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最弱♀ミニゴブリンに転生、寿命30日から始まる神の箱庭~吸収能力と進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
ここで来ちゃうの龍の里

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また騙されたぁ!?

 試合の翌日、結構な怪我を負った私は治療の為に力を練り上げる事に専念していた。


 力を高める事で自己治癒能力を強化し、肉体の回復速度を速めるのだ。


 今の私ならば、痛みさえ我慢できるのなら力を消耗するよりも、肉体的な損傷の方が復帰が早い。


 いつもならば早々に修行が再開されない為に、出来るだけ……出来るだけ時間をかけて、かけて、かけまくって治すのだが、今回はそうしなかった。


 思えばアカルフェルとの試合でも、何故か私は最大限力が消耗しない試合運びを念頭に置いて試合を組み立てていた。


 格上相手にそんな舐めプの縛りプレイなどしている余裕はないはずだが、あの時の私は何故かそれ以外の選択肢を用意していなかった。


 今考えても意味がわからないがこういった直感的な行動は大切にしている。


 直感と言うとただの当てずっぽうのような印象を受けるがその実、確信のない確信である場合もある。


 普段なら気に止めない些細な変化、微かな違和感、そんな見過ごしてしまう程の変化を無意識にキャッチし、自分の中で無意識に確信を持っている。


 なんて事もあるのだ。


 まあ、本当にただの当てずっぽうの場合もあるけど、それならそれで外れてしまったで良い。


 大事なのは、その時になってからあの時やっていればと後悔しない行動を取る事なのだ。


 特に自分の命が軽いこの世界ではその行動指針を疎かにしてはいけない。


 だからこそ今回復に努めているのだから。


 そして今回の戦いで手に入れた新しい白打の力、これもちゃんと把握すれば更に戦いの幅が広がるだろう。


 アカルフェルの強大な力を吸収する事で手に入れた力は四つ。


 一つは銀零雪華(ぎんれいせっか)という新しい武器。


 形状は氷の結晶の形をした、チャクラムや手裏剣のような投擲武器。


 私の周りに五個ほど出現した後、自動で攻撃、防御を行うスタンドアローンタイプ、攻撃にも防御にも氷結の力を使い、私自身の魔力を与える事でそれを強化する事も出来、水、氷系統のコントロール力も上がるのだ。


 もちろん私自身が扱う方が威力や精度は高いが、自動で迎撃、防御してくれれば私の集中リソースを割かなくていいのがいい。


 氷の結晶の形をしているだけあって、銀零雪華は仮に砕かれたとしてもすぐに復元するおまけ付き。


 しかも本体から舞い落ちる粉雪は、私には効かず、相手には体力を奪うデバフを与える事が出来るのだ。


 そして二つ目の力は【全体化】のスキル。


 これは武器毎に付いていた特殊なスキルを全ての武器で扱える能力で、もちろん効果のオンオフも出来る。


 一見地味だが例えば白打の状態で銀零雪華の能力を使えば、白打が冷気を纏って相手を斬った部位を凍らせる事が出来たりする。


 俗に言う属性武器だ。


 もちろん水、氷系のスキルや魔法のコントロール性能が上がるおまけも付き、弱点属性なら高い効果を発揮するようにもなる。


 他にも如意棒の特攻系スキルや【神聖】なんかも付与出来る。


 まあ当然ながら相反する属性を付ける事、あまりにも多くのスキルを使う事は出来ないが、それだけでも十分過ぎる程の能力だ。


 三つ目の力は【滅龍】のスキルだ。


 これはまあ、一言で言えば龍絶対殺すパックである。


【竜特攻】よりも効果の高い【龍特攻】のダメージアップスキルを筆頭に、龍族限定の回復阻害、弱体、継続ダメージアップ、出血など、龍を絶対滅するという強い意志を感じるスキル構成の複合スキルとなっている。


 そしてお気づき頂けただろうか?


 そう、このスキルは龍ではなくて龍の属性を持つ者全てに効く。


 つまりこのスキル───やはりと言うか、そうだよねと言うか、お前もかと言うべきか、私にも刺さるのだ!


 もう怖いよね。


 自分の持ってる武器が一番自分に害のある物とか。このままこの子が成長したらその内持ってるだけでもダメージ入りそうで怖い。


 最後に四つ目の力、それは白打の霊器(れいき)化である。


 数多の激戦を潜り抜け、アカルフェルの力の大半を吸収した事で白打自身が格を得て霊器となったのだ。


 ここで説明すると、霊器とは長い年月を経る事で魂が宿り、霊気を蓄え力を付けた物の事だ。


 人格が生まれていなくても強力な能力を有し、自身の主を選んだりもする。


 そして霊器になるとレベルが上がるようになり、格が高い、もしくは格が成長すると人格が生まれたり、霊器自体が器霊(きれい)(霊器に宿る精神体)と化して、別の生物の形を取ったりする。


