ないとは言いきれませんねハーちゃんですし
明けましておめでとうございます。今年もちょいちょい開ける事があっても頑張って書いて行くのでよろしくお願いします
「あいつにとっての傲慢? それはどういう意味だテア?」
愉しそうに嗤いながら、ハクアを食い入るように見つめ呟いたその言葉に澪がいち早く反応する。
その言葉の意味が理解出来ないと言うよりも、理解したが為に確証が欲しいと言う感じだ。
その気配を感じたのだろう。
テアは笑みを潜ませ澪達の方を向き口を開いた。
「申し訳ありません。つい気が高ぶってしまいました」
「それは良いですけど、どういう意味なんですかテアさん?」
「単純に言えばそのままの意味ですね。皆さんは白亜さんの有している七罪スキルをどう考えていますか?」
「どうって……ハクアの持ってるのは暴喰と怠惰、それに新しくルシェの持っていた傲慢と虚飾……だったよね?」
「ああ、現在はミコトの言った通りその四つ。正確に言えば邪神の力が強まった為かその四つはスキルから権能に変化しているのと、虚飾は傲慢に取り込まれているんだったか」
「ええ、そうですね」
「はい。質問ですテアさん! スキルと権能ってどう違うんですか?」
そこまで黙って聞いていた瑠璃が手を上げて質問する。
あまり理解はしていなかったのか全員その会話に興味があるようだ。
「単純に言えばスキルよりも世界へ干渉する力が強いものをさします」
「世界への干渉ですか?」
「ええ、スキルの効果は自身の内側に作用するもの、又は外界に現象として発揮するものです。対して権能はその力が拡大化され世界そのものの事象を書き換える力があります」
「……つまり世界の法則を変えたり出来るという事か?」
「ええ、権能によっては澪さんのおっしゃる通り物理法則を塗り替える事も出来ます。ちなみにその領域に踏み込んだスキルを超越スキルなどと呼ぶ事もありますよ」
「なるほど、確かにそれなら神の力と言っても過言ではない訳だ」
テアの説明に一人納得する澪だが周りはイマイチ理解出来てないようだ。
「……スキルの上位互換だと思ってもらえれば大丈夫です」
「「「なるほど」」」
少し呆れた空気を出しながらテアがそう言うと、今までちんぷんかんぷんという雰囲気だったメンバーが頷く。
ハクアの理解力の高さにつまらないと思う事も多いが、こういう時ハクアの雑な例えとまとめ方のありがたさを痛感するテアだったりもする。
「話がそれたな。それでそれぞれの力についてだったな。とりあえず……」
そう前置きした澪は、今現在把握しているハクアの権能に就いて話し始める。
まずハクアの代名詞とも言える暴喰。
ハクアがこの世界に来た最初からあるスキル。
能力は相手を食う(取り込む)事でスキルを得る能力だったが、今やスキルから権能にまで至った事でその効果を拡大、体力の回復やエネルギーの貯蔵、食べるという事象を具現化した暴喰の牙などの直接的な攻撃も出来る。
次に怠惰。
元々勇者のギフトを奪った際に怠惰の因子を何故か取得していたが、龍の里で怠惰の邪神との戦いを経て七罪スキルとして手に入れた。
能力は自分以外を強化するサポートスキル、自身が動かないという枷を付ける事で更に強化する事も可能。
もう一つは伸縮する手のようなものを使って物を動かす事が出来るスキル。
本人曰く手の形をしているサイコキネシスや念力に近い力のようなものらしい。
そして最後、七罪スキルを(今の所は)デメリットなしで取り込む事が出来るハクアの力を頼って来た、元天使ルシファーであるルシェの持っていた傲慢と虚飾のスキル。
「能力の傾向は虚飾は幻覚系の強化と実態化、傲慢は他者の尊厳を踏みにじる……いや、他者を侵食し己の侵食を防ぐ感じか。好き放題やるけどやられるのは好きじゃないみたいな感じだな」
「最後のまとめだけ聞くとアレですけど、確かにまとめるとそんな感じですね。それに力が増して権能になっただけじゃなくて、最初からあった暴喰を中心に相互作用も出てますよね?」
「だな。余程相性が良いのか、それともなにか別の理由があるのか……」
そう言いながらチラリとテアに視線を移す澪。
だが当の本人は何処吹く風と言った様子で涼しげに笑みを浮かべている。
「澪さんのおっしゃる通り白亜さんの七罪は今そのような感じになっています。そして先程の私の台詞の答えそれがルシェです」
「ルシェ?」
テアの言葉に全員の視線がルシェに集中する。
「ルシェ、貴女の持っていた傲慢の七罪スキル。その能力を言えますか?」
「えっと私の傲慢の能力はハクア様とは違いもっと単純なもので、誰よりも強力な肉体強化のスキルでした」
「肉体強化? ハクアの方は防御寄りと言う感じだが、攻撃寄りだったと言う事か?」
「いえ、私の強化スキルは単純だった事もあり攻防一体でした」
「ええ、つまりは全ての生物を蹂躙する傲慢です」
「蹂躙する傲慢ですか?」
テアの言葉に瑠璃は意味がわからないと言ったように聞き返す。
しかしその台詞で澪は得心がいったように頷いた。
「つまり七罪スキルは持つ者によってその効果や能力が変化するという事だな」
「はい。その通りです」
「なるほど道理であいつらしい能力だと思ったら……」
「七罪とは人の根源にある原初の罪。誰もが持つそれは七罪スキルを得た段階で所有者の魂にアクセスし、その者の根源を映し出しスキルとして反映させます」
「思想、欲望、願望、それらを読み取り能力や力を与える。自身の根源にあるものだからこそその相性は良いのだが、その反面相性が良いために誰もがその力に呑み込まれるそれが七罪スキルであり、七罪の邪神だ」
テアの言葉を引き継ぎ心が語る。
「じゃあハーちゃんは?」
「今の所大丈夫だよ。まあ、むしろ私達としてもなんでハクちゃんが全然平気なのか全くわかんないけど」
「まあ、話は逸れましたがつまりはそう言う事です。白亜さんが発現させた傲慢の能力は、澪さんの言葉を借りるなら自身への不可侵と他者への侵食───でした」
「でした?」
「つまり、あの馬鹿は本当の能力を隠してたか、もしくは土壇場で成長させた───と、言う事だな?」
「ええ、その通りです」
「ええ〜、なんでそんな事を? まあ、ハーちゃんらしいと言えばらしいですけど」
「……この展開予想してたか、もしくは予感してたから一矢報いる為に隠してたんじゃないか?」
「そんな事は……ないとは言いきれませんねハーちゃんですし」
瑠璃の言葉に全員が確かにと心の中で納得する。
全員ハクアにいい感じに毒されてきている証拠である。
「それで結局あいつの傲慢はどんな能力なんだ?」
「白亜さんの傲慢は恐らくルール───法則の無視です。ですから他者をコントロールする事や、法則を無視したような力の吸収なども可能になっています」
「なるほど、あいつの考える傲慢だから、他者を屈服させたりコントロールする方は、興味が薄いからスキルでも出来る範囲に留まり、逆に自身に作用する力は法則を破るくらい強いのか」
「ええ、その通りです。そして澪さんが感じたこの戦闘の違和感。それがアクティブスキルのパッシブ化です」
テアの答えを聞いた瞬間、澪はハクアと咲葉の戦いに視線を急いで戻し納得した。
「そうか。違和感の正体……アイツの追撃スキルの威力が強すぎる事だったのか!?」
「その通りです」
澪の口にした答えを聞いたテアは嬉しそうに笑い頷いた。
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