やっぱハクアなら十分有り得る展開か
「寝たのか?」
「はい。今ちょうど落ちたようです」
魔力が枯渇する事で強制的にスリープモードに入ったハクアは、テアに抱き抱えられながら気持ちよさそうに寝ている。
相変わらずのアホ面を見ていると不意にハクアからボワンと音と煙が出て流石にビビる。
煙が晴れるとそこには幼女化したハクアが居る。
どうやら力を使い切った事で更なる省電力モードになったのだろう。
スヤスヤと眠る幼女と化した姿に瑠璃とアリシアを筆頭に、何人かがこれまた幸せそうな顔をしながら鼻血を垂らして倒れる。
気持ちはわからんでもないが本当にこいつ等大丈夫か?
少し心配になるが今更どうなる訳でもないので放っておく。
今はそれよりも他に聞く事がある。
「それで? 何が起こるんだ?」
「どういう事ですか?」
ハクアを大事そうに抱えるテアに声を掛けると面白そうに笑いながら逆に聞かれた。
「どういう事ですかみーちゃん?」
「どうもこうもない。妙に時間稼ぎをしていたからな、ハクアの魔力が尽きて寝るのを待っていたんだろ?」
「ふふ、バレていましたか」
「流石に付き合いが長いからハクアでなくてもそれくらいわかる」
ハクアならもっと少ない情報で未来視のように見通せるのだろうが、生憎こちらは凡人とは言わないがただの秀才レベル。
異常者や天才と同じ事は所詮出来ないのだ。
「バレてましたかって事は本当になにか理由があるんですかテアさん?」
「はい。この後の事を考えると白亜さんには全ての魔力を使い切っていただいた方が都合が良かったんですよ」
「この後ですか? 魔力を使い切って気絶するように落ちてるだけじゃないんですか?」
「ええ、今はその状態ですね」
「……進化か?」
「「「えっ?」」」
「ふふ、正解です澪さん」
私が推測を口にすると聞いていたほとんどの人間は驚きの声を上げ、それを見てテアは更に楽しそうに肯定する。
どうやらテア自身、ハクアの次の進化が楽しみで仕方ないようだ。
こいつらは苦労しながらも、自分達の予想を常に良くも悪くも裏切り続けるハクアという特異な存在を気に入っている。
私や瑠璃にも同じような興味を持ってはいるが、ハクアのそれと比べればついでくらいの感覚だろう。
「そんな事はありませんよ」
「……ついに私の思考まで読むようになったのか?」
「違いますよみーちゃん。前から読めてはいても何も言わなかっただけですよ」
「……お嬢様は気が付いていたのですね」
「だってテアさん達はいつも私達の先読みをしてくれますからね。みーちゃんだって確信がなかっただけでわかってはいましたよね?」
「隠す気もなかったから流石にな。私が言いたかったのもハクアと同じような扱いになったのかという意味だしな」
「まあ、そうでしょうね。それよりも心外なのはまるで二人をおまけのように扱っていると思われていた事です」
「そうなのか?」
「ええ、興味のベクトルが違うだけでお二人の事もちゃんと気にしてますよ」
「「へ〜」」
「そこは引く所ではなく、喜ぶ所では?」
いや、普段のあいつの扱い見てると、言っといてなんだが自分もそっち側かぁ〜感が凄かったというか。
「まあ、それは今は置いておこう」
「そうですね」
「いえ、別に置く必要はないですよ? 素直に喜べばいいだけですよ?」
「で、進化なのはわかったが何が起こるんだ?」
「強引に流れを変えましたね。まあ、良いですが」
「何がってハーちゃんがまた進化するだけなんじゃないんですか? ペースは確かに異常と言うか普通とはかけ離れてますが、それこそハーちゃんなら普通では?」
「それはある───が、そうじゃない。本質はただ進化するだけならなんで魔力を使い切らせる必要があったかだ」
「あっ……確かに」
私の言葉を聞いていた全員がようやくその違和感に気が付いたようだ。
「おや、そこにも気が付かれてしまいましたか。ですが心配する事はありませんよ。一応念の為というだけですから」
「と、言う事は万が一が起こりうる状況という事か」
「会話の裏を読むのが好きですね」
「悪いな癖だから許せ。それで、通常の進化とは何が違うんだ?」
