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ミニゴブリンから頑張る神の箱庭~トンデモ進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
ダンジョン&アリスベル修行編

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本当に私の評価どうなってんだろ?

 一晩休んだ私達は再び竜車に乗り込みアリスベルを目指す。


「ご主人様、この山を越えればアリスベルまで後少しですよ」

「そうなの?」

「う~ん、遠かった~」

「でも竜車だからこんなに早いけど歩いたら四日は掛かってたね!」

「誰もなにも言ってないから大丈夫かな」


 いや、何となく促進運動をね?


「そう言えば結衣ちゃん?」

「はい、何ですか先輩?」

「昨日の話なんだけどさ? 私の葬式、澪が泣いてたのは聞いたけど瑠璃はどうしてたの?」

「えっ? るり? ああ、彼方先輩? あれ? そう言えば居なかったかも……?」

「そっか……って、どうしたの結衣ちゃん?」


 私が瑠璃の名前を出したとたん、何か納得がいかないような素振りをしたので私は思わず聞いてみた。


「いえ、その……今先輩に彼方先輩の名前を聞くまで、何故か分からないけど彼方先輩の事を忘れていたんです」

「???、それくらい良くある事じゃない?」

「そうなんですけど、なんて言うか……存在そのものを忘れていたと言うか」

「……それは、思い出さなかった訳じゃなく、瑠璃に関する全てを忘却していたと言う事?」

「そんな感じです」


 ねえ、それってさ?


『シルフィン:貴女の想像通りかも知れません。絶対とは言いませんが可能性はあります』


 実は前に図書館で勇者召喚について聞いた時に、この世界に召喚された者は元の世界でどんな扱いになるのか聞いた事があった。と、言うのもこちらの世界でずっと暮らすなら未だしも、帰るのであればこちらで五年も経てば容姿は当然変わってしまう。帰る条件が魔王を倒すなんてものなら尚更時間が掛かってもおかしくない。なのでその事について聞いてみた。


 因みに異世界に来るには方法が幾つかあるらしい。

 1、異世界に召喚される

 これは勇者召喚やそれに巻き込まれた者が該当し、元の世界に帰る際に女神の力で召喚時の時間と場所に戻るらしい。但し、召喚は契約があり、召喚者の願いが叶えられる事で元の世界に帰る事が出来るので、その願いを叶えてすぐじゃないと帰れないらしい。少しでも残りたいと言うとずっと帰れなくなる。


 2、異世界に転生する

 これは私の状況に当たり。変な話、元の世界で死んだ際に女神にスカウトされてこちらの世界に生まれ変わる者を指す。当然死んでいるので元の世界に影響は無い。


 3、異界に巻き込まれる者

 最後がこれだ。これが一番最悪で面倒臭い。私が元居た世界、アースガルド、その他にも多種多様な世界が存在し。普段は女神の介入や召喚等の何らかの要因で違う世界に行くのだが、ごく稀に次元の境や裂け目とも言うべきものに巻き込まれ、突然違う世界に飛ばされる事があるらしい。


 元の世界では混乱を避ける為に神々が一人、二人程度なら一時的に存在そのものを忘却させたりするのだとか。これは、異世界に行った者は殆ど帰って来れない為にある意味善意的なものらしい。勿論帰れた時は周囲に都合が良いよう寝たきりだったなどの適当な記憶にすり替えてくれるとの事だ。

 数が多い場合は謎の集団失踪としてそのまま何もしないらしい。こちらは数が多過ぎて記憶を弄ると世界に与える影響が大き過ぎ、逆に歪みが生れ同じ被害者が増えてしまうためだ。

