ギルティー過ぎ
「えっ、あっ、えぇ? あの……キース君。白亜先輩が言ってるの本当?」
「……うっ、嘘だよお姉ちゃん。そんなワケないじゃないか」
「……ごめんねキース君。先輩が言うなら本当の事なんだ。だから私はキース君の口から本当のことを聞きたくて質問してるの」
おお、言い切った。
(良かったな。ぽっと出の奴よりは信頼されてるぞ)
(まあ、ハーちゃんが言うことなんだから当然ですけどね)
(相変わらず瑠璃さんの信頼は重いわね)
せやね。
「お、お姉ちゃんは僕の言う事は信じてくれないの?」
「ううん。信じてたよ。でも、先輩がそうだって言うならきっとそうだから」
「……ハァ〜。ここまでか、結構楽しかったんだけどしょーがないか。そうだよ結衣。俺はそこの女の言う通りお前らよりも年上だよ。で、アンタは俺をどうにかしたいのか?」
今までのあどけなさの残る無邪気な雰囲気を消し、ギロリと私に睨みを効かして聞いてくる。
「別に?」
「……ハ?」
「いや、だから別に。私は単純にいい歳した奴が女子高せ───もとい、女の子に年下のフリして抱き着いてるのが見てられなかっただけだよ」
別に本当の年齢知った上で結衣ちゃんが良いと言うのなら、それは本当に私が口を出すべきものでは無い。
まあ、思う所はあるけどな。
「じゃあなにか? アンタはただ単にガキのフリして結衣に抱き着いたのが許せなかったと?」
「そう。逆は良いけどそれは認めん」
そもそも私は合法は歳を隠さない方のが好みだ。
そして歳を隠すのは初登場時か、関わりが薄い時までであるべきだとも思う。
合法ロリならまだ認める部分もあるが、合法ショタは犯罪臭が凄い。
男と女の差別が問題となる昨今だが、それでもやはり男と女で許されるパターンと許されないパターンんが存在するのだ。
「なんか一人で納得してますね」
「言うな。どうせくだらない事だ」
うんうん。と一人で納得しているとそんな失礼なことを言われた。
千早はなにも言わないが、どうやら澪よりの意見らしい。
失礼な奴らめ。
「はっきり言えば、自分の半分の年齢の女の子に年下のフリして抱き着くのは流石にギルティー過ぎ」
「「「それはそう」」」
バシッと言った私の一言に、流石に澪も瑠璃も千早もハッキリと賛成する。
結衣ちゃんもちょっと引いてるし、周りの奴らも頷いている。
これが合法ロリの子供な大人お姉さんなら、大多数の人間から許されるのだから世の中は不思議。
もしくはこれが三十代後半とか微妙にリアルな年齢じゃなくて、五百歳とかならなんか許せる気がするから人間って面白い。
「ハッ、なんだそりゃ。わかったわかった。消えりゃ良いんだろ? さっさと消えるよ」
「あっ、そうだ。その前に一つ」
「あっ?」
「お前、なんで血の匂いがするんだ?」
「っ!?」
「おっと、なるほどなるほど」
振り向きざまにナイフで突き刺そうとしてくる合法ショタの手を掴み、そのまま体勢を入れ替えナイフを首筋に当て拘束する。
「先輩大丈夫ですか!?」
「大丈夫だよ〜。それとお前、もう手を出す気はないから大人しくしとけよ。まっ、もう動こうと思って動けないだろうけど」
「はっ? っ!? なんだこれ、体が動か……ねぇ」
拘束と同時に神経毒で体の自由を奪ったので手を離す。
「さて、じゃあとりあえず……そこのアンタ」
合法ショタから視線を外し、私は結衣ちゃんを背に庇う俺様野郎に声を掛ける。
「えっと、レオさんですか先輩?」
「名は知らぬ。俺様系」
「じゃあレオさんです」
結衣ちゃん即答。
どうやら結衣ちゃん自身もそういう認識だったらしい。
「お、俺か? その俺様系とかってのはなんだ?」
「あ〜……き、気にしないでください」
「とりあえず最初に言っとくが、私はアンタに全く興味が無い。アンタが何処の誰でどんな人間なのかも興味がないし、聞く気もないから、私にとっては結衣ちゃん落とそうとしてる連中の一人ってだけだ」
ハッキリ言うと俺様系が絶句して結衣ちゃんを気にしている。
そしてついでに落とそうとしてる内の一人と言われた事で、連鎖的に被害食らった知的眼鏡と冒険者風も同じような反応をしている。
