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最弱♀ミニゴブリンに転生、寿命30日から始まる神の箱庭~吸収能力と進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
ガダル編

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ははっ、まじかぁー

遅くなりました

「はあぁぁ! ととっ! うわっ!」


 念願の攻撃力を手に入れた私は現在華麗に……とは程遠く、実に無様な戦いを繰り広げていた。傍から見ればきっと呆れられてしまうだろう戦いに、こんな事になるとはと内心戦慄する。


 なぜこんな無様を晒しているか? それにはちゃんとした理由がある。


 それは……この剣が重いからだ!!


 あー、うん。変な事を言ってる自覚はある。

しかし聞いて欲しい! 地獄門の鎖を使った擬似強化外骨格は、ほぼ成功と言っても良いほどにダグダの大剣を持つ事が出来た。


 だが……だ。


 持ち上げる。振り回す事が出来ても振り回した際、大剣の遠心力で生まれる別方向に掛かる重量が問題なのだ。


 重心がズレ違う所に重量が生まれればすっぽ抜けてしまう。考えてみれば当たり前だがホールド力が足らない。鎖もあくまで補助なので、これでホールド力を持たせると、下手すりゃ肩が千切れるのだ。

この鎖を使った擬似強化外骨格は言ってしまえばサポートだけ。今の思い付きの行動で試している状態では、動きや攻防によって生じる様々な要因に対しての細かな挙動は出来ない。

その都度掛かる重量を計算、必要な魔力の精密操作をしてアジャストしなくてはならないとは思わなかった。


 あれ? 結構どころでなく大変だよ? これまた私だけしか出来ないとか文句言われそう。


 帰ったらコロに相談してちょっとどんなスキルを付与したら良いか考えよう。テアやリコリス達にも相談して地獄門の鎖にも術式組んでみよ。

鎖の方で勝手にアジャストしてくれれば簡単だし。


 しかしなぁ。最初、また勝負の途中にハイオークに邪魔されては敵わんと、先に片付けた時に違和感はあったのだ。しかし、ダグダの大剣を振り回す程では無かったのでそこまで感じなかった。

 と言うか、突進からの突きで全部片付けたのがいけなかった。だって並んでたから一気に串刺し出来たんだもん! お陰でオーク串が出来て少し焼きたくなったのはしょうがない事だと思う。お腹空いた。


 そんな訳でオークロードと戦うまでその問題に気が付かなかった私は、今現在物凄く苦労しながら魔力をアジャストしていた。


 だがそれでもこの戦法はとても有効で【雷装鬼】とこの力を使えば、今まで避けるしか方法の無かった攻撃を受ける事が出来る。

それだけでも戦略の幅が大きく広がった。そして同時にこれは絶対に物にしなければいけないものだと再確認する。


 オークロードの横凪ぎの一撃を大剣を地面に突き立て防御する。ガギィィ! と、盛大な音を立てて弾かれる棍棒を確認しながら、体勢の崩れたオークロードの腕を切り上げの一撃で棍棒ごと切り捨てる。


 本来ならここで追撃を仕掛けたい所だが、流石に今の状態でそれをするには危険過ぎるので安全第一で下がっておく。


 それに、一瞬にしてオークロードのプレッシャーが一気に膨れ上がって来ている。気のせいにしたいけどやはりそうはならないようだ。


「ヴォォォァオムゥァァァ!」


 怒りと憎しみをない交ぜにしたような雄叫びを上げると、瞳に光る紅い光が一際怪しく輝き、オークロードの肉体がボコボコと隆起を起こす。


 するとせっかく私が付けた内臓にまで達していてもおかしくなかった袈裟の傷と、切り捨てたはずの腕が再生を始め、より一層禍々しく変化する。

それだけでは飽き足らず、再生させた腕を地面に突き立てると、引き抜く時にはその手にさっきまでよりも更に大きくなった棍棒が握られていた。


 自然武装(ネイチャーアーム)、一部のモンスターが有するスキルで、自然界の物質を武器に変換するものだ。


 たまたまオークロードに進化しただけにも拘わらず、どうしてあんな専用武器みたいな物を持っているのかと思えば、どうやらああやって自作していたらしい。


 つまり、地面があればあの棍棒砲弾は何時でも何度でも飛んで来るって事か……まじで?


