最近少し自信なくなってきたかも?
「えっ、じゃあハクアちゃんが邪神倒したんですか!? しかも二柱も!?」
「あっ、やっぱその辺の情報も流れてた?」
「いえ、こちらに流れてきたのはアベルという方のパーティーが倒したと言うことと、最近一柱倒されたという情報ですね」
ふむ。思った以上に情報統制は出来ていたようだ。
「でも、それは私に知らせて良かったんですか? 私は嬉しいですけど」
「別にいいよ。イーナの諜報力なら本気出せば調べられると思うし、実際受け入れてる所見ると疑ってたんだろ?」
「それはまあ……彼らではどう考えても力不足ですからね。どんな奇跡が起ころうとあのレベルでは絶対に神の打倒なんてありえませんよ」
まっ、そうなるよね。
こちらとしても実際の所は、それを疑い調べ始めた人間をチェックしていた訳だし。
そんな中でもイーナの動きは分かりずらく、極めてレベルが高かった。
だからこそ私もぶっちゃけて話をしているのだ。
「でも、なるほど……ハクアちゃんが関わっていたなら話は変わってきますね。二柱目も公表はしない感じですか?」
「そのつもり、あっちは龍族だけで片付けた事にするよ」
「……私はどうすれば良いですか?」
「うーん。そのまま報告で良いかな」
「良いんですか!?」
私の返答にイーナが驚く。
まあ、当然か。
普通ならイーナの所属する場所は特に隠す所。
それをあえて情報を流してもいいなどと言われるとは思わなかっただろう。
「いいよ。ぶっちゃけそっちは得体の知れない転生者のモンスターが、何をしでかすか分からないから注視してるってところだろ?」
「まあ、そんな感じですね」
「それならあえてそっちには情報統制をしないで流しとくよ。そうすれば敵には回したくないだろ? それに」
「それに?」
「それで危険だと思って動くなら時期がわかってやり易いしね。どっちにしろコントロールしやすくなる」
「……ハクアちゃん。怖い子だなぁ」
「そりゃどうも」
冗談っぽく言ってるけど実は本気の言葉だろう。
事実イーナの目は先程よりも注意深く情報の真偽を探ろうとしている。
「にしても、やっぱり教会的には気になるもんなの?」
「まあ、そりゃーねー。一応身内のゴタゴタは沢山あっても、基本は神様を信仰してる国だもん」
「そうだけどさ。そういう国って基本自分達の崇めてるの以外はクソ程貶すじゃん」
「ごめん。結構な事言ってる自覚ある?」
「あるけどそんなもんじゃね?」
「うーん。この何を言っても墓穴を掘りそうな感じ。まあ、基本的にはそうかもね。でも、善神の女神様方は基本敬ってますよ。まあ、その中でも優劣はありますけど」
さもありなん。
「ちなみに区分は?」
「区分とか言っちゃダメですからね!?」
「で?」
「う〜、人間以外の種族が崇めている女神様達はその……アレですよ」
「なるほど……ドワーフやエルフ、獣人なんかの崇めてる女神か。創造神を中心に人間に益のある女神が持て囃されてると」
「ハクアちゃん。私の反応見て言葉選ぶの止めよ? 私じゃなかったら結構危ないよ」
「むしろイーナじゃなけりゃ言わんが?」
「……信頼として受け取っておきます」
是非そうしてくれたまえ。
しかしそう考えると思ったよりも幅は広いわけだ。
私はてっきり駄女神以外は認めない感じかと思っていたが、そこまでではなかったのか。
「流石に邪神までは守備範囲外だよね?」
「そりゃそうですよ。とはいえ、邪神であろうと神は神、こちらから手を出すものではないですね」
「ふむ。向こうがやらかしたらしょうがなくって感じか」
「だいたいそんな感じです」
ふーむ。聖国と邪神をぶつける計画はなしかぁー。
「んじゃあ、ジャブ代わりの話は終わりにして本題」
「今までのも結構重めの話だったのに本題がまだったった!?」
「聖国的に勇者ってどんな感じの扱いなの?」
「また思いきった事を聞きますね」
「一番気になってた事だからね」
勇者は女神によって選ばれる存在。
そんなものが実在してしまえば教会の権威は落ちる。
しかもその中でも選ばれし本物とされている勇者が、自分達が擁してる勇者でなく、王国のともなればその心中はさぞ荒れているだろう。
「これはあくまで国としての意見ですが……聖国は王国の勇者を認めていません。正確には異世界から拉致されてきた被害者……と」
なるほど、そっちのスタンスか。
「つまり王国は非道にも異界界から子供を拉致し、勇者として仕立てている……と、そうなるとウチにいる結衣ちゃんはどういう扱いなのかな?」
「それはえっと……すごーく言い難いんですが」
「ん?」
「あの子達って私達は最初存在すら知らなかったんですよね」
「……はい?」
「身内の恥を晒すようで嫌なんですけど、あの子達は私の属する所とは別の所属が勝手に召喚したんですよ。それで……その……」
言いづらそうにポツリポツリと話すイーナの話をまとめるとこうだ。
当初、王国が勇者召喚した事で焦った聖国。
しかしだからと言って、王国の目的が分からない以上静観というスタンスを取る事が決まった。
だが、イーナの所属する組織の政敵に当たる、別の組織が暴走して勇者召喚を行った。
そこで召喚されたのが結衣ちゃんを含む五人の勇者。
しかしその中で結衣ちゃんは特筆すべき力を持っていない、ハズレとして早々に見切りをつけられ、ほかの勇者の力を高めるべく、暗殺することが決まったのだそうだ。
ちなみにフロストとイーナは互いに政敵となるが、直接的な知り合いではなく、イーナは知っているが向こうは知らないらしい。
「また勝手な話だな」
「全くですね。私達が把握した時にはハクアちゃんが決着を付けた後でした。ちなみに今は政敵を潰し、他の子達は安全に育てています」
「そうなの?」
「はい。上司の命令で私の仲間が面倒を見てますよ」
ふむ。
「利用する気は?」
「正直分かりません。私も組織の末端ですから」
「……つまり、把握した上で放置していた可能性もある……と?」
「なんとも言えません。少なくとも私は知れる位置ではなかったし、それをしないほど善良な上司でもないと思ってます。何せ、私みたいのを何人も抱えてるので」
「そりゃまた随分と説得力のあるお言葉で」
「ちなみにハクアちゃんの所にいる子は手出無用と御触れが出ているのでご安心を」
それなら安心だ。
「ちなみに情報貰ってばっかじゃあれだから何か聞きたい事ある?」
「そうですねー。何か面白そうな情報ありますか? ハクアちゃんの弱点とかなんて」
「ふむ。そう言えば私こんな事も出来るようになったぜ」
ボフンと音を立てて幼女化する。
「何それかっわ───えっ、ほんとになんですかそれ? 持ち帰っても良いですか?」
「お持ち帰りはしても良いけど保護者が攻めてくるよ? んで、まあ、これは省エネモードって所かな? っと」
またもボフンと音を立てて元の姿に戻る。
「ああ、戻っちゃった」
「露骨にガッカリすんなよ」
「ハクアちゃん。一つ聞いても良いですか?」
「何?」
「本当に人間?」
「元人間、元ミニゴブリンの今鬼っ子モンスターな訳だが、一応人間のつもりなんだけど……最近少し自信なくなってきたかも?」
「そこ失くしたらダメだと思う」
せやな。私もそう思う。
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