本当に失礼すぎないだろうかコイツら
「はい。と、言うわけでこちらが龍の里勢です」
「紹介が雑なんだよ」
「まあ、ハーちゃんですからしょうがないですよ」
おい待て何だこの評価は!?
「えっと、この間少しだけど会いましたよね? とりあえず瑠璃って言いますよろしくお願いしますね」
「私は澪だ。それでこっちが───」
何故かいきなりディスられて、ツッコミを入れる前にお互いの自己紹介が始まってしまった為、訂正する暇もないまま流されてしまった。無念なり。
くそう。始まって早々こんな低評価を受けるとは荒らしのレビュアーに遭遇した気分だ。
「いや、明らかにお前が悪いからな?」
「人の思考にケチつけるのは良くないよ?」
「お前が分かりやすんだよ」
普段は何考えて生きてんだとか言うくせにこういう時だけ分かるとかズルくないだろうか?
人生上手くいかないなぁと深い思考に陥っている間に、どうやら主要メンバー全員お互いに挨拶を済ませたようだ。
因みにユエは着いてそうそう七曜の皆に連れて行かれた。
向こうは向こうでべつの説教が待っていたらしい。強く生きろよユエ。
さて、しかしまあどうするか。
「ハクア久しぶり。待ってたわよ」
「あっ、ごめん。急用思い出───」
「ふふ、そう慌てなくても良いじゃない。帰ってきたばかりなんだから」
こいつ……速い!?
などとバトル風に驚いてみたが、原因はずっと正座していた為に足が痺れていたせいである。無念。
「良くもまぁ帰って来て早々にやらかしてくれたわね。すこーし私とも個人的にお話しましょうよ?」
私の両肩に手を置いて行動を阻害しながら、とても良い笑顔で諸々の処理を終えたアイギスが言う。
「それ絶対少しじゃなさそうな気がする」
すまん。私には話すような事はないんだ。小粋なジョークとかも苦手な口下手だから。
「大丈夫よ。私、しばらくどこからの誰かが居なかったから胃の調子がすこし良くなったの。まあ、顔を合わす前にいきなり胃薬飲みたくなったけど」
「それは大変、早く帰って横にならないと。薬でも調合しようか? 今ならドラゴン製のお薬ネタ仕入れてきやしたぜ」
うん。ちょっと習ってきてるからマジで作れるんだよ?
「気にしないで何もしないでくれるのが一番薬になるから」
……酷くない?
「……ハァ。とりあえず冒険者ギルドにも街にも素早く説明はしたから大事にはならなかったわ」
「ふっ、御苦労おかけしました!」
こういう時は素直に土下座するのが一番である。
「因みになんて説明したの?」
ドラゴンが二体空から飛んで来たのにビビってたんだよね? どう説明すれば皆こんな早く日常に復帰できんの?
「……ただ一言、ハクアが帰って来たって言って回ったのよ」
「……はい?」
「だから、ただ一言ハクアが帰って来たって言って回っただけよ」
「なんでそれでドラゴン襲来が納得されんのさ!?」
嘘だろ。なんでそれであっさり日常回帰してんのこの国の人間!? もっと危機感もてよ! ドラゴン様やぞ!? 国一つドラゴン一匹で簡単に滅ぼせんだぞ!?
「それが分からないから私の胃薬の量が増え続けるのよ」
「意味わかんないんですけど!?」
この国の奴頭おかしいんとちゃうか!?
「この国に巣食ってるから皆ハクアには慣れてるのよ」
「住んでるんであって、巣食ってるんじゃないわい!? てか、貴様そんな認識で人を見てたのか!?」
なんて失礼な奴だ!
「ん? 何か文句あるの?」
「ないです。ごめんなさい」
これ逆らったらアカンやつや。
「全く、それで彼女達はこれからどうするの?」
「えっ、もちろん私が面倒見る感じ? あれ、ちょっと面倒?」
「はい?」
「あっ、ごめんなさいなんでもないっす! ちゃんと面倒みます」
冗談も通じないレベルでピキってる!? これは早い段階で切り札を切る必要がありそうだ。
「そう言えばお土産あったんっすよ。こちらお納め下さい」
「お土産? ってこれ、ドラゴンの鱗や牙じゃない!?」
「へい。あっしもただ遊んでた訳ではなく、ちゃんとお土産持って帰っていつもお世話になってる分貢献しようとしてたんっすよ」
「……その唐突な下っ端感ムカつくから止めなさい」
「はい……」
「なるほど確かにこれは大した土産ね。はぁ、良いわ。今回の件はこれでチャラにしてあげる。その代わりこれを使った武具の作成をコロにお願いする所までやってくれるわよね?」
「えっ、それは普通に面倒く───」
「やってくれるわよね?」
「へい! お任せ下さい!」
……後でコロにも土下座して頼もう。
なんか帰って早々、土下座案件がどんどん積み重なってるような? まあ、気のせいか。
「まあいいわ。それにしても急に居なくなるから少し心配したわよ」
「えっ、急に拉致されたのに少しなの?」
「一応置き手紙もあったから、全員心配自体はしてなかったわよ。まあ、貴女だったら何処でも生き抜けるでしょうし」
私のことをなんだと思っているのだろうか? 私色んな意味でか弱いから、下手なところに行くと平気で死んじゃうんだよ?
「で、龍の里だったのよね? 問題は解決したの?」
「ああ、私達もそれを聞きたかった」
「そうですね。いきなり呼び出されてそのまま送還でしたからね」
「それについてはごめんね。うちの里の問題なのに、あんな場面で介入して助けて貰って」
いつの間にか合流した二人の台詞を聞いたミコトが申し訳なさそうに謝罪する。
「うむ。ごくろう」
「ハクア……」
「ふむ。相当苦労させられたようだな」
「今のやり取りだけでも分かりますね」
本当に失礼だなコイツらは。
「まあ一応片付いたよ」
「それにても、結局アレなんだったんだ?」
「そうですね。凄く強かったですよねアレ」
「えっ!? 二人共分からずに戦ってたの!?」
「「だって教えられてなかったし」」
「なんか……改めてハクアの仲間の人なんだね」
「おいバカ。瑠璃はともかくお前のせいで私まで引かれたぞ」
「違いますよみーちゃん。みーちゃんはともかく私が引かれたほうが問題ですよ」
「いや、この場合、お前らに付き合わされた私が一番の被害者では?」
「「それは無い」」
本当に失礼な!
「大丈夫よ。貴女達三人ちゃんと類友だから」
「あはは……」
「くそう納得いかない」
「遺憾だな」
「本当ですね。で、本当になんだったんですかアレ?」
「ああ、アレは邪神だよ邪神。七罪の」
「道理で強い訳だ」
「はえ~アレがそうだったんですね」
「「全員もれなく言い方が軽い!?」」
なんか私達の言い方にアイギスとミコトが勝手に驚いている。
いやだって、普通にそう言うしかなくない?
「で、七罪って言ったがアレはなんだ?」
「怠惰のベルフェゴールだよ。因みに今はこんな感じになりました 」
そう言って私はベルディアを呼び出す。
「ほう。この間の奴だよな?」
「ハーちゃんが使役してるんですか?」
「うん。そうだよ。名前はベルディアにした」
「お前にしてはまともな名前だな」
「失敬な!?」
「いや、それ邪神なのよね? なんで普通に受け入れてるのよ!?」
「……アイギス。コレだぞ」
おいコラ。人の頭をグリグリするんじゃない!
「そうね。ハクアだものね……新しい胃薬貰ってくるわ」
うん。本当に失礼すぎないだろうかコイツら。何回言わせんだよこのセリフ。