 世界的に幾つもある謎の集団失踪の原因はほとんどの場合これに当たるのだとか。


 私がその事を話すと結衣ちゃんが訊ねてくる。


「じゃあもしかして、彼方先輩もこの世界に居るかも知れないんですか?」

「可能性は無くはない。ただ、この世界じゃない可能性もあるしこの時代じゃない可能性もある」

「えっ? 時代?」

「気が付かなかった? この世界に呼ばれても同じ時代の同じ時に呼ばれるとは限らないんだよ」

「そうなんですかご主人様?」

「うん、この世界と元の世界で連動してるなら、この世界の過去に現代の知識や言葉は無いはずだからね」


『シルフィン:流石ですね。気が付いてましたか』


 まあね。


「怖いですね。私は先輩と同じ時代で良かったです。でも彼方先輩は──」

「大丈夫だよ。そんなやわじゃないし。それに何となく会えそうな気もするしね? だから、心配無用!」


 分からないなら考えても無駄だしね。でも一つだけこの時代の可能性は高いか?


『シルフィン:ええ、昨日も話した通りなので限り無く可能性は高いです』


 そうか~。まぁ、今はそうある事を祈っておくか? でも、今の状況で誰に祈れば。


『シルフィン:おほん!』


 誰に祈れば?


『シルフィン:……女神ならここに居ますよ?』


 黙れ駄女神!


『シルフィン:なんて言い草!』

『ティリス:私も居ますよハクアさん!』


 そうか、少し黙ってて!


『ティリス:……はい』

『ほぼ全員:私達でも……』


 良いから黙れ♪


『全員:扱いが悪い』


 ふむ、祈っても何も変わらんか。


「所で主様? 昨日から出て来ている。アガタ? とか、ミオ? とか、今言っていたかなた? とか、ルリ? って言うのは誰なんじゃ?」


「私も聞きたいです!」


『ティリス:勿論私もです!』


 お、おう。


「私も聞きたいかも」

「ボクも!」

「じゃあ聞くゴブ」


 じゃあ!? って、まぁ良いか。


 それから私は幼馴染であり親友? でもある悪友の事を話始めた。


 私が生前、普段から親しくしていたのは二人居た。

 その内の一人が昨日も話に出た安形 澪(あがた みお)だ。この女は聖嶺高校つまりは、私が通っていた高校の生徒会長をやっていて、二年でありながら全校生徒の半数の投票を獲得し生徒会長になった人物だ。


 もう一人は先程話していた彼方 瑠璃(かなた るり)である。彼女はなんて言うか、はっきりと言うと毒である。仕草一つ取っても他人を魅了し、それなのに本人は全くの無自覚なので質が悪かった。本人に悪気は無いのに彼女持ちの男まで寄ってくるので、どれ程私達が苦労をしたことか。もっと、そう、例えばこんな世界でだったら傾国の美女とか言われるんだろうな? 錯乱させそう。


 そんな私の悪友の事を私は皆に説明していた。


「と、まあこんな感じの人間だよ」

「そうなんですね」

「安形先輩も本当に凄い人で皆に優しいし、何でも出来て格好良かったんですよ」

「実際は物凄く性格悪かったけどね」

「えっ? そうなんですか?」

「で、でも、不良に絡まれた生徒を助けたりもしていましたし、その不良も安形先輩にはちゃんと挨拶とかも……」

「あれはただ単に、助けて逃がした後に不良をボコボコにして脅して言う事聞かせてただけだよ? しかもいい感じにいろいろ面倒事押し付けてたし」

「そ、そんな……でも、彼方先輩は本当に優しいし、いい先輩でした」

「瑠璃は性格は良いんだけど天然でSっけあったからね。ニコニコしながら人を精神的に追い詰める。しかも意識的に」


 何か私の言葉で結衣ちゃんが膝から崩れ落ちてぶつぶつ言ってるんですけど!?


 そして何故か皆がそれを同情の目で見た後、私を見てしょうがないと言う顔をしている。


 何故だ、解せぬ!?


「でも、話聞いてるとハクアの友達って感じだよね」

「確かにそうかな」

「じゃな」

「納得ゴブ」

「……あはは」


 本当に私の評価どうなってんだろ?


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