それ、なにかある時の言い方なんよ
「さて、それでは一つづつ処理して行きましょうか」
「処理とか言うのやめてくれません!?」
「数が多いので諸々割愛しながら行きますよ」
くそう。最近私のステータス割愛多すぎませんか!?
「───と、言う感じですね」
言葉通り過去に龍の里で説明を受けたスキルは、全員にサラッと流す感じの説明がされた。
その他私が開発した技もサラッと説明された。
誠に遺憾である。
「ちなみに白亜さんが作った【暴喰の咆哮】や血戦鬼が使っていた技を模倣した【誅鬼乱雲】などの技は【暴喰技】や【鬼刃流】などに統合されています。他にも幾つか他の物に統合されてますね」
「ああ、見覚えないのがあると思ったらそういう感じか。個別表示だと面倒だから統合された感じ?」
「その認識でも間違いではありません」
扱い酷ない?
「それでは次は白亜さんが一番疑問に思っていそうな事を片付けますか」
「それってスキル表記と知らん項目が増えて、あったモノがなくなった事?」
「そうです。とは言っても白亜さんならレベルアップの意味を考えればわかると思いますが」
「レベルアップの意味……ああ、そういう事か。ならレベルアップがある世界自体そういう……」
「相変わらずこの二人の会話は爆速で進むな」
「ほんとですね」
「まあ実際、内容知ってる私達ですらハクちゃんとテアさんの会話には少し置いてかれる時もあるから、他の子にとってはそうだよねぇ」
そんなん言われてもなぁ。
「それで? レベルアップの意味ってなんだ?」
「え〜と、前にレベルアップは魂の練磨だって話したよね?」
「なんかチラッと聞いた気がするわね」
「とりあえずそうなんよ。魂の修行に入ったからわかるだろうけど、ステータスは肉体に付随する外付けの数値、それを経験値……まあ、倒した相手の魂を獲得して強化するのがレベルアップ」
だからマッチョで低レベルの男よりも、高レベルの子供の方が力が強いなんてのもこの世界では普通なのだ。
「で、その魂の練磨をした先にあるのは種として限界を超える事にある」
「……つまりは各種族の臨界点の先、その先に至るために必要なプロセスという事……なるほどこの世界を含めて、レベルアップは神へと至らせる者を排出する修練場という訳か」
「私はそう考えた」
「なんだかんだ澪さんも理解が早いわよね」
「二人とも優秀ですから。でも神様になる為に必要って言うのはわかりましたけど、それとハーちゃんのステータスが変わった事にどう関係があるんですか?」
「言ったろ。ステータスは魂の強化値だって、そして神に至るってのはおそらく肉体を魂が掌握した状態、魂を入れる入れ物じゃなくて、肉体を魂が構成してるんだよ」
「簡単に言えば魂の物質化。肉の檻から解き放たれた魂は、肉体を凌駕し十全にその力が発揮されると言うわけか」
「多分?」
「ここまで来て自信なくすなよ」
だって全部推測でしかないし。
「さっきから二人が言っているけれど、レベルアップは神へ至らせる行為、いわばそのための補助輪のようなモノなのよ」
「咲葉の言葉通りだ。神に至り魂が肉体を凌駕した時点でステータスと言うサポートが必要なくなる。そのためさっきのように肉体の数値がなくなったんだ」
「ええ、通常は神へと至る時点である程度の神格に耐えうる肉体は持っていますからね。そこから先は肉体スペックも重要ですが、霊力や神力、新たに増えた源星の数やスキルの方が重要になるんです」
……今なんか不穏な言葉が聞こえた気がするのですが。きっと気の所為だよね?
「まあ、白亜さんの場合は当然足りていないのですが」
「やっぱりかド畜生!?」
「もはやただのネタになりつつあるな」
「ネタ言うのやめてくださいます!?」
「一応現在のスペックを前回と比較して数値化するとこんな感じですね」
HP:20000→50000
MP:8700→25000
気力:8840→26500
物攻:6500→23500
物防:4000→9800
魔攻:5600→20500
魔防:5000→11600
敏捷:9700→34000
知恵:5150→12400
器用:7510→27500
運 :130→100
わ、私のステータスが軒並み上がっているだと!?
「これは龍の里で肉体を鍛えた分もステータスに換算した場合と言う感じですね」
「わぁ、かなりステータスが高くなっていますねご主人様!?」
「ほんとだ。これなら今の私達ともそんなに変わらないね」
「what?」
「エレオノ、静かに!?」
「あっ、ごめ。なんでもないよハクア!?」
それ、なにかある時の言い方なんよ……と言うか今、自分達と変わらないとか言わなかった?
「……こっち側も2万位が平均だからな。主要メンバーで言えばお前よりももっと上だ」
「なん……だと……あれほど過酷な地獄巡りをしてきたのに……」
本物の地獄ですら生ぬるい可能性すらあるあの地獄の日々が負けた……だと!?
膝から崩れ落ちる私、そしてそれを見下ろしながら呆れる澪。
「お前、なんだかんだと1ヶ月以上居なくなってたんだぞ。それなのにお前に関わった奴がそれだけ時間あって変わらない訳ないだろ」
「私に関わった奴がとか言うなよ!?」
「でも実際、こっち側の子達は、私もみーちゃんも含めても、この世界の平均から見れば異常な程の上がり幅ですからね」
「いや、むしろお前らが居ると普通に感じるんですが?」
「酷くないですか!?」
「さんざん人の事言っといてどの口が言うのか!?」
「まあ、なんにせよ。かなり上がってるのにこの段階でも防御力一万行かないのが流石だな」
「うっせいやい」
「まあまあ、ハクちゃんは肉体のスペックが弱過ぎたからね。ここから先は魂の練磨が重要になる領域、むしら肉体の枷がなくなった分、成長は凄まじいはずだよ」
「そうなん?」
「ええ、肉体に限界はありますが魂にはありませんからね。龍の里での修行のおかげで、白亜さんの魂が抱えていた問題もなくなりましたから」
ああ、そういや魂的に防御力が限界とか言われてたっけ? あれも知らん内に解消されとったのか。
「あっ、ちなみにハクちゃん。神になってシステムのサポートがなくなった分、最初は勝手がかなり違うから気を付けてね」
「勝手が違うとは?」
「ステータスもスキルもシステムのサポートが入ってたからね。特にスキルや魔法なんかはガッツリシステムサポート入ってるから、感覚で言えばオートマからいきなりマニュアルに変わる感じ?」
「マジで?」
「マジで」
「大丈夫ですよ。白亜さんの場合はだいぶシステムを逸脱してましたから、元々サポートをそんなに利用していなし、何より白亜さんの行動や使い方が特殊過ぎてシステムも追い付いていませんでしたから」
なんだろう。うっすらディスられている気がする。
「さて、それでは続いて行きますよ」
「はーい」
「相変わらず切り替えだけは早いな」
それが長所なので。
「まずは白亜さんが進化した羅刹について語って行きましょう」
羅刹。
確か簡単な外用としては、仏教における鬼神の一種で、インド神話に由来する言葉。
元々は人を食らう恐ろしい存在として描かれ、仏教に取り入れられてからは、仏法を守護する役割も担うようになった神だったはず。
他にも男は【羅刹娑】と呼ばれ醜い見た目だったり、女は【羅刹私】なんて呼ばれる美しい女という説もある。
その他、【羅刹鬼】【速疾鬼】【可畏】なんて呼ばれ方もある。
有名なのは羅刹天として毘沙門天の眷属、四天王の一人だったり、十二天の一尊にも数えられたりもしてるんだよな。
果たしてここではどんな扱いなのやら。




