脅迫の仕方が手慣れすぎてて怖い!?
そうなります……ね。
まあ、ぶっちゃけ教会関連とか普通に相性悪いし、無駄に敵対するよりもそっちの方が楽な可能性はあるか。
とはいえ、向こうの持ち出すネタによってはこっちの方が厄介な場合もある。
「まず前提として、あまり知られてはいませんが、教会と聖女はべつの組織なのです」
またもフロストが衝撃を受けているが無視である。
と言うよりも、うるさくなりそうなので麻痺毒でリアクションを封じてるから動きはないのだが。
「あまり驚かれませんね」
「まあ、想定内だから」
同等の発言力を持つ人間が複数居るって時点で面倒だからね。
トップダウン型とは相性が悪いだろう。
その点別組織で表面的には同じ組織と言う事にしておけば、いざという時の指揮系統は一本化され動きやすい。
「教会としては聖女と言うシンボルを欲し、聖女側は豊富な人材をある程度使えるって感じか」
「はい。そうなります」
聖女はわかりやすいシンボルだ。
神の声を聞く事が出来ると言う彼女達は、神という存在が地球よりも身近なこの世界では、大きな力と存在感となる。
しかし一方で個人がその力を使って出来る事もたかが知れてる。
だからこそ聖女達は教会側と手を結び、表向きは同じ組織のように見せる事で、その力を借りているのだろう。
ギブアンドテイクとしては理にかなっている。
「と、まあ、こんな所か」
「ええ、そうなります」
「なるほどね。じゃあ質問なんだが、今の所お互いに理にかなった協力関係なのに、あんた達はどうして教会から離れて独立したいんだ?」
「ッ!?」
「どういう事なのハクア!?」
私の言葉にアルカは息を飲み、アイギスはたまらず私に問いただす。
「……何故、それを?」
「話の流れでだいたいわかる。それで理由は?」
「……教会の一部が腐って来ているからです」
「ほう……」
アルカがチラリと結衣ちゃんを見る。
どうやらそれも関係しているのだろう
「一つはまあ、わかる。他には?」
「そう……ですね。一部の権力者に便宜を図る者、信者を良いように利用する者、そして見習い聖女や信者に己の欲望をぶつける者も居ます」
うん。思ったよりも腐ってた。
「なるほど、権力者にあてがったり、権力や神の威光をかさにって所か」
「はい。信者の中にはそれで救われている者も居ます。ですが……」
自身を痛め付ける事が救いになる奴や、神に仕える為ならと喜ぶ奴は居るのだろう。
地球よりも人の命が軽い世界。
そんな世界で正常なまま生きるのが辛い奴はもちろん居る。
その救いになっているなら放置もやむ得ないが、見習い聖女達となるとまた違う。
「彼女達の場合は、逆らえずに消費される場合もあります。何せ教会と別組織と知らされるのは聖女になってから、教会も上の役職しか知りません」
そりゃそうだ。
自分達が守るべき聖女をあえて別組織の人間だと教える必要はないだろう。
そしてそれは見習い聖女も同じ。
イーナ曰く見習い聖女はある程度学ぶと各地の教会に派遣されるらしく、別組織と教えてしまえば色々と問題が起こる可能性もある。
組織を円滑に進める為にあえて教えない方が上手く行く事もあるのだ。
しかしそれが原因でこんな事になっているのだから皮肉なものだ。消費と言ったのも彼女達の現状を表しているのだろう。
「あの、先輩。それって見習いの方にも別組織で有ることを教えるのではダメなんですか?」
「良くねぇな。現状いきなりそれをすれば、教会組織に依存する形で存在してる聖女組織の運営が立ちいかなくなる」
それに言葉にはしないが一番の問題は信頼関係だ。
お互いがお互いに守るべき者立と認識しているから成り立つ関係。
見ず知らずの人間を守る事も、守られる事も同じ組織の人間だからと言う部分は大きい。
お互い信頼ない状態で聖女だから命懸けで守れ、聖女だから彼らの為に働けと言われても信用はしにくいだろう。
