法陣構築にとりかかる。
今なら、極大魔法だろうが連発可能だ。
サンディは生き生きとしていた。
次に『紅の牙』の四人だ。
獣人である彼らの魔力は人間と少し異なる。
いわゆる獣気と呼ばれるものが、彼らの源だ。
『――獣気供給』
まだ慣れていないので、サンディの場合とは異なり完璧には変換しきれないし、変換速度も遅い。
それでも、俺は彼らに獣気を送り込んでいく。
「ううっ……」
「だい、……じょ、ぶ……?」
ゆっくりと立つ四人に声をかける。
「ああ、まだふらつくが大丈夫だ。どうなった?」
ヴォルクは問いかけながら見上げる。
「あれはディズか?」
「う、ん」
「聖女……」
みな、ディズの神々しい姿に目を奪われている。
「ロイルが回復してくれたのか?」
「う、ん。戦……える?」
「ああ。すげーな、力があふれてくれるぜ。オマエらもいけるよな?」
「おう」「ええ」「うむ」
「獣気……供給、する……から……全力……で」
「ああ、任せろ。行くぞッ!」
『獣化――狼』
『獣化――熊』
『獣化――狐』
『獣化――蜥蜴』
四体の獣に姿を変える。
本来なら時間制限があるが、俺からの供給がある限り、いつまでもその姿を保てる。
思う存分、大暴れしてくれ!
それにしても、バロルの邪気は無尽蔵だ。
五人に供給して、俺の魔力を回復させてもまだまだお釣りがくる。
サンディが極大魔法で雷の雨を降らせ。
四体の獣が両足を削っていく。
こちらの数が増えたことで、バロルの意識がディズからそれ、その隙にディズが聖槍アンティオキアを叩き込む――。
次回――『魔眼のバロル15:未練』