 テア達曰く、白打の格は相当高いらしく人化も出来るらしいのだが、今はまだ生まれたばかりで意志の疎通も出来ていない。


 因みにここだけの話、聖剣や魔剣と呼ばれる物も、広義の意味では霊器の一種らしい。


 まあ、こんな事を言ってるのが世間にバレたら異端審問やら、聖職者、各国の王がこぞって殺しに来る可能性があるので内緒だけど。


 そんな力を手に入れた私は、体の治療と並行して魂の修練をするため、混沌森羅界で修行していた。


 そして今。


「ふむ。ようやく来れたけどこれがいいモノか?」


 もう既に何度目になるかわからない竜巻、ソウ曰く斬裂刃風(ざんれつじんぷう)と言う名の超自然災害の攻略。


 風に逆らう事なく、バラバラに刻まれながら意識を保ち、なんとか中心部まで辿り着く事が出来た。


 そして竜巻の中には私の好きそうな物があると言われたが、そこにはなんの変哲もない怪しげな台座が鎮座していた。


「うん。実に怪しい台座だ」


 だって、絶対そうしろよ。とでも言いたげな手のひらを押し当てる凹みがあるのだ。


 これはもうやれって事だよね?


 何もせずに待っていても仕方がないの、でえいやっ。と気合いを入れて台座に手を乗せる。


 すると台座から光が溢れ、私の目の前に風を象った紋章のようなものが浮かび上がり、それはそのまま私の中へと吸い込まれていった。


「これで終わり? って、おわ!?」


 ▶個体ハクアが風霊紋を魂に刻み込んだ。

 全てのスピードが永続的に上昇します。風属性の全ての魔法、スキルの威力とコントロール力が上昇しました。


「お? おおう。そうかぁ、好きそうなものってこんな感じかぁ……って、これって普通にクリア報酬で好きそうなものとかそういうじゃないじゃん!? また騙されたぁ!?」


 膝から崩れ落ちる私の前に光の扉が現れる。


 どうやら斬裂刃風をクリアした事で次のステージの扉が開いたようだ。


「うぅ……騙された挙句、クリアの余韻も何もない。まあ、疲れたから今日はここまでにするけどな!」


 誰に聞かせる訳でもなく、それだけ言い残して私は混沌森羅界から脱出した。

 ▼▼▼▼▼▼▼

「クソ……クソクソクソクソクソクソクソクソクソ! 糞がァ!!」


 誰もが寝静まった暗闇の中、重たい身体を引き摺ってとある場所までやって来たアカルフェルが、何度目になるか分からない怨嗟の声を上げる。


 その目に宿るのはたった一人への狂気。


 その身体は未だ傷が癒えず、龍の身体を持ってしてもまともに歩く事さえ困難な重傷のままだ。


 それでもここまでやって来た。


 そこは里の者が近寄る事のない岩山。


 何がある訳でもなく、切り立った狭い道しか存在しない場所。


 そんな場所にアカルフェルは一人、重傷の身体を引き摺りながら登り、そして辿り着いた。


「これが奴の言っていた……」


 それは一見するとなんの変哲もないただの石が積み重なった物。


 しかし注意深く見れば、それが誰かの手によって積み上げられた、自然に出来たものではない事が分かる。


「今度こそあの羽虫を潰す力を……」


 呟き、憎き仇を幻視したアカルフェルが怒りのままに石を砕く。


「なんだ? なんだこれは!? こんなモノ聞いて───」


 その瞬間、闇が溢れ出す。


 溢れ出した闇は近くに居たアカルフェルを呑み込み、龍の里全てを一瞬にして覆い尽くした。

 ▼▼▼▼▼▼▼

「ふぁ〜あ。あれ? ここ……何処?」


 目が覚めた私が見たのは知っているようで知らない部屋。


 何処か懐かしさを感じ、暖かな気持ちになるそんな不思議な感情が溢れる。


「って、また!?」


 近くにあった鏡に映るのは、何故かまた小さくなった私の姿。


 昨日は確かに普通だったはずなのに、いつの間に小さくなったのだろうかこの身体は。


「どうしたのー?」


「えっ……」


 世の不条理を嘆いていると私の耳に聞き慣れた、酷く懐かしさと悲しさを覚える声が響く。


 思考が止まる。


 喉がヒリヒリと渇く。


 呆然と声のしたドアを見つめることしか出来ない。


「あっ、起きたの? よく眠れたみたいね。白ちゃん」


 そこには───居るはずのない私の姉がにこやかな笑顔で立っていた。

読んで頂きありがとうございます。


ハクアの事を応援しても良いよって方は評価、感想、レビューとかどれでもしてくれると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] いいものは単なる報酬でしたwww 「わくわく返せ!」と あの著名なアーニャ嬢なら 叫んだでしょうねw [気になる点] > 今の私ならば、痛みさえ我慢できるのなら力を消耗するよりも、肉体的…
[一言] なんかハクアを曇らせることができそうな人が出てきたよ、 さすがに幻的なやつだよな?
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