第1話.ゆいこが転生したら花魁だった件
『小説家になろうラジオ』より
子供の頃、ひろしとたくみというイケメン二人が塾に迎えにきてくれるという妄想をしていた巽さんに、恋愛小説のような胸キュンの三角関係を味わわせてあげようという企画の、更にスピンオフの企画です!
「あたいは、江戸の華、ゆいこでありんす!!」
わたしは、転生して、花魁になった。
江戸の男達が、皆、わたしを一目拝もうと遊郭を訪れる。
「ゆいこの花魁道中、見たか?」
「ゆいこ、やっぱ綺麗だったよなぁー」
男達はいつも、わたしに惚れた顔をする。でもそれは、本当の愛なのだろうか。
この世界で上までのぼりつめ、わたしは無双状態。自分にとってつまらないと感じた男は、相手にしなくていい。
でも、身請けされない限り、わたしは外の世界を見ることはできない。
そう、わたしは籠の鳥なのだ。
金持ちに身請けされれば、玉の輿。でも、そこに愛は存在するのだろうか。
花魁たるものが、愛だの恋だの笑っちゃう。
「あたいとしたことが……」
今日もわたしに会いたいと、一人の殿方が訪ねてきた。
ちょいと相手でもして、つまらなければ突き放せばいい。
「ゆいこ、迎えに来たよ」
男はそう言うと、突然わたしを抱きしめた。
へっ……
なんだろう?
わたしはこのぬくもりを知ってる気がする……。
この殿方を、ずっと、待っていた気がする……。
「ひろし……」
思わず、わたしの口から、その名が出た。
そうだ、彼は手習いの塾の帰り、あたいを迎えにきてくれる殿方だ。
ひろしは、わたしの顔を見て、にっこりと微笑んだ。
転生しても、わたしは、あなたをお慕い申しております。
はい。ご覧の通り、たくみの姿がございません。
ということで、続きを書きました。
次回、第2話『身請けの話でござりんす』へ続く!
明日更新します。
そして、巽さん、改めまして、お誕生日おめでとうございます!




