そこをハクアさんに言われてもどうしようもないんだよ?
年末の繁忙期に忙殺され更新出来ず申し訳ないです
「しかしアレだね」
「なんですか?」
トイレやら摘める物やらを皆が用意しに行っている間、ただ縛られた状態で投げ捨てられ、椅子代わりに座られているのもあれなので話題を振る。
「私達的には龍と竜ってなんとなくニュアンスとか言ってる内容でわかるけど、意外と皆話に着いてくるもんだね」
「ああ、それは確かに私も思ったな」
「そうですね。私もたまにごっちゃになるのに皆はちゃんと着いてきて凄いですよね」
私の台詞に澪と瑠璃も同意する。
どうやら同じ事を思っていたようだ。
「ああなるほど、そういう事ですか。白亜さん」
「なんぞ?」
「【●◎○◇※】【□◆●○◇】」
「……今なんつった?」
「今のがこの世界で龍と竜。二つを指すそれぞれの言葉です」
「なんですと?」
えっ、ここに来て対した仕事してないと思ってた異世界言語の設定が復活してくるの?
「異世界人にはこちらに来る際に言語を理解出来るように設定がされていますからね。日本語と違って全く違うので皆さんより分かりやすかったと思いますよ」
「そ、そうだったのか……死に設定かと思ってたけど意外と活躍しとったのか。アレ? じゃあ今まで聞いてきた中にも結構あった?」
「そうですね。ことわざ系はほとんど似た意味のものに置きかわってますよ。あとは機械と似た効果の魔道具の名称も一部はそうですね」
「マジかよ。でもことわざって前に聞いたのはこっちのっぽい感じだったけど?」
「ああそれは置き変えずとも通じるからですね。白亜さん達が理解出来る場合はそのまま伝わるようになってます」
もしかしてもしかしなくても異世界言語のスキルが一番有能です?
聞いた感じ一番融通利く気がするんですが気の所為です?
「私も今ちょっと驚いてるぞ。いやマジで」
「私もです。普通にこっちの言葉とかことわざ使うんだなぁとか思ってました」
「うむ。転生者とか転移者が居るから広まって異世界感薄れてんだと思ってたわ」
「実はガッツリ異世界言語ばっかりだよこの世界」
マジかよ。
「えっとじゃあ、この世界が共通言語話してるってのはあってる?」
「ええ、そこは合ってますよ。ただし、各種族に独特な言い回しなどは有りますが」
「う、ううむ。それくらいなら許容範囲?」
「まあ、多分な」
「ですかね?」
ちょっと今回の話しで一番ビックリしてるんですが。
「どうかしたんですか皆さん?」
などと話していると休憩やツマミを持って皆が帰ってきた。
あの……私今縛られて椅子代わりにテアに座られているんですがその辺はなんのツッコミもないんですの?
「いえ、大した事ではありませんよ」
「まあ、いまさらだし確かにそうやね。驚いたけど」
「確かにな」
「そうですね。普通はここまでの話の方が衝撃的なはずですからね」
三人で揃ってうんうんと頷く私達を不思議そうに見ながらミコトが口を開く。
「でもアレだね。私達って自分達の事もちゃんと知らなかったんだなって思ったよ」
「その心は?」
「だって今聞いた話、龍族の力や生態のことだってそういうものだとしか思ってなかったけど、実はあんな感じだったってちょっと驚いたんだよね」
「まあ、自分達のことなんざわかんない奴のが多いだろ」
「ああ、そう言えば言い忘れていました」
ミコトと私の話を聞いていたテアが手をぽんと叩く。
「何を?」
「肝心の龍の力と鬼の力がなぜ生まれるのかという事を言うのを忘れてました」
「ああ、確かにな。同じ理屈でほかの種族にも特別な力があってもおかしくないもんな」
「えっ? なんでって鬼珠と竜玉───龍ならドラゴンハートがあるからだろ?」
当たり前の事を言ったつもりだったが何故か皆が驚いてこっちを見ている。
「続けて下さい」
「いや、続けろも何も鬼珠は鬼の力の凝縮結晶体。言わば破壊の力の根源で、鬼はそこに気の力を貯めたりそこを通す事で鬼の力を発揮するんだろ?」