そう聞くとテアは一瞬考え込み観念したように喋り出す。
「そうですね。ハッキリと言える事ではないのですが、今回の白亜さんの進化は───いえ、今回も白亜さんの進化はイレギュラーな事態です」
それわざわざ言い直す必要は───いや、あるな。大事だな。
「それは邪神の影響か?」
「ええ、それに天使の力の二つですね」
「わ、私達の力もハクア様に影響を!?」
「まさか、ハクア様にとって良くない方向に作用したのですか!?」
テアの言葉にミカとルシェが驚き詰め寄る。
「悪影響ではないので落ち着きなさい。どちらかと言うと貴女達の所為でというよりも、条件が調ったという方が近いですね」
「条件……神の力とその天使の力がその条件なのか?」
「無論それだけではありません。本人の資質、力、魂、天使の力に神力、その他様々な要素が積み重なったのが原因ですね」
「そもそもハクアの中には神獣の力、鬼の力、龍の力、邪神の力と様々なモノが危ういほどあり、そこにハクア自身の力が入る事でバランスが成り立っている」
「心の言う通り、そして今回龍の里で鬼神の力が注がれ、龍神の力も注がれ、神獣の力も強化された所に邪神の力も強化され、天使の力も新たに加わりました」
「そして何よりハクちゃん自身の成長が加わった事で、内包する力に対応する為に進化が行われるんだよ。そこに今回条件が調った事で……その……ね?」
淀みなく話していた聡子が急に言葉を濁す。
同じようにテアや心まで言いにくそうだ。
その時点でものすごく嫌な予感と言うか、また面倒な予感がしたが次の咲葉の言葉でその予感は的中した。
「つまり今回の進化でハクアは神のステージに手を掛けるのよ」
「なっ!? つまりこいつ次の進化で神になるのか?」
「まだ違いますよ」
「あっ、そこまだ。なんですね」
「ええ、まだ───です」
「つまり神に至る進化だから何が起きても良いように下準備をしたという事か?」
「端的に言えばそうですね」
「えっ、本気ですか? 本気でこの子神になっちゃうの?」
あまりに衝撃的な内容にアイギスが脳死している。
哀れな。
とはいえ分からなくもない……いや、やっぱハクアなら十分有り得る展開か。
「ともあれ、危険は本当にないのか?」
「ええ、そこは抜かりなく。私と心、咲葉と聡子の四人で結界を張り、ついでにミカとルシェにも補助をさせますので影響は出ません」
「そうか……」
つまり元女神と元天使が力を合わせてようやく安心出来るレベルと。
「まあ、考えても仕方ないな。なんとかなるだろ」
「軽すぎない!?」
「しょうがないですよアイギス様。ハーちゃんの場合、展開なんて読めないんでなるようになるのを見守るのが正解です。下手に手を出すと更に予想外の方向に着地しますから」
「……手を出しても出さなくても駄目なのね」
アイギスの言葉に頷くしかない私達だった。
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▶個体ハクアの進化を要請。
▶認証。認証。認証。エラー。
▶エラーが検出された為、個体ハクアの経歴を参照。
▶全データロード完了。認証が許可されました。再試行開始。
▶個体ハクアに鬼神の力を確認。
個体ハクアに龍神の力を確認。
個体ハクアに神獣の力を確認。
個体ハクアに邪神の力を確認。
個体ハクアに天使の力を確認。
個体ハクアに魔王の資質確認。
個体ハクアに英雄の資質確認。
個体ハクアに創世神の力の残滓を確認。
個体ハクアに聖魔の力を確認。
▶個体ハクアの神力が固定値をオーバー。
個体ハクアの魂力が固定値をオーバー。
個体ハクアの万象力が固定値をオーバー。
▶予定進化への認証が却下されました。
▶新たな候補を選出中。
▶個体ハクアを───へと進化させます。
次回ハクア進化して久しぶりにステータスを載せたいと思います。
そのためもしかしたら調べるの時間掛かってしまうやも……(思いついたまま書いてメモしてなかった代償が……)
読んで頂きありがとうございます。
ハクアの事を応援しても良いよって方は評価、感想、レビューとかどれでもしてくれると嬉しいです!