利害関係なしに動けるお人好しも居るが、大抵の人間は利害関係のうえに関係が成り立つ。
それを無闇にとっぱらえばしわ寄せは来るだろう。
「諸々の問題を解決しても、今の教会と協力していくのは難しいというのが私達の結論となりました。そして先程貴女が仰ったように独立を考えています」
と、ここで最初の話しに戻るのか。
「まあ、それはわかった。それで? こっちのメリットは?」
「メリットですか」
「ああ、教国からは適度に距離があり、商業圏が近い、それに加えて一度教会が撤退したこの国は、あんた達には適した場所だろう。で、私達がそれに手を貸す義理はない」
「こちらが示せるメリットは……この国を護る事が出来ます」
「続けて」
「この国は一度、魔族に与した事で異端の疑いが掛けられている。そこに貴女のような存在が多数居るこの国は警戒対象となっています」
アルカが悠然と語る中、後ろのイーナ達からやってるなぁと言う雰囲気が伝わってくる。
「───と、言う事で私達がこの国に籍を置けばそれらを解消出来ます。どうですか?」
「うん。とりあえず聞いたけどさ……もしかして私、今脅されているのか?」
「ヒッ!?」
殺気を込めた威圧を出してアルカを黙らせる。
さて、ここからの展開どうするか?
"おい、ハクア"
"な〜に〜?"
"ブッ!?"
"何をいきなり笑っとる千早"
"だって、このもの凄い空気作り出した人間の返事が緩いんだもの"
"まあ、別に怒ってる訳じゃないしね"
"そうなの?"
不思議そうに聞いてくる千早にうんと答える。
だって今言われたの本当の事だし。
"じゃあなんでこんなことをしてるのよ。聖女様を威圧するとか胃が痛くなる事本気でやめて欲しいんだけど?"
"この後を有利に進める為だろ。で、プランは?"
"ノープランだからいつも通りで"
"了解です。じゃあみーちゃんお願いしますね"
「おい、ハクア。威圧を止めろ。そこの聖女様もまさか私達を脅して有利に交渉を進めようとした訳じゃないだろ」
「そう? 私にはそう聞こえたが」
「少しはわかってやれ。それだけ必死なんだろ」
「そうですよハーちゃん。これから手を組もうとする相手を脅すなんて悪手過ぎますよ。でも、もしそうならハーちゃんを止める理由は私達にもありませんけどね」
"威圧からの救い、そこから畳み掛けるように釘を刺すとか脅迫の仕方が手慣れすぎてて怖い!?"
"貴女達、いつもこんなことしてた訳じゃないでしょうね"
"もちろん。これはほらアレだよ。誰でも出来る簡単な交渉の主導権の握り方講座的な?"
"本当に敵じゃなくて良かったわ"
「も、勿論です。あくまでも私達は貴女方に助けを求める身。そんな事は微塵も考えておりません」
その言葉を引き出したので威圧を止めるとあからさまにアルカはホッとした。
「じゃあアルカの願いはこの国に聖女の拠点を作りたいってことで良いのか?」
「はい。その為のお力を貸して頂きたいです」
「わかったけど、それどう考えても私よりもアイギス案件だから、その交渉はこっちの女王たまに聞いて」
「たま言うな。なんでいきなりそんな呼ばれ方したの私!?」
「なんとなく?」
「ただでさえ聞いちゃイケナイ事聞いてるのに、ボケまで乗っけて来ないでくれるかしら!?」
ちょっと涙目で言われてしまった。
「それは……私としても最初はアイギス様にお話を通す予定だったのですが」
そう言いながら後ろを気にするアルカ。
どうやら私にコンタクトを取るのは破邪の聖女の指示のようだ。
その当人は先程からずっと私に視線を向けたまま微動だにせず、じっと推移を見守って居る。
本当に彼女はなんなんだろうか?
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