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第156話


 「教官、これは一体………」


 助けはしたが、いまいち状況がつかめない蓮。

 ルドルフがいるのでどちらが味方かは把握したが、それ以外はわかっていない。


 「蓮、急で悪いが30秒間こいつらの足止めを頼む」


 「本当に急ですね。しかもこんなとんでもない魔族が相手ときましたか…………やってみます」


 蓮は剣を構えた。

 魔族は蓮を狙って攻撃する。

 見切りをつけて攻撃を何とかしのいでいる。

 魔族は間合いを詰め喉を狙った。

 蓮は手を潜って横に出ると同時に、回し蹴りを剣で受け流した。


 「っ、たいな。ものすごいパワーだ………」


 デュラハンよりパワーもスピードも上だ。

 勝つのは厳しいだろう。

 だが、今回は足止めだ。

 それも30秒間。

 だったら、


 「技で凌ぐさ………!」


 魔族の縦切りを半身になって躱す。

 そこからの斬り上げを、自分の剣を添えながら飛んで避け、攻撃を察知すると剣を弾いて体をズラし、攻撃を外させた。


 「ふぅー………ッッ!」


 攻撃を仕掛ける。

 なるべくノーモーションで動いたが反応され、剣を飛ばされそうになったので、一緒に飛んで後ろに退がった。

 

 「攻撃はダメか。このまま仕掛けてもいいけど、今回はあくまで時間稼ぎか、なッッ!!」


 躱す。

 躱す。

 どんどん躱す。


 どういうわけかデュラハンよりは動きが単調だ。

 やはり複数人の遠隔操作では多少のムラが出るらしい。

 だが、やはり驚くべきは蓮の腕だ。

 ムラがあるといえ、その辺りの剣士よりはずっと上手い。

 その上ステータス面で完全に優っている相手の攻撃をここまで躱せるのだ。


 「あの人間、ステータスこそ大したことないが、技術は凄まじいな。ともすれば私より上手いんじゃないか?」


 ニールも舌を巻いていた。


 「っと、そろそろだ。おい! そいつらをこっちに誘導してくれ!」


 「蓮」


 「了解です」


 蓮は剣を受けながらニールの方へ向かっていく。






 大体3人が集合したとき、問題は発生した。




 「残り10秒。いける………これで——————!? っっ………あ、ぅぐッ!」


 ニールの体に反動がきた。

 強化魔法と覚醒半魔の重複は危険だ。

 あまり使うべきではない。

 しかし、止むを得ず使ってしまった。

 その前も一瞬だが、全開で使ったり、一級の強化魔法を使ったり、MP残量が少なかったりなどの様々な要因で、体にかなりガタがきている。


 「マズい………!」


 蓮は急いで向かおうとするが、魔族に立ち塞がれる。

 逆転は使えない。

 位置を変えてルドルフ達と逃げて貰うことも出来ない。


 そのルドルフとラビも同様に魔族に邪魔されていた。


 「ニール殿ォ!!」


 「ニールねえ!」


 リューラとホルクスはゆらゆらとニールの目の前に行き、構えた。


 「くっ、そぉ………! あと、あと少しなのに………!!!」


 ニールはリューラ達を睨みつけるが、リューラ達は特に反応することもなく、魔力を溜めた。


 後5秒もあれば動けるようになる。

 だが、その前にリューラ達に殺されてしまうだろう。


 残り5秒。


 「万事休すか………!」


 リューラ達はついにニールへ攻撃をした。

 急所へ直撃コース。

 しかし、避けられない。


 死んだ。


 と、思っていた。






 「「「『ブラインド』!」」」



 


 「!?」


 遠くから、魔法を使う声が聞こえた。

 そう、フィリア達だ。



 「今です! ソウタ!」


 「了解です! 王女様!」



 魔力に反応して、琴葉達のグループも現地に着いていたのだ。

 実は蓮がこっちに来るまでに既に合流していたのだ。


 高橋が能力を使い、こっちに走って来る。


 「よく分からんけど、みんな乗せるぞ!」


 味方だけを乗せて走った。

 ニールは、ラビが引っ張って連れてきたのだ。

 魔族達は、固有スキルの影響で、細かい魔力操作が出来ず、霧を晴らす事ができない。

 固有スキル、『死神』が裏目に出たのだ。


 「ソウタか! お手柄だな!」


 「先生、これどう言う状況ですか?」


 「あの少女が持っている武器で攻撃をするための時間稼ぎだったのだ。凄かったぞ」


 「武器?………なっ………! う、っそ………だろ………?」


 高橋はリンフィアの持っている武器を見て、驚きを隠せなかった。

 蓮も同様に、驚いていた。


 「なんで銃が………この世界にこんなものがあるのか!?」


 「銃というのか? と言うかお前たちあれを知っているのか?」


 「知ってるも何も、僕らの世界の武器です」


 「何!?」



 リンフィアは全員が退避するのを確認すると同時に引き金を引いた。



 「お願いします………ケンくん!」





 パァン!





 銃弾は真っ直ぐ魔族達のところへ飛んでいった。

 そして、その途中で弾が破裂し、中の魔法が飛び出した。



 「虹………………?」



 七属性複合魔法

 

 名前はない。

 まだつけていないのだ。

 これは、全属性が互いに影響を及ぼしあうことによる効果を狙った魔法だ。

 属性には相性がある。

 単にどっちが強い弱いではなく、混ざりやすさの、だ。


 さて、七つ全てがお互いに相性がいいかどうか。


 もちろんいい訳がない。

 これはその原理を利用した魔法だ。

 それにより魔法が互いを打ち消し合う。

 消滅魔法は魔法を消す魔法だが、それとは違う。

 消された魔力が周囲の魔力を巻き込み、吸い込み始める。



 そう、これは魔力を()()魔法なのだ。




 「!?」


 一瞬にして靄が晴れ、魔族達は一瞬戸惑う。

 そして、魔法弾の効果が発揮された。


 「ウ、ウウ!?」


 魔族達の体中、周囲の環境、大気中から魔力が吸い上げられ始めた。

 虹は真っ直ぐ進んだ先でいつのまにか消えた。

 虹が通った先でどんどん魔力が吸われていく


 これをモンスターに当てると、魔石ごと吸収され消えてしまうのだ。

 モンスターの全てが、ではないが、大抵はこれで吸収できる。


 では、これを動植物に当てるとどうなるか。





 「ウオオオオオオオオアアアアアアアア!!!!」


 

 魔族達は魔力枯渇で倒れていく。

 これは強制的にMPを5にする魔法だ。


 「………」


 魔族達は活動を止め、バタバタと倒れ始めた。


 これは人が活動するのに必要な最低限の魔力以下の量だ。

 後5分間このままだと死ぬ。

 MPが無くなるとなぜ死ぬかと言うと、生命活動が保てなくなるのではなく、存在そのものが保てなくなるのだ。

 魔石からではないモンスターが消えるのはそのためだ。

 そして、この状態になると、 あらゆる状態異常が自身をすり抜け、無かったことになる。

 何もかもが0に戻ろうしている副作用のようなものだ。


 「終わった………!」



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― 新着の感想 ―
[一言] 甘ちゃんすぎる、殺すということは殺される覚悟と言いながら敵を生かしすぎ。 違和感ありすぎでもう無理でした。
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