表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

399/414

第398話 男らの魔の手に堕ちたスティーリア

 俺達が急いでスティーリアを追うが、何処に行ってしまったのか分からなかった。診療所で少しだけ、時間を取られてしまい、その間にどこかに消えた。


「どうかなあ……」


「教会に潜入したようだからな、狙われる可能性はあるだろう」


「まさか、さらわれたりとか?」


「それは分からんが……」


「じゃあ、アデルナが隠れそうな所……」


「「ギルド」」


 二人の声が揃った。もしかするとアデルナは依頼人に扮して、ギルドに潜り込んでいるかもしれない。そう思った俺達は、急いで冒険者ギルドに向かう。ギルドは、相変わらず混みあっていた。もちろん俺達は冒険者に扮しているので、ギルドに居ても自然だ。


「あ、いた」


 変装しているアデルナと、ルイプイとジェーバが居た。丁度、冒険者となにかの話をしている。アデルナの視界に入る場所に立つと、俺を見つけたアデルナが席を立ち、すーっと俺のそばにたって掲示板を見るふりをした。俺がアデルナだけに聞こえるように、顔を向けないで言う。


「スティーリアが来てないようだ」


「教会に行くと言っておりました」


「そうか……戻ってないか」


「なんと……。麻薬を、教会に入れている裏組織の場所です」


 すっとアデルナが差し出して来た手紙を、俺が見えないようにとる。アデルナの手が震えていた。


「大丈夫。私達に任せて」


「……無事であることを……」


「あとは、気にしないで。三人も気を付けて、ここなら安全だけど人の多いうちに、宿に帰りなさい」


「はい……」


 アデルナの下を離れ、手紙をアンナにも見せた。ギルドを出て走りながら、身体強化をかける。


「無茶させすぎちゃった」


「だが、手がかりを見つけた。お手柄だ」


「もう来ててもおかしくないもんね」


「聖女には言いたくないが……良い女だからな。目を付けられたかもしれん」


 俺の足が早まる。


「冷静にな」


「はは……どうかな……」


 無言で麻薬の売買が行われているという、商人の屋敷へと急ぐ。


「あそこだ」


「閉まってる」


「昼間なのにね」


「人通りが多い。裏に回ろう」


 アンナの指示で裏に回ると、裏口に馬車が止まっていた。三人の男が、裏口の前で立ち話をしており、俺達は離れた所から様子を見る。扉側に立っている男が、馬車の男に袋を渡した。受け取った男二人が、馬車に乗り込んで去っていくと、裏木戸を開けて男が入っていった。


「いこう」


「ここだろうか?」


「わかんない。でも、アデルナの手がかりはここ」


「よし」


 俺とアンナが、急いで裏戸のところに行く。


 スン……。俺は鼻で深く息を吸った。


「スティーリア……」


「匂いでわかるのか?」


「えっ? ソフィアも、仲間の十三人も嗅ぎ分けられるけど?」


 アンナがびっくりしている。


「わたしもか?」


「そっ!」


「す、凄い。スキルか? 魔法か?」


「いや。ただ、記憶してるだけ」


「そうか……それで?」


「馬車の方だ。急ごう」


「なら任せておけ。魔獣の追跡と同じだ」


「うん」


 アンナが迷わずに走り、俺が後を追う。路地に入り広い道を横切り、また路地に入っていく。


「走ってったのは、こっちじゃないよ」


「先回りだ」


 アンナの後ろをついて行って少しすると、俺にもすぐに答えが分かった。


「教会じゃん……」


「そのようだ」


 馬車は教会の中に入って行ったようで、俺達は教会を迂回して裏木戸に回る。


「扉の先に人は?」


「気配はない」


 アンナが剣を出して、裏木戸の隙間に振り下ろした。


 キン!


 裏木戸を押すと、スッと奥に開く。そして俺達は茂みに隠れ、中の様子を探る。


「どこだ……」


「まだ、無事なはず」


 すると二階の廊下を、男に囲まれて歩いて行くスティーリアが見えた。


「まだ変装は解かれてない。魔道具を取られたらまずい」


「いこう」


 一気に走り、教会の壁際にへばりつく。アンナが俺を抱きかかえて、二階の窓まで飛び枠に捉まった。俺がそのままよじ登り、小さな窓枠に体を滑り込ませる。


 良かった……尻が通った。


 アンナが、猫のようにするりと飛び込んで来た。その時だった。


「きゃああああああ!」


 スティーリアの叫び声。俺はいてもたってもいれずに、一気に奥の部屋まで走り込んでドアを開ける。


 ガン!


