図られた!?
済まない。先週はヘブバンとニケ(アプリゲー)の最新シナリオやってて書く暇なかったんや
「さて、それじゃあどうするアイギス」
「どうするって言われても……判断材料が少な過ぎてなんとも言えないわね」
「ふむ。まあ、色々と判断しなきゃいけない事は多い事案ではあるけど、ぶっちゃけシンプルでいいんだよ」
「いや、流石にそういう訳にはいかないでしょう」
「そうでもないよ。こうやって目の前に聖女が来てる以上いつか起こる問題だからね。それが早いか遅いか、起きるか起きないかってそれだけ」
「それだけって……いや、でも確かにそうかもしれないわね」
「で……だ。アイギスが取るべき指針は大きく分けて三つ」
一つはもちろん引き受けて聖女を受け入れる事。
利点は聖女がこちら側につく事、一度魔族に占領されたという事実を払拭するには丁度いい隠れ蓑だ。
その他にも教国との緩衝材としても有用だろうし、それを理由に他国から攻められる口実をなくせるだろう。
欠点は教国とは決定的に敵対関係になる事。
それに聖女は教国のシンボル、それを一つの国が抱えるという事は相応のリスクがある。
二つ目は聖女の受け入れを拒否する事。
利点は教国との関係の悪化を防げる事、いい意味でもある意味でも現状を維持出来る。
欠点はせっかくの盾を自ら手放すことになる事、そもそも他国からも教国からも警戒されてるから、将来的な不安は抱えたままになる事。
更に聖女を敵に回す事にもなる可能性。
「確かにそうね。でもハクア」
「何?」
「本人達を目の前に盾になるとか壁に出来るとか言うのはやめて。胃がキリキリする」
「でも本当の事だし、何より本人達がそれを承知してるんだから平気だよ」
「ええ、その通りですアイギス様。ちなみに断られた所で恨む事はないのでご安心下さい。元々無理な願いと承知で来ているので」
「それを聞いて少しは安心できたわ。それでハクア最後の案って?」
「ああ、三つ目は私達を放り出すことだよ」
「え?」
だってそうだろう?
魔族に占領されたとはいえそのイメージは現在払拭されつつあるのも事実、教国が問題視しているモンスターがこの国去れば、攻め込む口実もなくなるだろう。
少なくとも表立った理由がなくなれば、潜在的な問題は残しても敢えて攻め込むような隙はなくなるはずだ。
「馬鹿な事を言わないで!」
私が説明すると黙っていた聞いていたアイギスの怒声が響く。
「私が、貴女をこの国から追放してそれでおしまいなんて事をすると思っているの」
その言葉に少しの感動を覚える。
毎回毎回凄い文句を言ってくるがこんな風に言って貰えるとは思わなか───。
「私は自国の安全の為に世界を滅ぼす気はないのよ!」
「……ん?」
はて聞き間違いだろうか? なんでいきなり世界を滅ぼすとかそんな話しになった? あれ、いつの間にか違う世界線に突入していたのだろうか?
おのれ、これが機関のやり方か。
「あの……お話を遮ってしまい申し訳ないのですが、何故いきなりそんな壮大な話になったのでしょうか?」
「それは簡単です聖女様。ハクアは何もかも予想の斜めを行きます。斜め上にも斜め下にも、それに加えて武力も知力も政治力も高い」
これは……褒められているのか貶されているのかよく分からない。
「しかも仲間にもとんでもない子達が沢山居る上に、なんだかんだとハクアを制御しきれていないし、魔王や邪神なんか可愛く思えるほど厄介な子なんです」
こいつ失礼過ぎないか!?
「そんなハクアを放逐なんてしたら、魔王よりも先に世界を滅ぼすかもしれないじゃない!」
「ちょい待てやーー!!? なんでいきなりそんなディスリ始めたの!? 今までそんな話になってなかったよね!? 黙って聞いてたけどそろそろ限界なんだよ!?」
「でも貴女、ムカついたら経済制裁とか国家転覆くらい普通に実行しそうじゃない」
「し、しないぞ」
「ほら、出来ないじゃなくてしないって時点で普通じゃないのよ。そんな危険人物を放逐なんて恐ろしい真似私には出来ないわ」
「図られた!?」
「待てハクア。完璧な推理過ぎて今反撃するのは分が悪いぞ」
「どこが!?」
「くっ、は〜ちゃんの事は庇ってあげたいから言い返したいのに、なにも言い返せないです」
「べつに言い返せますが!? 網戸並みにスッカスカな考えやぞ!?」
「日頃の行いここに極まれりね」
「酷くない!?」
どいつもこいつも人をなんだと思ってやがる!