 黙って見ていたかった訳ではないが、猛烈に嫌な予感がして動けずにいた私は、片時も目を離さずにオークロードを観察する。


 HPは減ったままだけど傷口は完全に修復されてる。

それに、あの状態はマハドルと似ている。と、いう事は一撃で仕留めるくらいでなければ、傷を負う度に肉体は強くなり魔石も暴走して手に負えなくなるかも知れない。

でも私にそんな火力出せるかな? うーむ。あれも試すべきか? 機構は造ってあるけど今まで使えてなかったから少し実験してからが良いなー。


 オークロードについての自分の考察に冷や汗を掻きながら見つめていると、オークロードはゆったりとこちらに歩んでくる。そのさっきまでとの違いにどうしようも無い恐怖を感じる。

だが、自分が何に対して恐れているのかわからない。それでも自分の勘を信じてオークロードに注視するが、そこでふと違和感を感じ、どこか変わっている事に気が付く。


 なんだ。何かが違う。オークロード……ではなくて。なんだ。ッッ! そうだ! 切り捨てた手はどこに消えた!?


 私が違和感の正体に気が付くと同時、背後から切り落としたオークロードの腕が私の身体を捕らえ握り締める。


「くっ、あぁ!」


 ミシミシと自分の骨が悲鳴を上げる音を聞きながら、なんとか脱出しようともがくが上手くいかない。そして、私が捕らえられると同時に走り出したオークロードはもう目前まで迫っていた。


 衝撃。


 走り寄るオークロードがその速度と力を存分に生かした横薙ぎの一撃が、動く事の出来なかった私を襲う。


メキョッ! ゴギンッ! と、およそ人体から聞こえてはならない音を自分の身体の中から響かせながら、岩山まで吹き飛び受け身さえ取れずに壁に激突する。


「カハッ!」


 肺の中の空気が強制的に押し出され口から空気が漏れでる。しかもそれだけでは無く、痛め付けられた身体は空気だけでは飽き足らず、迫り出すように吐血を促し強制的に血を吐き出させる。


「ガフッ! カハッ! ゲフッ! ゲフッ! ハー、ハー、ハー……」


 荒れる呼吸と打ち付けた衝撃で明滅する視界をなんとか堪え、もう休ませろと訴える身体に力を入れ直し、震える足で立ち上がる。


 クソッ! 油断した。まさか切り落とした腕を操作可能だとは、でもピンチを招いたのがこの腕なら、ピンチを凌げたのもこの腕のお陰とは皮肉なもんだ。


 私の身体を逃すまいと包み込むように握っていた腕のお陰で、棍棒の一撃と岩山に激突した衝撃はクッションになりダメージをかなり抑えられた。


 無ければ多分死んでたな。しかし、ピンチになったのも腕のせいだから感謝はしたくねぇーなー。


 それでもなんとか生き残れたのはこの腕のお陰なので良しとする。流石にこれ程の衝撃を受けた腕は、もう動く事は無いようだが一応警戒は忘れない。


 治療をしてる暇は無いし、正直さっきまでのように剣を振り回す余裕も無い。何よりこの状態で精密な魔力操作なんて出来る訳がない。ハッ! 無い無い尽くしとなると逆に覚悟が決まるものだ。


 最早風前の灯と化した私に止めを差す為、オークロードはこちらに走ってきている。やると決めたなら後は全力を出すだけだ。


 私はダグダの大剣を正眼に構え目を瞑り荒くなった呼吸を整える。


「すー、はー、すー、はー」


 痛みを意識してその部分を切り離すイメージ。更に体内にある魔力を強く意識する。

扱うのはオリジナル魔法【蒼炎】火が酸素を取り込み燃焼させ勢いをどんどんと増していく過程を強くイメージする。そしてその炎が手を伝い構えたダグダの大剣に吸われ、その力を内部に蓄積していくよう誘導する。