「な。なんだ!」


 男達がこちらを振り返った。


 俺の視界は男達には無く、ベッドの前で押さえつけられて、服の前を破かれたスティーリアが見えた。スティーリアは震えながら、涙を溜めながらこちらを見ている。


「お、おまえら! 一体なんだ! 何処から入って来た!」


「うるせえよ。その汚ねえ手で、その子に触んじゃねえよ……」


 つい素がでてしまう。すると男らが顔を見合わせて、大笑いする。


「なんだなんだ。その口の利き方は。場末のワルガキじゃあるめえし」

 

 俺はすぐに、アンナに目配せをする。


「ライトニング」


 パッ! パッ! パシィィィィ!


 室内が光り輝き、押さえつけている男が叫ぶ。


「な、なんだ!」


 次に周りに立っていた男達が、頭のてっぺんから煙を上げて一斉に倒れた。


 ドサドサドサドサドサ!


「な!」


「あのお方が、離せと言っている」


 ドスっ!


 叫んでいる男の口から、アンナの剣が飛び出して来た。そのまま絶命した男を掴み、スティーリアから引きはがす。俺は一目散にスティーリアに駆け寄り、アラクネのローブを着せた。


「い、行けません聖女様。これは聖女様の御身を守るための」


「スティーリア! こんなときまで気を使わない!」


「で、ですが」


「それよりほら。涙を拭いて」


 ハンカチで、スティーリアの目元を拭いてやった。


「すみません。あとを付けられておりました。不覚でした」


「いやいや、無事でよかった。なんか、された?」


「いえ。服の上から胸を触られたくらいです」


「サンダーボルト」


 寝転がっている奴らを、全ての肉が沸騰するくらいに感電させた。


「行こうか」


「はい」


 俺達は誰かが来る前に、来た道を辿って裏木戸から外に出た。路地に回り込み、すぐ姿をくらませて、見えて来た中級の宿屋に飛び込む。フロントまで、つかつかと歩いて行って女の子に聞く。


「空いてる?」


「あ、は、はい」


 なぜか、フロントの女の子が怖がっている。すると、アンナが言う。


「顔……」


 どうやら俺は、まだ怒った顔をしていたらしい。それは申し訳なかった。フロントの女の子に謝る。


「ごめんねー。別に、怒ったりしてないよー」


「ほっ。よかったです」


「前金で払うね」


「ありがとうございます」


 俺は料金を払い、女の子にこっそり一枚の金貨を握らせる。


「こ、これは……」


 俺は声を小さくして、こっそりと耳元で囁く。女の子の良い匂いに、キスしそうになるのを堪えて。


「怖い思いをさせたから、お詫び」


「こんなに、いただけません」


「いや。誰にも言わなきゃいいから。いい? 誰にも言っちゃダメだよ。じゃないと取り上げられるよ」


「……はい。ありがとうございます」


 俺達は鍵をもらって、女の子に部屋まで案内された。俺達が宿泊している、最下層の宿屋とは違って、サービスが良いらしい。


「では。ごゆっくりお過ごしくださいませ」


「ふふ。お休みの日に、こっそり美味しいものでも食べてね!」


「はい!」


 女の子がいなくなり、俺達はすぐさまその部屋に入った。


 とたんに、スティーリアに抱き着く。


「スティーリア―! ゴメンねぇ! 怖い思いさせたねえ!」


「私のミスです」


「ううん。ちがうよぉ! 私が無理させたから! どこ、触られたの?」


「胸を、ちょっと」


「許せん! アイツらちゃんと焼いといたから」


「は……はい……」


 とりあえずは、スティーリアを椅子に座らせて落ち着かせた。そこでアンナが言う。


「痕跡を残してしまったな」


「まあ、いずれはこうなる予定だから」


「たしかにな」


「だけど……ついカッとして、ライトニングを使ってしまった」


「S級パーティーの魔導士でもそういないからな、怪しまれるかもしれんな」


「だけど、ここで慌てて全員が動いたら、それも危ないよね?」


「そのとおりだ」


 すると、スティーリアが言う。


「あ、あの! どうして私がここにいると?」


「匂いで……いや、商会の裏手から馬車を追って来た」


「あそこです! あそこに、トカゲの入れ墨の人間がいました!」


「そうなの?」


 スティーリアが頷く。


「私は一度、あそこの商会の人間らに捕まったんです! その時に、確かに見ました」


「お手柄だ。スティーリア! 命がけで頑張ったね!」


「いえ。でも、聖女様に危険な橋を渡らせてしまいました」


「いやいや。それは私の仕事。スティーリア」


 俺がスティーリアの頭を、グッと引き寄せて抱きしめ頭をポンポンしてやる。


「聖女様……」


 スティーリアは頬を染めて、はにかんだ。破けた服から手を離して、ポロリと乳房を出してしまう。


 わあお! ラッキースケベ! やりい!


 そしてアンナが言う。


「スティーリアの服を仕入れて来る。二人は、ここに居てくれ」


「わ、わかった」


 うそ! こんな状態のスティーリアと二人? そ、それはいささか……。


 そうしてアンナが、颯爽と部屋の入り口から出て行ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