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最弱♀ミニゴブリンに転生、寿命30日から始まる神の箱庭~吸収能力と進化で最弱からの成り上がり~  作者: リーズン
エルマン渓谷攻防戦

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「本当……最悪の展開だわ……」

(刻炎のジャックと暁の乙女メル……ね。確か黒龍連合はアリスベル最大の集りだったっけ? 10年位前に黒龍を討伐する為に集まったクランで立ち上げたとかなんとか聞いた気が? それと、ヴァルキリーズは確か連合としては中規模位だったけど、その構成員が全て女性で構成されてるんだったよね。どっちも私とは関係ないけど)


「クランすら組んでない下っ端に何の用? って、聞くまでもなく私の監視か」

「監視って、どういう事ですか白亜先輩!?」

「オイオイ! 勘違いしないでくれよ。どちらかと言えば、お前さんがあそこに飛び込んで行かないように、注意してやろうと思っただけだぜ」

「良いの? ギルドから私の監視命じられてんでしょ? 監視対象に接触なんて文句言われんじゃない」

「まっ、誤魔化すのは無理そうね。例え探り入れてるだけだとしても、この子確信してるもの。そうでしょ?」

「まあね」


 そもそもハクアはギルドが警戒する力を持ちすぎていた。十商とのパイプに王族とのパイプ。そして今回はアレクトラ。

 これだけ多くの権力者に関われば、ギルドとしては警戒するのが当然。

 しかもその人物がモンスターなら当然こうなるとハクアは考えていた。


「……はぁ、まあそう言うこった。とはいえ俺達はお前さんの事自体は疑っちゃいねーよ」

「そうなの?」

「ええ、例えモンスターだとしても転生者なら大丈夫でしょ。元々人間だって一枚岩じゃないんですもの」

「だな。とはいえ一応聞いておくが、お前さん等は人間の敵か? それとも味方か?」

「どっちでもない。強いて言えば、今この場ではアレクトラの味方だ」

「正直だな嬢ちゃんは……嘘でもこの場では人間の味方って言うべきじゃねぇのか?」

「嘘をつけば分かるでしょ?」

「ふふっ、そうね。本当に面白い子だわ。どう? 貴女達全員私のクランに入らない?」

「「「えっ?」」」


(おっと、予想外)


「オイオイ! 勝手に勧誘始めるなよ! どうだお前さん等黒龍連合もしくは刻炎に入る気はねぇか?」

「目的は勧誘?」

「ああ、その通りだ。じゃなきゃ誰があんな陰険の依頼受けるかよ」

「そうね。私達の団員をいやらしく見てくるあんなのとは、出来れば係わりたくないもの」

「……チッ。あのハゲか」

「「そうだ(そうよ)」」


(あのハゲ、今度残りも完全に抜いてやる)


「しかし、何で私達なの? もっと活躍してるのは居るでしょ?」

「貴女……本気?」

「???」

「少し調べりゃコルクルの件に、嬢ちゃんが係わってるのはすぐ分かる。あの都市でコルクルのやっていた事を知らない奴は居ないからな。それだけで嬢ちゃんの事は信用できる」

「それに今回の件で、十商と女王に繋がりを得た貴女はあの都市では私達以上の人物なのよ」


(ハクア様、彼等は恐らく私の事も知っています。だからこそアリスベル内での発言力を高める為に、近付いてきたと言うのもあるんでしょう。単純に貴女を引き入れたいのもあるのでしょうが、今やハクア様はギルドよりも発言力がありますからね)

(ふむ、メンドクせ~)


「私はクランにも連合にも入る気無いよ」

「良いのか? 俺が言うのも何だが、恩恵はどっちに入っても色々あるぞ? それに嬢ちゃんがモンスターでも、俺達に手を出そうとする奴はそうそう居ないからな」

「だとしても、一時的にだったらまだしも、永続的に人の下に居るのはしょうに合わない」

「なるほど、じゃあダメだな。まあ、元から勧誘出来るとは思ってなかったがな」

「そうね。もし同じ仕事をする時はよろしくね」

「こちらこそ。と、そろそろ終わりそうかな?」

「だな。嬢ちゃんはどう見る?」

「最悪のパターンはギルド長が拐われる事かな?」

「どういう事ですかご主人様?」

「そうだよハクア。何で拐われるなの? 殺されるとかじゃないの?」

「そうだな。これが個人間のいさかいなら、人を拐ったら世話や移動が面倒だから邪魔になるけど、あの規模の団体ならその面倒が少ないからね。更に殺すだけならわざわざ追い掛ける必要は無いけど、拐われたら追い掛けて助けに行かなきゃいけなくなる。だってそうしなきゃアリスベルのギルドを敵に回すし、最悪それだけなら良いけど、この世界の全部のギルドを敵に回す可能性もあるからね」

「う~む。確かにそうじゃな」

「しかも、ちゃんと人質としての効果もあるからね。そこまでいけば本当に厄介だよ。ハゲなら確実に見捨てられるのに」


(うん。あのハゲなら見捨てる。だからあれ持ってってくれないかなー?)


「確かにその通りだな」

「そうね」

「先輩、だったらやっぱり助けに行くべきなんじゃ?」

「駄目だよ。さっきから話しながら見てるけど、相手の方が一枚上手だ。フープの鎧を着込んでる奴も居れば、私達と同じような恰好してる奴も居る。お陰でこの暗い中敵味方の区別がついてない。なんせ敵を囲んで倒そうとしてる中にも敵が紛れ込んでるんだからね。気を引いて引き付ける役と、奇襲役の二種類をこの暗闇、乱戦の中じゃ皆分かんないよ」

「じゃあどうすれば」

「待機、それ以外は無理。むしろ今は動かず相手が引いた後に、素早く動けるようにするべきだよ。どうせそろそろ引く頃だしね」

「ほう、流石だな嬢ちゃん」

「そうね。本当に低ランクなの?」

「下っ端です」


 ハクア達がそんな話をしていると、次第にハクアの言った通り戦闘の音が少なくなり相手が引いていく。

 戦場になった陣はものの数分で予見したようにハクアが言った通りになった。


 すると、ジャックとメルそれぞれに誰かが駆け寄り、耳打ちをして去っていく。


「ハクアちゃん、残念ながら貴女の想像通りになったわ」

「ギルド長が拐われたの?」

「ええ、それと一緒に居た秘書の子も。私達以外の冒険者も壊滅的らしいわ」

「うわ、最悪」

「因みにもう一つ悪い報せだ」

「何? ギルド長の代わりの副ギルド長使えないの? 有能そうに見えたけど」

「残念ながら指示を出すのは副ギルド長じゃない」

「はっ? ギルド長の次に権力あるんでしょ?」


(だってたがら副ギルド長なんだし?)


「いや、あのギルドでギルド長の次に発言力があるのはゲイルだ。そしてそのゲイルからの指示でこのまま直ぐに敵を追えだとよ」


 その言葉を聞いたハクアは膝から力が抜け、絶望にうちひしがれた。


「本当……最悪の展開だわ……」

「「全くだ(全くよ)」」

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