まあ、私なら楽勝楽勝
「そもそも龍ってか、ドラゴンって普通の生物よりも魔法生物に近い扱いだよね?」
「そうなのか?」
「多分」
魔法生物。
代表格としてはゴーレムなどがあげられるそれは、自然発生したものではなく魔法的要素で人為的に作成されたものを指す。
「もちろん今となっては違うけど走りはそうなんじゃないかなと思っている」
まあ、それ言ったら他の生物もそうだけど、私的にはドラゴンはその感じがより顕著と言うか強い気がするんだよね。
「正解です。白亜さんはどこで気が付いたんですか?」
「むしろ全部かなぁ〜」
そもそもの話、ドラゴンは素材として全てが余す所なく優秀だと言われている。
内臓、血、爪、瞳に牙に鱗の一枚に至るまでその全てがだ。
そして極めつけはドラゴンハート。
通常モンスターの体内に作られる魔石とは一線を画すそれは、手に入れれば生物の種としての限界を越えられるとまで言われるものだ。
内情としてはマナにドラゴンの力が混ざり合う事で結晶化したものだが、同じものである自然界に存在するマナストーンと呼ばれるものとは内包する力が段違い。
逆に言えばドラゴンの中にドラゴンハートが作られると言うよりも、ドラゴンハートを核にドラゴンが形作られる魔力の受肉体という方が正しく思える。
まあ、こんな風に思うのも対邪神戦で受肉してる場面を見たからなんだが。
「ぶっちゃけそんな都合の良いもんが自然発生したとは考えにくいんだよね。それにどっちかと言うと人為的にマナを結晶化させる生物を作ったと言われた方が納得出来る」
「まあ、成り立ちの話なので今は違いますが大元を辿ると白亜さんの推察通りですね。そしてだからこそドラゴンハートを核としたそれを護り、育てる生物としての特性それが───」
「強化って事か。魔力の受肉体を強化する事で強靭な肉体と大出力の魔力放射、それら全てを可能にする生物と」
確かに、生まれた時から強者なんてのは龍族くらいだもんな。
「ええ、それも特徴ですね。そもそも白亜さんとお嬢様は薄々勘付いていたのではないですか?」
「そうなのか?」
「まあ? 練り上げた力に対して結果の威力が違うなと思ってはいた。誤差って言える範囲ではないけど、元々龍の力使うと出力でかくなるから気の所為かと思ったけど」
「私もそんな感じですね。でも私はハーちゃんほどは感じませんでしたけど」
例と言えばブレスなどがそうだろう。
元々バカみたいな力を放出して放つものだが、それでも集めた力に対して結果となる破壊力が大きいと思っていたが、まさか種族特性のようなものだったとは。
だが、それが龍族の強化の属性と言われればまあ納得ではある。
「……てことは、龍族の身体って長年の強化に耐えうるように進化した形って事なん? それなら下位の竜種は……ああ、そっちは強化に適応しきれてなかったり何かしらの不順が起きたタイプか」
それなら進化する事でそれが解消されるってのもわかる気がする。
「まあ、そんな所でしょうね。今や独自の生態系になっているので神でも詳細は分かりませんが」
「ふ〜ん。そうなん?」
「世界は独立してるようで意外と繋がっている。特に種族として確立されたら、なんらかの形で他の世界でも生まれる事が多いんだ。そうなると独自の進化や生物系が進み、神でも把握しきれなくなる」
なんだそれ101匹目の猿みたいなもんか?
でもあれって実はフィクションだったような?
「似たようなものですね」
だから口にした事にだけ反応しようよ。
「強化の属性はそれに耐えうるように進化した龍の強靭な肉体があって初めて最大効果を発揮します。しかし龍族を倒しその魂の情報を得る事で他の種族もその力の片鱗が宿るわけです」
ああ、それが龍殺しの称号とかスキルに繋がるのか。
「単純な倍率で言えば大体龍で五倍、竜で三倍ほどですね。白亜さんは二•五倍ほどでお嬢様は一•五倍程の倍率ですね。これはスキルによる強化とは別枠のダメージの強化となります」
「なんと!?」
これは簡単に言えば攻撃力100の人間が身体強化二倍だとすれば単純にダメージが200入る。
通常これにスキルの倍率が入り攻撃力の二倍だとすれば400のダメージになるのだが、この強化はここから更にダメージに倍率が入り龍なら五倍、つまり2000のダメージが入るという計算になるのだ。
実際これよりも細かい要素が入り計算はもっと複雑なのだが、単純に言ってしまえばこういう事だ。
しかしよく考えて欲しい。
これはあくまで人間ベースの考え、実際の龍は高いステータスに高度な身体強化、更には倍率の高い攻撃スキルを持っている。
つまり基礎とスキルから全く違うのにそこから更に五倍の倍率とか、そりゃ最強種族とか言われますわ。
やっぱり防御力なんざゴミだな。
全部避けるくらいじゃなきゃ簡単に消し炭だわ。
やはり私が考えた通り、今から防御力を上げる努力をするよりもスキルによる軽減を目指すべきだろう。
改めて私の目指すべき方向性が決まったわけだ。
まあ、1番はそんな事態にならない事だが、あくまで一応念の為と言う奴だ。
私の回避能力があればそんな事態にはそうそうならないが、あくまで念の為、周りが言うには私はトラブル体質だとか失礼な評価があるから念の為だ念の為。
そう私は決して諦めない!
この作品はバトルものではなくて私が好きな事だけしてマッタリと過ごす作品なのだから!
まあ、私なら楽勝楽勝。
だからお前いら白い目でこっちを見るんじゃねぇ馬鹿共が。
「ちなみにだけど通常で言えばお嬢様くらいが普通であって、龍族でもないハクちゃんがこのレベルで強化されるのは異常だからね」
ソウの言葉で全員の視線が突き刺さる。
「そうだな。通常は龍族の強靭な肉体あっての強化。それを人間の身体でとなるとお嬢様の倍率ですら最高峰レベルだからな」
心の言葉で瑠璃には感心が集まる。
「そうね。鬼と言う種族を加味しても二倍が良い所、それも極めて身体能力が高い個体で……ね。それを身体を壊しながらそこまで強化出来るのはある意味では才能なのよね。ある意味では」
咲葉の言葉で再び私に冷たい視線が浴びせられる。
「まあ、白亜さんですから」
トドメのテアの言葉で冷たい視線が生温かいものへと変化して私の心はズタボロである。
泣いてもいいだろうか?
「つまりまとめると龍族の強化ってのは細胞レベルに組み込まれた身体強化に、それとは別物のダメージ倍率───いや、全ての術式に干渉する二重の強化って事?」
「そうですね。そして白亜さんやお嬢様を含めた他の種族が獲得出来るのは、強化属性である術式強化という訳です」
「仮に無理矢理前者を他の種族に付けたら?」
「おそらくは身体強化に耐えられずに死に絶えますね。自身の強化で心臓などが潰れます」
ドラゴンだから耐えられるフィクションの超人体質に近い扱いか。
自分の筋力に内臓から骨から耐えられなくて自壊するアレ。
そしてそれの能力版が私であると。
「フゥ……やっぱ泣いて良い?」
「泣いても良いが誰も慰めないぞ」
「でしょうね!」
ド畜生が!
読んで頂きありがとうございます。
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