当人である結衣ちゃんは、流石に乙女ゲームの主人公のようには行かなかったのか、ハッキリ言われた事で少し居心地が悪そうにフロストの傍にピッタリくっついた。
ふむ。どうやら結衣ちゃんはフロスト一筋とちゃんと宣言しているようだ。
周りのちょっとした落胆の色が多分そうなのだろうと思わせる。
「クッ……わ、わかったが、それがなんだってんだ」
多少こころにダメージを受けた俺様系は気丈にも話を元の路線に戻した。
若干無理しているがそこはつっこまないでやろう。
「いや、単純にこれはお前の所のだって事だよ」
「……はっ?」
合法ショタの襟首掴んでグイッと差し出して押し付ける。
俺様系は最初こそ意味が分からずポカンとしていたが、数秒たってようやくその意味を理解したらしい。
「ま、まさか、キースお前は影の───」
「タイム。言っただろ聞く気はないって。その話は後で自分達でやれ」
いや、聞きたくないって言ったじゃん。お前が王子だろうがそれに近しい人間だろうが知らんのよ。
ここでそんな意味深ワード付きの護衛なんて出て来たら、絶対めんどくさい事になるんだから変な事を軽々しく言うな馬鹿!
「あ、ああ、わかった」
「それで合法ショタ。お前に聞きたいのは一つ。お前がヤッたのはそっち関連の奴か?」
私の言葉に合法ショタは動かない。
だが答えはそれで十分だ。
「なら良い。結衣ちゃんが許して、この国に迷惑を掛けない限りは自由にすると良い。ただし……もしもこの国が迷惑を被る事があればその時は……」
とりあえずここまで脅しておけば大丈夫だろう。
「お前も結衣ちゃん巻き込んだらその時は覚悟しとけよ」
「あ、ああ、わかった」
全てを飲み込んだ俺様系が頷く。
さて、とりあえずこれで終わりで良いかな。
「あの……先輩?」
「どったの? 結衣ちゃん」
「私、当事者っぽいわりにまったく状況が飲み込めないんですけど……」
「うーん。フロスト一筋ならそれで良いんじゃね? とりあえず宣言はしてんでしょ?」
「それは……はい」
「ならよし。まあ、この世界一夫多妻も多夫一妻もOKだけど、その辺は結衣ちゃんの好きにすると良いと思うよ?」
「何言ってんですか先輩!?」
いや、まあ、好いた惚れたなんて知らないが、日本と違って相手が居るから諦めるの選択肢はハードル低いからね。
「まっ、とりあえず問題が起きたら相談には乗るよ」
「その発言が既に問題なんですが!?」
「まあ、なんだ。この世界は元の世界よりも色んなのが居るから相手には気を付けなね」
「色んなのとは?」
「……野盗含めた元犯罪者、奴隷、王侯貴族に種族違い、国教も違えば生死の価値観まで違ってくるから、少女マンガや乙女ゲーみたいに、脳みそ花畑で生きてると危ないよって事」
「うっ、それは確かに」
「だから、信じられる奴はとことん大事にして、なにかあったらすぐに相談する事。うんでこれでも付けときな」
結衣ちゃんには私が作った腕輪を渡す。
「これは?」
「一応防護系の魔法が掛かってる。それと、なにかする時はそれを見て一旦落ち着いてから考えるんだね。わりと突っ走った行動してるって聞いてるし」
会ってはいないけど報告ぐらいは受けているのだ。
「うっ……き、気を付けます」
「まっ、私が言えたギリじゃないけどな」
はい。後ろの奴ら大きく頷かない、見えてるからな?
「それ見て落ち着いて、それから考えて行動して、無理そうならすぐに助けを呼べば良い。結衣ちゃんが誰かの為に動ける人間なのは知ってるから」
誰かの為に動ける奴は自分が勘定に入らない奴が多い。
「だから、傷付くなとは言えない。だったらせめて私の近くに居る時にしなよ。そうすりゃ一緒に傷付く位は出来るから」
「先輩……ありがとうございます」
おお、何故か突然のハグ!
何か知らんが役得だ。
しかしなんで周りの男は負けたような顔をして、澪達からはまたかみたいな呆れた雰囲気を感じるのだろうか?
解せぬ。
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