私以外にはな!
「さて皆さん。ここまでの話は理解出来ていますか?」
一段落という事でテアがここまでの話をまとめて確認を取る。
若干怪しい人間が何人かいるがほぼ全員が着いてこれているようだ。
「まあ、一応と言う枕詞は付くがついて行けてはいる。その上で聞くんだが、こいつの鬼力や龍力はどう言った扱いになるんだ?」
ああ、そう言えばちゃんと聞いた事はなかったな。
とりあえず私個人としては鬼力は気力の延長線、龍力は魔力の延長線上の力と位置付けてはいるけど実際の所はどうなのだろう。
「それは白亜さんが定義した通りですね。仙力とマナにそれぞれの種族としての力がブレンドされ、その特徴が大きく出たものです」
ふむ。まあ、予想通りではあるがここでちゃんと裏付けが取れたのが大きい。
なにせ今までテア達はその手の話題は自分からはあまり話さなかった。
だが、ここに来てそれを話したと言うことは私達もその段階に来たと言う事だからな。
まあ、それはさっき言っていた事でもあるが、こいつら口で言ってても信用出来ない部分があるから、簡単に言葉を額面通りに受け取れないからなぁ。
「……まあ、この辺は予想通りだったか」
「そうですね。敵としても仲間としてもこの手の情報は大事ですからハーちゃんとも結構話してましたからね」
「強いて言えば鬼の力は破壊の属性が、龍の力は強化の属性が付いています」
「鬼の破壊はわかるけど、龍の力の属性って強化やったん?」
そんな感じのものってイメージはなかったのですが?
「はい。まずは鬼の力の説明から、破壊の属性は物質の破壊に特化したものの事です。白亜さんは脆弱と破壊を別々に使っていますが、本来それは一つのものなんですよ」
「なんですと!?」
つまりはわざわざ脆弱を付与しなくても破壊の属性にデフォルトで付いていると言う事? でもその割に私が使う時はそんな感じしなかったのだが?
「疑問に思っているようですが白亜さんならその理由はわかるはずですよ」
いや……わからんから疑問に思っているのだが?
「ハクちゃん。ヒントはアカシックレコードだよ」
「ああ、なるほどそういう事か。つまりこうか」
ソウからヒントを貰った私は、早速その仮説が正しいものである事を確かめる為に鬼力を使い、自分の体にぐるぐると巻き付いているロープを破壊する。
「うむ。でけた」
「いや、ちゃんと説明しろよ」
「強いて言うなら工夫と想像力の欠如的な?」
「なるほど」
「ミーちゃんもそれで納得するのやめて貰えます? それじゃあハーちゃんと変わりませんよ。ちゃんと皆にもわかるように説明して下さい」
「おい瑠璃。暴言も程々にしろよ」
「ナメんなそれはこっちの台詞」
「どっちもどっちですよ」
こんなのと一緒にするのはやめて欲しいのだが。
「で、どういう事なんですか?」
「ああ、つまり認識していないものに関してはその効果も発揮されないって事だ。わかりやすい例えで言えばこいつのスキルの隠れ方だな」
「「「あ〜……」」」
「あ〜、やめてくれません!?」
いつもいつもそんなリアクションしやがって。私だって好きでこんなんなわけじゃないんだが!?
「それで正解だろ?」
「そうだね。正解だよ。今まで私はこの二つは別々のスキル、属性と思い込んでた。けど今の話で同一のもの、内包していると認識して使ったらちゃんと両方の効果がスキルに乗っかった」
つまりは私の勘違いでスキルが正しく発動出来ていなかったのだ。
思い込みで選択肢の幅が狭まるなんて事、わかっていたはずなのに情けない限りである。
ちなみにだが私が認識して使った直後に、脆弱の属性スキルは破壊属性に統合された。
一度理解実践出来れば大丈夫なようだ。
「はぁ〜。ハクアがそんな風なの珍しいね。私はいっつもハクアの行動や考え方で驚くからちょっとビックリだよ」
「確かにミコトの言う通りですね。ご主人様の思考や考え方は私達とは別次元なので、こんな風に勘違いするのは珍しいです」
いや、言うて私初期の頃とか普通に勘違いしまくってましたよ?
周りの人間が使えるからこの世界の人間全員、魔法使えると思ってたとか結構な勘違い多いんだよね。
「ハーちゃんは勘違いも多いですけどうっかりも結構多いですからね」
「それに関しては反論出来ん」
結構前からそうだし。
そのせいで詰めが甘いとかよく言われてたなぁ。
「検証済んだんで続きよろ」
「わかりました。物質の破壊と言いましたが分かりやすく言えば対象にした物質の形状、性質、機能などを損なわせると言うのが正しいですね」
「それは分かりやすいのか? 単純に対象とした物体の脆弱性を上げて外傷を大きくするで良くないか?」
「同じでは?」
「ん〜。若干、心の説明の方が皆理解出来るみたいよ」
「くっ、まあ理解出来たのなら良いでしょう」
「悔しがってる?」
「悔しがってるな」
「悔しがってますね」
「……続けますよ」
珍しいものが見れたので気分よく次に行けそうである。
「後に説明しますが、この属性は崩壊などと同じで上手く扱わないと術者自身にも影響があるのが特徴ですね」
「まあ、私はそれで散々苦労している訳だが」
「ええ、ちなみに破壊、妨害以外では腐食や毒なども術者に影響のある属性ですね」
「毒も?」
「ええ、大抵は自身の毒に抵抗出来るように毒耐性のスキルが付きますが、たまに毒系スキルだけを発現させて苦しむ者も居ます」
わ、私はそんな感じにならなくて良かった。
今の私の毒が自分に牙を向いたら速攻死ぬ未来しか見えないもん。
「破壊の属性は鬼の特徴と言う事で良いのか?」
「はい。鬼種は破壊属性を備えている事が多いですね。それゆえ鬼種は強者と言われる事が多く、格上相手にも単身で勝つ者が多いんですよ」
まあ、確かにこの属性は危ない反面、扱うことさえ出来れば強力な武器になる。
文字通りフィジカルモンスターな鬼にはベストな組み合わせと言えるだろう……私以外にはな!
「続いて白亜さんの疑問だった龍の力の属性です」
「そうそう。ぶっちゃけ使ってても龍の力の属性が強化とかピンと来ないのだが?」
私の言葉にミコトを初めとした龍チームも頷いている。
「端的に言えば竜も龍もその一個体で最強と言っても過言ではない種族です」
それはそう。
「しかしその巨大な身体は常に魔力をまとい自己を強化しています。これは本能レベルなので本人達には自覚はないでしょうけどね」
その言葉にミコト達は少しの驚きと共に自分達の手をまじまじと見ている。
「白亜さんはわかるでしょうが、通常の生物学的にあの身体で動けると思いますか?」
「無理かな?」
ぶっちゃけミコト達の龍形態は地球のファンタジーモノに出てくるドラゴンそのものだ。
多少の個体差はあれどほぼ全ては地球人が頭に思い浮かべるドラゴンの形と言っても良い。
しかしわかるだろう。
私達の思い浮かべるドラゴンの手足は思いのほか小さい。
大きいのは大きいが、ドラゴンの有する筋肉量と大きさから考えるとそのバランスはもっと手足にあってもいいくらいだ。
それこそ自然界の生物としてなら、地龍のような四足歩行タイプでようやく生物的に成立すると言った所だろう。
「そ、そうなんだ?」
自分達の事ではあるがやはりピンとは来てないミコト達だった。
さもありなん。
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