お前らしいオチがついたな
バシュンという音を立てて変身が解ける。
全く、人を勝手に着せ替え人形にしおってからに……いや、衣装ごと変身で変わるから着せ替え人形ではないのか?
「それで白亜さん。身体の調子はいかがですか?」
「あん?」
ああ、そういう意図もあったのか。
つまり、変身出来る種類が増えた影響と、それに伴って短時間で複数の変身こなした場合の変化を試したのか。
これは後で自分でも試そうと思っていた検証の一つだったが、なんとも抜かりがないこって。
「思ってた以上に負担は少ないかな。まあ、ここから更に動いて行くと分からないけど」
「そうですか。流石にここまで変身出来る数が多い方は中々居ないので少し警戒していましたが大丈夫そうですね。私達にしても他に事例がなく分からない事が多いのでなにかあった場合はすぐに言ってください」
「りょ」
「さて、それでは次は他のスキルについても説明していきましょうか。まずは【殺神】【龍毒】【鬼龍の威圧】です」
「持ってる奴と同じで物騒な名前のものばっかだな」
「ちょいちょいディス入れるのなんなん?」
失礼な奴め。
まず【殺神】だがこちらは元々あった【暗殺術】がスキル進化したもの。
効果はバックアタックや相手に気が付かれずに攻撃すると威力上昇、その他盗賊のようなスニーキング系のスキルも内包していた【暗殺術】の全ての補正効果が上がったような感じだ。
名前の割には地味なパワーアップである。
続いて【龍毒】。
こちらも【竜毒】からの進化となっており、龍をも殺せる毒性を手に入れたスキルである。
まあ、そうは言ってもミコト達クラスには効きにくいレベルらしい。
「使えないレベルのスキルなのか?」
「そんな事はありませんよ。何せ龍の血は、通常力の弱い生物には高い毒性がありますからね。それに加えて毒が付加された物が弱い訳がありません」
下手に人間に使ったら毒で苦しむどころか身体が溶けるような凶悪なものらしい。
なにそれ怖い。
続いての【鬼龍の威圧】、こちらは【威圧】からの進化となっており、その辺の一般人や弱い魔物に使うと殺気だけで死んでしまうのだとか。
これも怖いのですが……。
「どんどん凶悪な兵器と化してるな」
「言わんといて」
「まあ、白亜さんならその辺の使い方は大丈夫でしょう」
それくらいの信頼はされていたらしい。
くっ、当然の事なのにちょっと嬉しい。
「次の【鬼神龍之外殻】と【鬼神龍之角骨】ですがこちらも元となったスキルの強化系ですね」
「まず【鬼神龍之外殻】は更に効果が上がり全ダメージを50%軽減、【女神の守護】と合わせて70%の軽減となります」
「そんなになのか!?」
「はい。鬼の肌は物理ダメージを軽減する効果、龍の鱗は魔法ダメージを軽減し物理ダメージを少し減らす効果があります。それが合わさったの【鬼神龍之外殻】は全ダメージを減らす訳です」
「ほ、ほほう」
あまりに高い効果に少しソワッとする。
デバフやデメリットなく単純に効果が高いスキルなどあまりないので素直に嬉しい。
「まあ、白亜さんの場合防御力があれですので、結局ダメージとしては並程度なのですが」
「ドチクショウ!?」
結局! 結局こうなのか!? デメリットがないスキルなのに私自身がデメリットとかってオチがつくのか!?
「まあ、お前らしいオチがついたな」
「やめて!? スキルの効果確認にオチなんか普通つかないんですのよ!?」
「お前だからしょうがない」
くそう。
実際オチつきだから何も言えない。
「では続いて【鬼神龍之角骨】ですが……そうですね。説明は難しいですが白亜さんの骨は更に硬くなりました。硬度で言えばオリハルコンに近いという所でしょうか」
「……マジすか?」
「マジです」
「白亜、君ならゲームでも知ってるだろう。龍の素材や鬼の素材はかなり効果な装備になると」
確かに心の言う通り、ゲームで言えばその二つの素材はかなり強敵の素材に分類される。
そう言われればその二つの力を持つ鬼神龍の骨なんて物ならそれくらい硬くとも不思議ではない。
……つまり、私の腕を切り落としてその骨を使えば───いやいや、流石の私でもそこまではしないんだよ?
「……するなよ」
「しないよ!?」
「えっ? するなって何を?」
「なんでもないので大丈夫だから気にするねい千早」
いや、マジでなんでもないからコロもアイギスもそんな獲物を見るような目やめてね? 最近たまに前より二人の目が怖い時が……いや、気の所為、気の所為。
私はまだ仲間のはずです。決して素材としてなんか見られてないはず……はず、だよね?
「サクサク行きますよ。【鬼龍】はステータスを上げる効果でしたが、白亜さんの場合は源星を上げる効果に変わりました」
【風霊紋】は前に説明された通り、風耐性を上げつつ速度を飛躍的に強化する。
【邪神特攻】はそのまま邪神に対してダメージが上がる。
「次の属性スキルですが【鬼】【龍】【神】【聖魔】は攻撃にも付加させる事が出来ますが、白亜さん自身の属性でもあります」
「つまりはそれぞれが特攻に刺さる属性という事か」
「はい。澪さんの言う通りです。ちなみに【聖魔】は聖属性、魔属性二つの属性でもあります。つまり───」
「私、ゴブリンも含めて特攻が6個刺さるようになった……と」
「そうですね」
「なんで私は強くなると弱点が同じかそれ以上に増えるのだろうか?」
悲しい。
「それは混成タイプの辛い所ですね」
「混成タイプ?」
「ああ、君は知らなかったか。混成タイプとは複数の属性を持つ生物の事を指すんだ。このタイプは油断ならない強さを持ってる反面、弱点も多くなるのが特徴なんだ」
心の説明に思い当たる節しかなくて辛い。
「複数属性を持ってる敵は強いんだけど、相応に攻略準備をすれば結構なんとかなるのも多いんだよねぇ」
「確かにゲームでもそんな感じだな。とはいえ、弱点がない強敵も普通に居るが」
「私もそんな生物になりたかった」
「お前だし無理だろ」
ドチクショウ!?
「ちなみに他の属性はどうなん?」
「【強酸】【脆弱】【貫通】は攻撃にのみ付与出来る属性ですね」
「良かった。この上【脆弱】なんてものが適用されたら泣き崩れる自信があった。でも【破壊】とかはないのな」
「そこは鬼の属性や他の属性に含まれているか、変身スキルで変身した時に現れますね」
なるほど。
そしてあとは権能か。
唯一変わった【神魔の両腕】は腕の力が更に増したのだそうだ。
実体化した状態で見えなくする事も出来るようになり、伸ばせる距離も長くなった。
そして操作性も上がったらしく、ちょっと使っただけでも細かな操作が出来るようになっていた。
手の形をした念動力と言った方がわかりやすいだろうか?
しかしなんとなく……なんとなくだが、自分の意思があるように思うのは気の所為だろうか? いや、流石にそれはね? 気の所為だと思うのよ。
うん。気の所為、気の所為。
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