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最弱♀ミニゴブリンに転生、寿命30日から始まる神の箱庭~吸収能力と進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
フープ滞在記編

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302/701

「「サー、何でもありません! サー」」

ちょっと早い時間に更新です

「フゥー! フゥー! フゥー! フカー!」


 ああ、すっかり野生に戻って警戒されてしまった。


 散々私に弄くり回されたリリーネは、リコリスの後ろから顔を出し私の事を威嚇している。


 ふふふ、いいオモチャを見つけた。面白くなりそうだ。


「ひっ!?」


 何かを感じ取ったかのようにリコリスの後ろに完全に隠れるリリーネ。しかしそんなリリーネを更なる絶望が襲う。


「リリーネ。ハクア様は私達の主であるエル様の主なのですよ。誠意と信頼、尊敬を以て接しなさい」

「お母さん!? あ、アンタ本当に何したのよ!」


 いや、知らんがな。私だって驚いてんだっつーの。


 リリーネを叱るリコリスの私を見る目には、何やら瑠璃やアリシア、シィーと似た物を感じる気がするが気のせいだろうか。


 共通点も分からんし。


 その後も説教を続けられたリリーネは渋々ながら私の事を認めたようだ。他のサキュバスにしても衣食住の保証が為され、外敵に怯えなくて良いというだけでも満足なようだった。


 後でクーに聞いた話では、奴隷として売られた段階で既に死を覚悟していたらしい。なんでも常々から人間に捕まった後の末路は教え込まれていたのだそうだ。


 だからだろうか、創作物の中のサキュバスのイメージは人を陥れて楽しんでいるイメージだったが、どうやらリリーネ擁するサキュバス達は、人に怯え脅威に怯えながら細々と生きていたそうだ。


 リコリスが言うには、魔族領に戻っても食い物にされる可能性が高かったとの事だ。


 人を襲っていたと言っていたが本当に生きていく為に最小限だったんだろう。何にせよそんな現状なら多少は住みやすい環境を作ってやりたいものだ。


 ある程度の面通しが終わった段階で私はメイド組とテア、月兎族をアリスベルの屋敷に送り、ある程度の一般教養の教育を頼んでおく。


 獣人というだけでマイナスの補正が掛かるからね。せめて教養を少しでも付ければ考えの幅も広がるだろう。


 ミュリスもこっちの組に編成しようとしたら何故か強固に固辞されてしまった。本人曰く勉強よりも私の役に立ちたいらしい。


 それを聞いた瑠璃とアリシア、シィーの三人がミュリスの教育と戦闘、魔法の訓練に名乗りをあげたので任せておく。


 その時何故か他のメンバーから憐れんだ目で見られたのは何故だろう? そして、自分でもよくわからないけど致命的なミスを犯した気がするのも何故だろう? 色々解せぬ。


 サキュバスはフープの方で預かる事になったがここで問題が起きた。私の作った家の中とはいえここは城の敷地内、そんな中に魔物を野放しにするのは……と、難色を示された。さもありなん。


 そんな訳で昼は私かクーの監視下に、夜はヘルさんに家の周りに結界を張って貰う事で、なんとか納得して貰う事に成功してその場は解散となった。


 因みに、夜家の周りに結界が張られている事はサキュバス達には言っていない。まあ一応ね。表面上は従っていても腹の内は分からんからね。


 その日の夜、誰もが寝静まった深夜の私の部屋に訪問者がやって来た。


 出入り口には私の(ネスト)があるため開ければ分かる。現にさっきは分かったのだからちゃんと機能しているのは確認済みだ。それにも拘らず反応が無かったという事は、恐らく転移か何かの力だろう。


 使えるようになるのなら是非習いたいものだ。


「いらっしゃい。用件は何かな?」


 そんな訪問者に向かい私はベットから起き上がり声を掛ける。そんな私に驚いた顔を向けるのはリリーネだ。


 しかしまあ、不満は早い内に解消しようと煽っていはいたけど、まさかここまで素直にかかってくれるとはね。しかも、当日の夜とは可愛い奴め。


「くっ!? バレたなら仕方無い! アンタを殺してここから逃げさせてもら──」

「止めるのじゃリリーネ!」


 と、リリーネの台詞を食い気味に遮ったのは、リリーネよりも前に私の部屋に侵入していたクーだった。


 私とリリーネ両方の狙いを察知してリリーネを止める為に侵入したのだろう。そんなクーは窓の前に立つリリーネとベットに座る私の間に立ち、私を庇うように両手を拡げて真っ直ぐな視線で言葉を紡ぐ。


「リリーネ。止めるのじゃ」

「何故ですかエルクーラ様! 人間なんか信用出来ません! 人間は、いえ、他のどんな種族でも悪いようにはしないなんて言って結局利用するんです!」


 ……まあ、私も美女や美少女、立場の弱い人間にそんなセリフ吐く奴は信用しないな。言わないけど。


「だとしても主様は違うのじゃ! それは近くで見てきた我が保証するのじゃ」


 クー、私の事をそんなに信用してくれていたのか!? 隙あらばツッコミの腹パン狙って悪かったね!