「まあ待てハクア。今我々弁護団もなんとか情状酌量の余地を検討して貰えるように話し合ってるから」
「だあっとれ弁護団!? 全く、それでどうすんだ?」
「そうね。今の話も本気ではあるけど」
「おい」
「最後のは無しね。ハクアを放逐したら私が王位を落とされるわ。何気にこの子人気あるから、それにそうするとアクアちゃんも居なくなるだろうから、妹に嫌われそうだし」
あっ、私付属品ですか。
「まあ、仲間を見捨てる気もないしね。それに何よりハクアもわかってるんでしょうけど、答えは最初から一つだけっぽいし」
「まっ、そうなるわな」
魔族に占領された時にこの国を見捨てた各国にも、教国にもしっぽを振る気はない。
それなら聖女を引き入れて防波堤にするのが一番良い選択だろう。
「と、言うわけで我が国は貴女達を受け入れるわ」
「よ、よろしいのですか?」
「ええ、全体で百人と少しよね? 家族も一緒に来るのかしら?」
「出来れば希望する者の家族は迎え入れたいのですが……」
「そう。ハクア」
「なに?」
「難民の受け入れ予定区に余裕はありそう?」
「大丈夫。むしろビル建てようぜ」
「またサラッととんでもない事言ったわね。この世界一定より高い建物は止めた方がいいんだけど?」
それは知っている。
この世界はモンスターが彷徨いているので、高い建物は目印となりやすく、モンスターがそこを目指してくる可能性が高くなる。
そうでなくても飛行型モンスターが飛来する可能性が高くなる為、城を含めて一定の高さ以上を出さないのが鉄則だったりもする。
まあ、高層ビルになると建築技術が追いつかないのもあるけどね。
「わかってるならなんでそんなものを?」
「聖女が居るから大丈夫だからね。あとは単純に土地的な問題」
「なるほど……受け入れる代わりにこの国の守護は頼めるのかしら?」
「ええ、力の及ぶ範囲に関しては受け持つつもりです」
「OK。じゃあその案で行きましょう」
「あのー大変申し上げにくのですが、私達にはそのーまとまった物がなく───」
「資金援助ね。そこはもう予定に入れて計算してるからOK」
私の言葉に驚くアルカを無視して聞きたい事だけ次々に質問していく。
「聖女は常駐する感じ?」
「つ、常に何名かは」
「見習いは聖水とか作れる」
「作れはしますが効果は薄いです」
「定期的な納品は可能?」
「は、はい」
「見習いの派遣は視野に入れても大丈夫? 例えば怪我の治療に借り出したり」
「え、えっと可能ですが」
「そうか。じゃあ生活基盤整える為にも見習いには、聖女としての修行に学校の授業、冒険者ギルドや医者の手伝いに借り出して働いて貰おう」
「あっ、それなら騎士団の訓練にも来て欲しいわね。可能なら派遣も考えたいけど、それはある程度慣れてからかしら」
「だな。冒険者ギルドにもその辺は言っといて、本人が希望するなら依頼やパーティーを組むのもいいかもな」
爆速で決まっていく状況に目を白黒させているアルカ。
おいおいしっかりしろよ。
「まあ、だいたいこんなもんか」
「えっ、あの。元から私達を受け入れる計画があったのですか?」
「ないよ」
「ないわね」
「し、しかしどう見ても元から計画があったかのような感じなのですが?」
いやいや、目の前で決定してるの見てたでしょ?
「普通は協議の末に決まるものを爆速で決定していけばこういう反応になるだろ」
「異常なスピードですもんね」
「私はもうなにも分からないんだけど、なんで毎回こんな話に付いていけるのかしらこの同級生達」
「それでなにか問題ある?」
「あ、その、少しお待ちを……えっと、この聖水の納品とありますが、私達聖女だけではとても量は作れませんよ?」
「それはさっきも言ったけど見習いのも含めてだよ。見習い産と聖女産のでそれぞれ品質はほぼ一定にして欲しいけどね」
「それは可能だと思いますが、見習いの物では本当にあまり効果は期待出来ませんよ」
「それで良い。と言うかそれが良い」
聖水は高い。
だから普通はあまり持ち歩かないし、用がある時以外は用意しない。
だが不測の事態は常に起こるものだ。
その時に効果が薄くても聖水を持っていれば、アンデッドに対しても逃げる事くらいは出来るようになるかもしれない。
それに簡易的な結界効果もある聖水は、撒いておけば安全だがコストが掛かり過ぎる。
そんな時に効果の薄い聖水があれば定期的に撒けるようになり、効果がないモンスターが出れば、それは一定以上の力があるモンスターと判断出来るようになる。
「なるほど。そんな使い方もあるのね。じゃあ採用で」
「あざっす」
「とても国の方針決めてる会話に思えない軽さね」
千早の言葉に何故か皆が頷くのだった。
こんなにちゃんとやってるのに……解せぬ。
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