だからこそ鬼珠から作られるスキルや鬼珠装備などは、自身の資質に基づいたものが形作られるのだ。
「同じようなのは竜玉。下位の竜が持ってるものだけどアレはマナを取り込んで自身の力と混ぜ合わせたものの結晶体だ。それを竜は強化に使ったり、環境の適応に無意識に使ったりしてんでしょ?」
そして竜は龍へと進化、昇華する時にその竜玉を自らの魔核と融合させる事で、ドラゴンハートを作り出し自らを別の次元へと押し上げる。
「なるほど下位の竜には竜玉があるのに、どうして過去の龍討伐例に同じものが無いのかと思ったがそれが理由か。魔核───魔石が出ないのもそういう訳だな」
「うん。二つの融合したものがドラゴンハートだからね。ドラゴンハートは龍族の力そのもの、ドラゴンハートに至る事で出力も肉体の強化も数十倍に跳ね上がる」
だからこそドラゴンハートは世界最高峰の素材とも、最高峰の魔術触媒とも言われる伝説級のお宝扱いなのだ。
「利点は龍への覚醒。その反面、明確な弱点にもなるけどまあ、竜と龍じゃまったく別次元の強さだからこの辺はなんの不利益にもなんないよね」
「正解です。よくわかりましたね白亜さん」
「まあ、私にも一応あるからね」
私の一言に皆の視線が注がれる。
「そう言えばそうでしたね。でもハーちゃんは龍の力も使えるのにあるのは鬼珠だけですよね? それに下位の竜を倒すと竜力というスキルが付きますけど竜玉とかもないですよね?」
「下位の竜を倒して得る竜力のスキルは、他種族には強力な物ですが実際は竜の出力の一割にも満たない紛い物なんですよ」
「えっ!? そうなんですか?」
「ああ、龍族ではない下位の竜でもほかの種族からしたら強力な力。その一割でもかなり強く感じるが実際にはその程度だ」
「心さんの言う通りだね。才能のある人でも引き出せて二割ほど、それ以上ってなるとちょっと問題が出てくるんだよ」
「問題……ですか?」
「竜の力でも四割引き出せば魂が侵食されかねないのよ。稀に多くの力に適応した者でも、身体が竜へと近付きやがて思考さえ失った竜になるわ」
「あ〜、咲葉の言うそれって、中途半端に適応したのがリザードマンとかワイバーンの大元?」
「正解よ」
なるほど、確かにそれなら純血が出来損ないの眷属程度の認識なのは理解出来る。
まさに至れなかった者達って訳か。
「今となっては一種族として成り立っていますけどね。話は逸れましたが竜玉がないのは同じ理由で、竜玉を作れるほど力がないからですよ」
なるほど。
「そして白亜さんですが……その……最初は同じ理由でしたよ?」
言葉濁すのやめようか?
「白亜の場合は最初竜の力が足りず竜玉は出来なかった。その後鬼の力が高まり鬼珠が出来たが、竜の力が体内にあった事で鬼珠にその力が流れ込んだんだ」
そこから更に鬼の力と竜の力が高まった。
そして龍の里での経験が竜の力を龍の力へと変化させ、私は鬼龍の力という二つの力の融合したものを手に入れるに至ったらしい。
「私としても両方育てる事でこんな事になるのは予想外でした。そもそも鬼が龍に至っても龍が鬼に堕ちても、鬼龍なんてものになることなどありませんでしたからね」
「そこをハクアさんに言われてもどうしようもないんだよ?」
だってハクアさん自身わかんないんだからな!
「まあとりあえずこいつはいつも通り独自路線突っ走ってるって事だろ?」
「ええ、その通りです」
ねえ、だから皆その一言で納得するのやめない?
「さて、それでは話だけしていても暇でしょうから───」
そこまで聞いた私は猛烈に嫌な予感がした。
その直感を信じて私は関節を外し、一気にロープから脱出すると逃走を図る───が。
「みぎゅ……」
見えない壁にぶち当たり崩れ落ちる。
「白亜さんも慣れてきたようなので少し運動と行きましょうか」
こうして私は逃げるのに失敗した。無念。
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