「幾らエルクーラ様の言葉でもそれだけは信用出来ません! 事実お母さんはこいつのせいで変になったし!」


 ……いや、それは私も理由を知りたいくらいなのですが。それまで私のせいになりますか!?


「だからこれ以上変な事になる前にここで始末を──」

「いかん! 止めるのじゃ!」


 クーの奥に居る私の事を睨みながら殺気を膨れさせ、濃密な魔力を掌に集中しながら喋るリリーネの言葉を遮るクー。


「退いて下さいエルクーラ様!」

「頼む止めてくれ! 頼むのじゃ! ヘル(・・)

「──っ!?」

「そこから一歩でも動いてみなさい。この鎌は容易に貴女の首を落としますよ」


 そう。一番最初のセリフ以降私が喋らなかったのは、何もクーの邪魔をしないようにと考えての事ではなかったのだ。その理由があの、私の知っている飛翔器具とは全く異なる銀翼を携えた美しい死神が居たからだ。


 作り物のような。と、言うよりもまさしく作られた体を持つヘルさんの迫力は凄い。特に今は、普段あまり感情を窺わせないヘルさんには珍しく、切れ長の目に冷酷なまでの怒気と殺気が浮かんでいる。


 多分、宣言通り一歩。いや、半歩でもリリーネが体を動かせば、あのリリーネの首にかかっている鎌は容易に首を落とす想像が出来る。


 そしてクーは、リリーネの事を止めていたのではなく、その後ろ、リリーネの後ろの窓の外に浮かんで居たヘルさんに懇願していたのだ。


 ……うん。はっきり言って超怖いです。ヘルさんがマジ切れとか本当に怖い。


 それにしてもあれフリーウイングなのかな? 飛行機のスラスターのようだった形状は大きく変わり、今は鳥の翼のような形になり、大きめな一枚、一枚の羽から光の粒子のような物が出ていた。正直格好良くて羨ましい。


 そんな現実逃避をしている私の前で、暗くてよく見えないけどクーの体は小刻みに震えている。後ろ姿だけでも顔が青ざめているだろうと想像出来る。蛇に睨まれたカエルとは正にこの事。さもありなん。


 分かる。分かるぞクー。だから私もさっきから喋らない訳だし。だって、喋ったら私にターゲットが移りそうじゃん! ヘルさんなら絶対私の考え分かってる! だから怒られそうだし。

 ここはクーとリリーネに頑張ってもらって脱出を──あっ、はい。じっとしてます。すいません。ごめんなさい。


 なんとか抜け出そうとした瞬間に睨まれた。一応私、助けに来てもらった体ですよね!? 扱い同じなんですけど!?


 しかも視線が私に一瞬移った事でヘルさんの眼光から逃れたクーが、体を前に向けたまま首だけ後ろを向き私に助けを求める。


 おいー! こっち向くなよ! ああ、視線が! 視線が私に!

 コラ、クー! 何、震えてんだよ! お前曲がりなりにも元魔王だろうが! 本能や誇りまで経験値と一緒にダンジョンに吸われたのかよ!? 安易に助けを求めないで下さる魔王少女!?

 あっ、あの目は確実に事を起こしたのは私なんだからなんとかしてくれという目だ。ちくしょうめ!


「ハァー、リリーネ?」


 私はヘルさんに射竦められ、心拍数の上がった心臓を落ち着けるように深く深呼吸するとリリーネに話し掛ける。


 リリーネは喋らずに私の目を見て、視線だけで何よ。と、聞いてくる。


 ヒィー! ヘルさんの殺気が更に膨れた!? 私じゃないよね!? リリーネだよね今のは!?


「少しだけ時間をちょうだい。その間に人間に受け入れられて、定期的に精気を摂取出来る環境を用意する」

「……出来るの?」

「やるんだよ」

「わかったわ。一応信用してあげる。その代わりもしもその言葉が嘘だった時には……」

「その時は改めて私を狙えば良い」


 私の言葉に一応満足したのか殺気と魔力を霧散させるリリーネ。それを確認したヘルさんも首から鎌を外す。するとリリーネはヘルさんに一瞥入れて、何事も無かったかのように部屋を後にした。


 あっ、盛大なため息と扉を擦るような音が、へたり込んだな。


 さて、こんな事を考えている私は現在現実逃避中です。何故なら魔王少女を震え上がらせる銀翼の死神が、私達を睨んでいるから。


「そ、それでは我はこの辺で」

「おいこら待て魔王少女! 逃げるな!」

「は、離すのじゃ主様! ほれ、ヘルは主様に用があるのじゃ! お邪魔虫な我は、抜群に空気を読んで退室するのじゃ!」

「ふざけ──」

「二人共そこに座って下さい」


「「あっ、はい」」


 怒鳴る事無く静かに言われた言葉は迫力があり二人揃って静かに言うことを聞く。


 そして私達は朝までの説教コースを頂戴したのだった。うわん!


「ヘルの説教は感情的にならないから怖いのじゃ」

「……確かに」

「何か?」


「「サー、何でもありません! サー」」

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