外部入力有りとか聞いてないんですけどー!?
「変身系スキル。この間呼び出された時最後に見たのがそうか?」
「ああ、あれですね。ハーちゃんが十二単衣みたいな豪華な格好しててすっごくテンション上がりました。また見たいなぁ」
うん。目が笑ってない気がするのはきっと気のせいだろう。
「うむ。あれは【倶利伽羅天童】だよ。その他にも龍の里で【日輪狼スコル化】【月光狼ハティ化】【龍人鬼】【省エネモード】も増えた」
軽くだがそれぞれの変身について語ると全員が目を丸くしている。
「なんかめちゃくちゃ増えてるな」
「全部見てみたいですねアリシアちゃん!」
「はい。是非見たいですねルリ!」
お二人共なんか目がギラついてませんこと?
目をギラつかせ鼻息を荒くする二人を筆頭に、何人か無言で頷いたり、興味深そうにこちらをチラチラと視線を送る者数名。
よし。余は何も知らぬ。
「自分の事で聞くのなんなんだけどこの【龍神・竜吉公主】ってなんぞ?」
「本当にどうかと思うぞ」
「うっせいやい! わからんのだからしょうがないだろ!」
それでもいくつかわかるのは竜吉公主というキャラクターの概要程度。
竜吉公主は中国の神怪小説封神演義に登場するキャラクターだ。
天界の高位仙女として描かれ、最近ではゲームキャラとしても出て来る事があり、水を操る能力や飛剣を操る能力が描かれる。
作中でも最強格に近い存在で特に水を使った結界や防御力が際立っている人物だ。
とはいえ、名前的には竜とか入ってるけど実際は関係なかったような気も……あれ、ちゃんと読んでないからアレだけどどうなんだろ?
「白亜さんも知っての通り竜吉公主は水を操る事に長けています。小説とは違いますが今の白亜さんに適している事から近しいものとして、これが名前になったんでしょうね」
「今の私に適してんの?」
「ええ、現在白亜さんの属性は水龍の力が大きいですから」
「えっ、なして?」
テアの言葉にハテナを浮かべながら聞き返す。
同じように話を聞いていたミコト達も不思議そうだ。
「それは恐らく私のせいかと」
「ベルディアせい? なんで? どういう事?」
「私の中には水龍王の力がかなりあったので」
「ああ、なるほど」
ベルディアは敵対していた時に、おばあちゃんを取り込みその力の大半を奪い去った。
そしてそのまま私が取り込んだ事でその力も私が取り込む形になったそうだ。
どうしよう……あらあらうふふと笑うおばあちゃんの顔が見える……。
「それに関しては水龍王も知っているので大丈夫でしょう。そもそも、その可能性に気が付いていなかった方が驚きです。本当に時々抜けていますね」
「PONが多くてごめんなさいね!」
「話を戻すと倶利伽羅天童が固定砲台だとすれば竜吉公主は移動砲台と言った所ですね。出力的には劣りますが、利便性はこちらが上かと、防御に関しては結界での防御が主なようです」
「へぇ〜」
その他バフ、デバフもばらまけるようで、後衛の魔法使いといった運用能力らしい。
しかもベルディア───というか、怠惰の権能のおかげで、後衛をしていれば自分も仲間も強化されるので大変お得だったりする。
これで私も後方腕組待機を合法的に出来るという訳だ。
「さあ、それでは一度変身してみましょう」
「えっ、説明だけで良くね?」
「ダメです」
「ダメとな!? えっ、これ新しいの全部試させられる流れ!?」
「もちろんそうですが?」
悪びれもせず不思議そうにするだと!?
「と、言うわけで変身させます」
「外部入力有りとか聞いてないんですけどー!?」
テアがパチンと指を鳴らすと私の身体が勝手に光だし、内側から龍の力が溢れ出す。
「……うわ、本当に変身しちゃった」
私の格好は仙女のような漢服へと変化し、その周りには四つの独立する水球が浮かんでいる。
少しその水球に意識をやるとそれは自在に動き回り、感覚的に好きな形にしたり、防御に使ったり出来るのだとわかる。
しかも感じる圧力から、その水球一つ一つに数百───いや千トン程の水が詰め込まれているのがわかり、これを当てるだけでも並のモンスターなら風穴が空くレベルだろう。
「ふむ。衣装も無事納品出来てますね」
「まずそこっておかしくね!? というかこれもお前らか!?」
「ええ、白亜さんが寝てる間に会議を行い決めました。ちなみにお嬢様達も嗅ぎつけて来ましたし、今回はミカとルシェも嬉々として来ましたね」
その言葉に二人を見るととても満足そうな顔でこちらを見て頷いていた。
その姿はまるで自分達の仕事ぶりに満足する職人のようだ。
……こいつらもこっち側かぁ。
「さて、それでは」
「のわっと!?」
言葉と共にいきなり短剣を投げ付けられたが、私が反応するよりも更に早く、水球の一つが動き出し投げ付けられた短剣を轟音を響かせながら受け止めた。
いや、普通に投げるだけでも危ないのに神力込めまくって強化するとか、なんか私に恨みでもあんの!?
「いえ、ないですよ。ただの検証です」
「今の自動防御という事か?」
「ええ、白亜さんが操作も出来ますが基本的にこの四つの水球は、白亜さんの意思に拘わらず敵と認識した相手を攻撃、害のあるモノを防ぐ盾となります」
「じゃあハーちゃんは何もしなくても攻撃も防御も出来て、その上自分でも魔法を使って攻撃出来るんですね」
「はい。ちなみにどちらもオートで出来ますが、自身で操作した場合の方が威力も防御力も上がります。そして更に」
そう言って近付いたテアがそっと手を伸ばすと、その手は私の1m程手前でなにか壁のようなモノに触れた。
「竜吉公主状態の白亜さんの周りには、常にこのような薄い水のベールが張られていて、水球以外でもある程度の攻撃は防げます」
ほほう。
つまりは魔法と防御特化の移動砲台。
防御は2種類で薄い膜のような防御と、水球による防御、更に自身で操作すればそこに結界の力も加えて更に強固になるらしい。
そして物理攻撃力が上がらない代わりに、魔法攻撃力が高くなり威力は約2倍ほどになっているのだそうだ。
「なかなか便利だな。組む相手によってスタイルを変えられるのは、こいつにも合ってるだろう」
まあ、確かに。
「さて、次は【天使化】を行ってみましょう」
「展開早くない!?」
「後が詰まっているのでサクサク行きます」
雑過ぎませんかね!?
言うやいなや私の身体は再び光に包まれ今度は暖かい力が溢れ出す。
「「「ふわぁ……」」」
光が収まると周りから溜息のようななにか惚けた感じの声が漏れる。
「で、これが天使化なわけか」
今度の姿は普通のブラウスっぽいものに赤いリボンタイ、下は白いミニスカートで、これまた白いニーソックスと白ずくめだ。
しかし腰のコルセットを筆頭に腕や太ももに黒いベルトが巻き付き、印象を引き締めている。
特筆すると髪の毛に所々金色の髪が混ざりメッシュのようになっている所か。
「めっちゃ好みではない服だが、思ったよりも普通だな」
もっとザ・天使とでも言うような白のワンピースっぽい物が来るかと思ったが、印象はゴシック的と言うか、ちょっと軍服みもある感じがする。
とはいえ上も下もフリルが多めで普通ではないのだが。
「ええ、今回これが1番揉めた衣装なので」
「……馬鹿なの?」
満足そうに頷く面々にそれくらいしか言葉が出て来ない私であった。
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