 確かに私はダグダの大剣にはまだ何もスキルを付けていない。それはこの剣を今の今まで使えていなかったからだ。


使う前から変なスキル付ける訳にはいかないからね。


だが、私がダグダの大剣に何もしていないとは言っていない。そうダグダの大剣には超圧縮による超重量以外にももう一つ機能が在る。それがこの表面に刻まれている模様である。

この幾何学模様には魔法の蓄積と解放の効果がある。其れが何を意味するかそれは、スキル【魔法剣】の強化。


【魔法剣】に纏わせる事が出来る魔法にはある程度の制限がある。

あまりにも強力な魔法では使う意味が無いからだ。そもそも【魔法剣】とは、武器に使った魔法の属性をプラスするというもので、はっきり言ってしまえば一時的に属性付きの武器にする。と、いう物なのだ。それに強力な魔法なんて必要な訳が無い。


 だが、私のダグダの大剣に施した蓄積と解放を以てすれば、使った魔法の力をそのまま攻撃力に転化して、解放を使えばその魔法を炸裂させる事も可能なのだ。理論上はだけどね。


 目を開けるとそこには白く大きな剣に蒼く燃える炎が灯る。


 どうやら第一段階は成功したようだ。


 傷付いた身体で行う無茶な行為の代償は、急速に体力、気力、魔力を容赦無く奪っていく。既に私は立っているのもやっとの状態だ。それでも私は正眼に構えた大剣を八相に構え直す。


 狙うは一撃。


 正面から馬鹿正直に突っ込んで来るオークロード。脳天を狙う振り下ろしの一撃を紙一重で避けると同時に、残った力を振り絞り思い切り跳躍する。


 爆ぜる地面の音を聞きながら八相に構えた大剣を上段に振り被り、オークロードと同じく相手の脳天を狙う。全力を込めたオークロードの一撃は、避けられてしまったが為に決定的な隙を私に晒す。


「はあぁぁぁ!」


 滅多に無い裂帛の気合いを出しながら見舞った一撃は、見事に相手の頭を捉える──が、オークロードは脳天ではなく自ら剣筋に飛び込む事で、勢いが付く前に額で受けその勢いを止められる。


 限界を迎えた私の身体では押し込む事も出来ず、暴走により強化された身体を切り裂く事が出来なかった。


──だが!


「弾けろ!」


 私の叫びに呼応してダグダの大剣に施されたもう一つの機能。解放が発動するとオークロードの額に触れた部分を中心に蒼炎の爆発が炸裂し、オークロードの頭を吹き飛ばす。


 爆風に押された私は武器落としながら吹き飛ばされ無様に地面を転がると、なんとか身を起こしオークロードがどうなったのかを確かめる。


「まじかよ」


 頭から煙を上げているがその白煙の向こうに紅く光る二つの光が見える。そして、オークロードの身体は私に向かい白煙を上げながら、ゆっくりと近寄ってくる。心境はまさに死神の鎌を首に突き付けられた気分だ。


 クソッ! 動けよ身体!


 どうあっても動こうとしない身体に悪態を吐きながら、ゆっくり迫る足音を聞く私。そして、遂に私の目の前までやって来た足が止まる。


 見上げるとそこには私を見詰める紅く光る瞳。


 体力も気力も魔力も全て尽きた。それでも諦める訳にはいかない。そして、この場であれ(・・)を使う訳にはまだいかないのだ。


 ゆっくりと私に迫る手を見詰めながら必死に打開策を考える。


 そんな私の視界の中に何かが動くのが見える。

それは紛れもなく場違いなモンスター。だがそれは私が教えたように精一杯に身体を伸ばし唯一の攻撃技【体当たり】を放ち。弾丸のような勢いでオークロードの後頭部に激突した。


 その瞬間、私を見ていた紅い光は輝きを失いそのまま私の横に倒れ込んだのだった。


 ははっ、まじかぁー。


「ヌルありがと」


 窮地を救ってくれた新しい仲間に礼を言いながら私はまたしても意識を失うのだった。

オークロード完です

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