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最弱♀ミニゴブリンに転生、寿命30日から始まる神の箱庭~吸収能力と進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
ここで来ちゃうの龍の里

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ミコトはどっちの味方なんさ

 ミコトのブレスが放たれる。


 試練により龍王クラスに至ったミコトの十分に力を溜めた攻撃は、アジ・ダハーカをしてまともに受ければタダでは済まないだろう。


「「「ガアァ!!!」」」


 だがアジ・ダハーカは、対抗するように三口を開くとその全てからブレスを吐き出す。


 黒く禍々しい三つのブレスは、空中で混じり合うと一筋の光に収束し、ミコトのブレスと真正面からぶつかり合う。


 拮抗。


 しかしそれも長くは続かない。


「クッ!」


 徐々にだがミコトのブレスは、アジ・ダハーカのブレスに押し込まれていく。


 苦しそうな顔でそれでも懸命にブレスを放ち続けるが、更に力を上乗せしたブレスが、遂にミコトのブレスを呑み込んだ。


「うわっ!?」


「ミコト!」


 間一髪。


 ギリギリのタイミングで避けた事で、風圧に押され墜落するミコトをハクアが救出する。


「戦闘中に考え事とは余裕だな天魔の」


「ハクア来る!」


 そんな二人の着地を狙いアジ・ダハーカが迫る。


 だが───


「ストップ。答え合わせしようぜ」


「へっ!?」


 ハクアの言葉に思わず間抜けな声を上げたミコト。


 そして同時に、ハクアに迫っていた命を刈り取る魔手が、ハクアの顔の前でビタリと止まる。


「そんなものを受け入れるとでも?」


「そ、そうだよハクア!?」


「ミコトはどっちの味方なんさ」


「いや、そりゃそうだけど」


「それにこいつは受け入れるよ」


「そんなわけないじゃん!?」


 ミコトはハクアの顔を何言ってんだこいつといった感じで見詰める。それに失礼な奴めと思いながらアジ・ダハーカを見る。


「ほう。なぜそう思う?」


「だってそっちの方が面白いだろ?」


「……面白いって、何言ってるのハクア?」


「そのまんまの意味だよ。ミコトも、さっき私が打ち合わせと違う行動したのはわかってるよな?」


「えっ、う、うん。確か拘束するって話だったよね?」


 ミコトの言う通り、当初ハクアは後ろに隠れた瞬間から、ミコトにここまでの行動を指示していた。


 分身と入れ替わり奇襲する事。


 その際、自分に意識が向いた瞬間に、ミコトもハクアの作った分身と入れ替わり、気配を消してその時を力を溜めながら待つ事。


 そしてブレスの瞬間に合わせて、ハクアがアジ・ダハーカを一瞬でも拘束する手筈になっていた。


 だが、実際ハクアはアジ・ダハーカを拘束する事はなかった。


「まあ、理由としては気が付くタイミングが早すぎたからだ。あのタイミングで私が拘束したとしても、着弾前に拘束を解かれて逃げられる。だからやらなかった」


「うん。それはわかるよ。私もそう思ったし」


「けど、実際はそうならなかった」


 アジ・ダハーカをして致命傷になり得る可能性のある攻撃。


 しかしアジ・ダハーカは何故か安全策を捨て、ブレスによる迎撃という道を選んだ。


「その理由がこの戦いを楽しむ為だ」


「えっと……なんでそうなるの?」


「こいつにとって私達は物足りない。もしくは戦いそのものがそうなのかもな。だからこいつは自分に枷を付けてる」


「枷?」


「そう。こいつに攻撃を避ける意思はないんだよ」


「えっ!?」


「全てを受け、全てを正面から叩き潰す。ある意味で何処までもドラゴンらしい戦い方。だから、私の答え合わせにも付き合うのさ」


 教えてやる義理はないが答えを聞かれれば答える。

 見当違いな仮説を立て、それを元に行動して、早々にくたばるなど面白くない。


「だからこいつは答えるさ」


 それが当たり前のように、微塵も疑う素振りすらなく、ハクアはアジ・ダハーカに不敵な笑みを浮かべて堂々と言い放つ。


「フッ、面白い。良いだろう言ってみろ」


 ハクアの眼前から手を引き、アジ・ダハーカが腕を組んで言葉を促す。


「それじゃあ遠慮なく。アンタの身体、見た目通りの質量じゃないだろ?」


「ハクアごめん。意味わかんない」


「つまりは、見えてるよりもずっと重いし密度も高い、ぎゅうぎゅうに中身いっぱい詰まってんだろって事。下手をすればその辺の山一つか、二つ分くらい中身あるんじゃん?」


「山一つか二つ分!?」


「正確にはわからんが、貴様の言っている事は確かだな」


「やっぱり。蹴り入れた瞬間、やばすぎて折れるかと思ったもん」


