私達の仲間は人形程度に負けませんから
エレオノと合流したアリシアは過去に一度、完全に敗北した相手カーチスカと向かい合う。
「あら? 貴女も来たのね。良いのかしら? 私の人形は貴女達程度で押さえられるとは思わないけど?」
明らかな挑発の言葉に思わずエレオノが反論しようとする。だが、それを制してアリシアが先に言葉を紡ぐ。
「心配要りませんよ。私達の仲間は人形程度に負けませんから」
「ふーん。言うようになったじゃない? じゃあその言葉の通り楽しませて貰おうかしらっ!」
前回同様会話の最中に鞭を振るい攻撃に移るカーチスカ。それは前回と同じ速度で放たれ、あたかも相対している二人がこの短い期間で、どれ程の成長を遂げているのかを確かめるような一撃だった。
振るわれる鞭を剣技【真空斬り】で弾くエレオノは、そのままの流れでカーチスカとの距離を詰める。
見え透いたカウンターアタックに再び鞭で迎撃しようとするが、カーチスカの左足の地面が突然へこみ足をとられてバランスを崩す。
それを為した人物アリシアは、エレオノが鞭をスキルで迎撃するのに合せ、カーチスカと距離を取り同時に土魔法で足元を崩す事でエレオノを援護すると、流れるような動作でファイアアローを放つ。
放たれた魔法はエレオノを追い抜きカーチスカに迫る。
だが、カーチスカは慌てる事もなくバックステップで距離を取り、後退しつつ迫るファイアアローを鞭で叩き落とす。そして、その動作は延長線上にいるエレオノをも狙う、防御と攻撃両方を兼ね備えた攻防一体の動きだ。
しかし、その攻撃が放たれる前に【真祖変化】を行っていたエレオノにその攻撃は届かない。
自身をすり抜けていく鞭の感触を味わいながら、エレオノは剣技【電光石火】を使い、斬りかかる。
エレオノの攻撃を鞭の柄で真上から叩くように打ち落とし、その僅かな反動を使い手首を返し、更に鞭の柄でエレオノの顎を狙い追撃をかける。
ジッ! と言う、何かが擦れるような音を聞き僅かな痛みを感じながら、顎を逸らし攻撃を避けそのまま仰向けに背中から倒れる。
そして、エレオノが避けると同時にその後ろから、カーチスカの事を狙うストーンブレットがカーチスカの瞳に映る。
エレオノがブラインドになっていた為、その攻撃を察知するのが遅れたカーチスカは【結界】を張り防ごうとする。
だが、アリシアの放つストーンブレットは、カーチスカの想定したよりも数段威力が高く、その攻撃は容易く【結界】を突き破りカーチスカへと向かう。
それに対しカーチスカはその僅かに出来た時間を使い、魔力で腕を覆いながら腕をクロスさせガードの姿勢を取る。
その瞬間、仰向けに倒れるエレオノが足を振り上げ、カーチスカのガードを下から蹴り上げる事でガードを崩すと、自身はもう一方の足で蹴りが当たると同時に地面を蹴り、バク転の要領で体勢を整えながら距離を取った。
「へぇ」
ガードを崩されたカーチスカはその顔に笑みを張り付け嗤う。
瞬間、カーチスカの体から魔力が衝撃波となって溢れ、まだ空中に居たエレオノと自身に向かうストーンブレットを吹き飛ばす。
「あぅっ!」
吹き飛ばされたエレオノは空中で体勢を崩され地面に転がり、そんなエレオノにカーチスカは更に魔法で追撃を掛ける。
だが、カーチスカはいきなり何かを避けるようにその場を離れた。
瞬間、カーチスカが一瞬前まで居た所へ大量の魔力で出来た矢が突き刺さり、大量の矢が突き刺さった地面が爆発を引き起こした。
弓技【流星雨】。魔力の矢を分裂させ、一定範囲に魔力の矢を降り注がせ、その矢全てを爆発させるアリシアが新しく会得した技だった。
「ごめん! ありがとうアリシア! そっちは平気?」
「問題ありません! エレオノこそ怪我は大丈夫ですか?」
「無いよ! 私も大丈夫まだまだ行けるよ!」
お互いに状況を確かめながらもカーチスカへの警戒を怠らない二人。そんな様子を爆発の起こった土煙の向こう側から、楽しそうに眺めるカーチスカ。
「ふふっ、アッハハハハ! 良いわ! 良いわよ貴女達! 貴女達ならいい素材になりそう! なるべく傷を付けずに殺して、私の新しい人形として可愛がってあげるわ! 特にそっちのエルフは親和性が高そうだから、弄りがいがありそうだしね! アッハハハハ!!」
カーチスカは今まで押さえ付けて居たのか、比較にならないほどの魔力を放出しながら狂喜に染まったように嗤う。
アリシアとエレオノの戦いはここからが本番だった。
読んで下さった方ありがとうございます
因みに三人称と一人称ってどっちの方がよみやすいですかね?




