誰が生きるバグキャラか!?
「で? その邪神の力を取り込んだ結果、今回はどんな風に変化してるんだ?」
我ながら字面がスゲェな。
「ねえ、なんかそんな疲れた風に言うのやめない? 私だって傷付く事はあるんだよ?」
「で、こんな程度で傷付くのか?」
「いや、全く?」
「とりあえずそれっぽい事言って長引かせようとするな馬鹿。どっちにしろ言うのは変わらんだろ」
まあ、そうなのだが。
怒られそうな事はなるべく後に回して、出来れば忘れてくれることを祈るのは人の性と言うものよ。
「アホな事考えてないでさっさと見せろボケ」
「なんで人の考えてる事言ってないのにわかるのさ!? なんかこう……考えてるかもしんないじゃん!」
「ねぇよ」
「ハーちゃん意外とこういう事は顔に出ますからねぇ」
なん……だと……!?
「なんで白亜さんってこんなしょうもない事はわかりやすいのかしらね?」
「しょうもない事だからだろ。根が芸人だから軽い事はわかりやすいんだよ」
「誰の性根が芸人でい!?」
「……ごめんなさい。納得したわ」
納得された!?
周りを見ると千早と同じように何故か皆も揃って納得している。
おかしい。なんで私はこんな世界線に迷い込んでいるんだ……。
悲しいのでお茶菓子のおせんべいをパリポリ食べながらちょっと落ち込む。
……このせんべい美味いな。
「それじゃあハーちゃん。そろそろ教えて貰っても良いですか? 私もちょっと気になってたんですよね」
瑠璃の言葉にその場の全員が期待の籠った目を私に向けてくる。
うーむ。こんな風に見られると気持ちに応えなければと思えてくる不思議。
まあ、私自身まだ見てないし気になってるから良いんだが。
「……あれ?」
「どうしたんだ?」
皆の期待に応えるべくステータス画面を開いた私は、そこに映るべきものがなく驚きに声を上げる。
「えっと……ステータス映んない」
「お前、この後に及んでわかりやすい嘘を」
「いやいや本当に映んないんだってほら」
「ん? 本当だな。どうなってんるんだテア?」
私のステータス画面を見た澪が一緒に覗き込んでいたテアに質問する。
するとテアは一瞬考えた後、自分の予想を話してくれた。
「恐らくですが、今回白亜さんは割と早く目覚めたので、スキルの定着から時間があまりなかった為に反映しきれてないのでしょう」
「つまりはメンテ中? 運営側の問題と」
「まあ、簡単に言えばそうなりますね」
「なるほどなるほど……全く困ったもんだよね。システムエラーとか運営の杜撰な対応ですな。詫び石、詫び石の請求をかますべき案件ですな」
「急に強気になったわね」
「まあ、ハーちゃんですからね」
いや、そこで私だからで済ますのはおかしい。
それだと私がまるで悪質なクレーマーのようではないか!?
「まあ、大雑把には把握出来たが、実際そんな事が起こるものなのか? 今までレベルアップにしろ、スキルの急な取得にしろそんな事が起こった事はないが」
確かに、今まで結構同じ事あったがその時は即時反映されてたし、今回みたいなケースは初めてだ。
「ええ、澪さんの言う通りです。とはいえ白亜さんはハッキリと言ってしまえば生きるバグみたいなものなので、今回は対応が遅れたのでしょう」
「誰が生きるバグキャラか!?」
「なるほどそれなら納得だ」
「なんで!? だいぶ理不尽な事言ってるよ?」
あまりの悲しみにポップコーンを食べる手も止まりませんよ。
「皆さんに関してはそのほとんどが既存のスキル、そうじゃなくてもユニークスキルか、種族に適したスキル、後は澪さんのような勇者の力ですが、白亜さんの場合は違いますからね」
「まあ、確かにそうですよね〜。ハクちゃんの場合は神獣に鬼に龍まで混ざって、そこに更に邪神の力が加わってますからね。開拓するルートが全部新規だと、向こうもそりゃ苦労しますよね」
「うぐっ!?」
くそう。ここぞとばかりにソウが刺してくる。
でもそれに関しては私のせいだけじゃないと思うのだよ。
「お前のせいだけではないが、お前のやらかしも多いだろうが」
「人の心の声を簡単に読むの良くないよ!?」
「基本的にモンスター食べる所から思考が始まるからこうなってんだよ!」
「ファンタジーのお楽しみはモンスター食でしょうが!」
そこだけは譲る気ないんだよ。
「いや、全面的な否定は私もしないが」
「しないがなんでい!」
「腐毒竜を筆頭にいくつかやらかしはあるだろ?」
「な、何を言ってるのかよく分からないんだよ?」
ま、まあ、多少……ほんのちょっと、普通の人は目もくれない食材を食べた覚えはなくもない。
「そもそも暴喰の邪神に関しては蝿だったんだろ? よく食う気になったな」
「あれは私も美味しそうだからとか言うんじゃなくて、やむにやまれずと言いますか、少し事情違うくない?」
「まあ、基本は自業自得なんだから我慢しろ」
「うぐぅ……」
ちくしょう何も言えねぇ。
これも全部駄女神が職務怠慢して、ステータス反映が遅れたせいだ。
「しかし見れないと見れないで気になるな。ただでさえ自分のスキルが信用出来ない秘密主義なのに、普通に見れるはずのものも見れないのは少し困る」
まあ、少しだからないならないでいいのだが。
「ハーちゃん。自分がどれだけ不思議なことを言ってるか自覚あるんですかね?」
「ないだろ」
うっせいやい!
「……とはいえ、どうやら邪神の力に関してだけは間に合わせたようですね」
「えっ、そうなん?」
「ええ、少し待っててください。え〜と……あ、ありましたね」
私のステータス画面をテアが少し弄ると、そこには今回の事です増えた邪神の力だけは映し出されていた。
「えっと、なになに……マジか」
今回私が覚えたのはどうやらスキルではなく権能らしい。
能力はこちら。
【傲慢な貪食】
無機物有機物問わず食べる事が出来るようになり、食した物を自身の魔力で再現出来る。
また、自身が食した物同士を掛け合わせ全く別の物を創造する事も出来る。
自身の能力を超えた性能の物は作れず劣化した能力の物が出来上がる。
【傲慢なる搾取】
死した魂の尊厳を奪い使役する事が出来る。
【傲慢なる邪神体】
自身の受けるダメージがHPの四分の一以下の場合、そのダメージを無効化出来る。
「と、こんな感じやね」
「……これはまた」
「凄いですね。でもなんで今回はスキルじゃなくて権能として現れたんですか?」
「知らぬ!」
「恐らく、白亜の神性が高まった事、邪神の力を複数取り込んだ影響と言った所だろう」
「ええ、心の言う通りでしょうね。後はかつてルシファーが虚飾の力を奪った事で、長い月日の中で傲慢の力に融合され強化されたせいでもありそうね」
なるほど、心と咲葉の言う事には一理ある。
だって虚飾の力もあると思ったらそっちは全くないしね。
「いえ、一応は出てますよ。今は見れませんが、偽装系のスキルが軒並みレベルアップしてます」
「そうなん?」
「ええ、今後はちょっとやそっとでは見破られる事はないでしょう」
「ほほう」
それなら抜け出したりする時に楽になりそうだ。
テアの言葉に少しだけウキウキする私であった。
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