 逃れる為に蹴りを入れたハクアが感じたのは、見た目以上に圧倒的な質量だ。


 大地そのものを相手にするようなそんな存在感。


 それ故に生半可な打撃は、逆にこちらの身体を傷付ける行為でしかないとハクアは判断した。


「聞きたい事はそれだけか?」


「うんにゃ。本題はこっち。アンタさ……未来見えてるだろ?」


「ッ!?」


 ハクアの言葉に今度こそミコトは息を呑む。


 これほどの敵。


 これほどの力を持つ相手が更に未来まで見えている。


 そんな事がもしあるのなら、自分達に勝ち目などあるわけがないからだ。


「まあ、未来が見えるってのとは少し違うかもだけどね」


「何故わかった」


「さっきの行動見てなんとなくね」


「さっき? そんな感じなんてしなかったけど」


「いや、結構分かりやすかったよ? それにアンタは確か、苦痛、苦悩、死をそれぞれ表してんだろ? つーことはそれの権能って所か? それに穴も結構ありそうだ」


 まず最初の奇襲。


 未来の全てが見えていたのなら、ハクアの分身を初めから見破っていたはずだ。


 しかし実際はハクアが奇襲を仕掛ける直前まで察知する事が出来ていなかった。


 その後の攻撃に対しても、アジ・ダハーカの行動は全てハクアの行動を見てからの対処だ。


 だが、ミコトのブレスに関しては、何故かハクアの攻撃よりも早く見破った。


 このチグハグな反応の違いを、ハクアは未来視、またはそれに準ずる能力だと判断した。


「行動は早い。反応も早い。けどアンタ、全部反射でやってるだけで先読みの精度は高くないだろ? それに自分の力がデカすぎて、相手の力を読むような繊細な作業は苦手みたいだな?」


「でもハクアの話だと、千の魔法を使うとかって言ってなかった? それならそれくらい出来ると思うけど」


「確かにね。でも、自分の力を扱うのが得意だからって、相手の力を読むのまで得意、出来るとは限らない。ましてや、自分の力が巨大なら、小さな力の動きを察知するのが不得意でもおかしくない」


「その通りだ。吾は昔からそちらは苦手、何よりも───」


「そんなものをいちいち気にする気もなかった。だろ?」


「ああ。しかしそれだけでは正解とは言えないな」


「もちろんまだ終わってないよ。それぞれの反応の違い、そしてその理由。アンタが見える未来は相手の攻撃の脅威度によって違う。しかもそれは恐らく0.5秒から5秒ほどって所か?」


「……ほう」


 ハクアの攻撃に対処が遅れたのは、その攻撃が自身の脅威になり得ないから、その逆にミコトの攻撃にいち早く気が付いたのは、それが自身を脅かす程の威力だったからだ。


 そして分身に気が付けなかったのは、それ自体がアジ・ダハーカを狙った攻撃ではなかった為に発動しなかった。


「その事から苦痛、つまり受けるダメージによって見える時間が変わる。死にまつわるレベルだとそれが起こる前に分かるって所か」


「苦悩っていうのは?」


「そっちは多分、可能性の模索」


「可能性の模索?」


「うん。私達の行動、思考から生まれる、無数の選択肢がアイツには見えてるんだと思う」


 全ての攻撃は事前に察知され、行動すら全てではないにしろ、選択肢としてアジ・ダハーカの目に映る。


 それは戦えば戦うほど自分達のデータが揃い、より確実なものとして映り、全てが筒抜けになるというのと同義だ。


 そんなもの勝てるわけがないと、ミコトに絶望が降りかかる。


「正解だ。恐ろしいものだ。先ほどの数手だけでそこまで理解するとは」


「お褒めに預かり光栄で。ミコト、落ち込んでる暇ねえぞ」


「えっ?」


「わかんだろ。向こうはデータが揃えば揃う程、より確実にこっちの行動が読めるんだ。なら、こっから先は速戦即決。出し惜しみなしの全力でやるしかねえって事だよ」


 ハクアの目に諦めはない。


 微塵も揺るがず言い放つその瞳に、ミコトの中で心臓がドクンと脈打つ。


 ああそうだと。


 ここで諦めてどうするのだと。


 絶望的でも手がない訳ではない。


「ハァー……うん。作戦はある?」


「ふっ、愚問だなもちろんだとも。その場のノリで適当に合わせて」


「それ、世の中的に無策って言うんだよ。でも、まあ、それも良いかもね!」


 ミコトとハクア。


 互いに目を合わせ笑い合う二人が力を解放した。

読んで頂きありがとうございます。


ハクアの事を応援しても良いよって方は評価、感想、レビューとかどれでもしてくれると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最近前の話を見返して見たけど、マナビースト戦でハクアが後ろから刺された時のいつもの面々の視点が無かったので、どんな感じだったんだろうか気になるけど、きっといつもの面々がキレて、メイドと…
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