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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第396話 娼館から人を攫う聖女

 食事を終えた俺達は、直ぐにその店を出る。外は薄暗くなってきており、俺達が活動する時間が近づいてきている。俺達が歩いてくと、シーファーレンのグループがベンチに座っていた。


 俺達をチラリと見て、スッと立ち上がりそこを立ち去っていく。


「座ろう」


「ああ」


 俺とアンナがベンチに座ると、ベンチの下に何かの瓶が置いてある。なにげにその瓶を持ち上げると、瓶の下に紙が挟んである。


 なになに?


 材料入手。眠り薬調合。自白します。とだけ書いてあった。


「材料を市場で買ったのかな?」


「そうだろうな」


 着々と準備が進んでいる。俺達はすぐさま、色街に向かって歩き出した。角を曲がると、ソフィアたちが街角から歩いて来る。そしてすれ違いざまに、ソフィアが言う。


「領主は白」


 俺ら二人は頷いて通り過ぎる。どうやら、ソフィアは領主邸に潜り込むことに成功したようだ。それによって、俺達の動きはだいぶ変わって来る。


「流石はソフィア」


「凄いものだ」


 俺達は真っ暗な路地裏に入り、出てきた時には俺はアラクネのローブで真っ黒。アンナは皮の鎧に黒いマントを羽織った姿になっていた。夜に動くなら、俺達の戦闘服はこれ。色街は人でごった返しており、俺達がフードを目深に被って奥へと進む。人がくれば暗がりの路地に入り込み、また先へと進んでいく。


「ここだ」


「裏に回ろう」


 俺達が見つけたのは、アデルナが調べ上げた。娼館、月の海月。裏手に回ると、すえた臭いが漂う。とても治安がいいとは言えない場所で、俺達は建物と建物の間に身を隠した。しばらく身を隠していると、ふっと月が雲に隠れた。


「行こう」


「ああ」


 俺は、裏口の扉に手をかけて開ける。中を見ても、薄暗い廊下があるだけ。物置になっているようで、使わないテーブルなどが重ねてあった。


「女の子は傷つけたくないよね」


「だな……」


 だが俺は、ふと懐に収めていた眠り薬の瓶を取る。


「これ……」


「使い方は分かるのか?」


「わかんない」


「……」


 しばらく二人で見つめ合って、俺はふと思いついた。


「屋根! 煙突からこれ、流して見ようよ」


「そいつは名案だ」


 俺達はスッと動いて、階段を探した。だがその時、奥から人が歩いて来る。


「御指名ありがとう。待ってたのよー!」


「うへへへ。そうかい! 俺も待ちくたびれたぜ」


「やだあ」


 そう言って男と女が抱き合い、二階へ上がっていく。俺達はすぐに階段から、二階へ向かって上がり、廊下を奥へと走り抜けた。だが目の前の扉が突然開いたので、俺達はすぐ近くの部屋に入る。


 だが、その中に女が一人いた。しかも、スケスケの衣装で。


 うほ! こいつはたまらん!


 と思っていたが、女はびっくりしていた。


「誰だい!」


 やっば。騒がれれば、人が集まって来る。だが、女を傷つけたくはない。そこで俺は瓶の蓋を開けて、一瞬女の前に振って蓋をした。


「いきなり入ってきて! 人を……」


 スッと倒れそうになったので、アンナがそっと支える。そのまますぐベッドに運び、そっと横たえた。スケスケの服から胸の先っぽと、薄い下着から、なんとも艶めかしいものが見えた。


 俺がじっと見ていると、アンナが言う。


「聖女。窓から出てよじ登ろう」


「あ、ああ……そうだねそうしよう」


「心配するな。女達はこれを生業にしている。男に無理やりさせられてるわけじゃない」


 うん知ってる。アンナが勘違いしつつも、俺にフォローを入れて来る。


「そうだね。仕事だもんね」


 そして、アンナが窓を開け、外に顔を出して俺においでおいでする。


「ここから登れそうだ」


「わかった」


 俺達は窓を出て、雨どいを伝い屋根に上っていく。うっかり俺が手を滑らせてしまい少しずり落ちた。俺の尻が、アンナの顔にどしりと乗ってしまう。


「ご、ごめん」


「かまうな。登れ」


「うん」


 屋根によじ登る時に、俺は尻を押されて登り切る。後ろからアンナが上がってきて、指をさす。


「あれだ」


 煙突があったので、俺達はそこに行って、シーファーレンのくれた眠り薬をふりまいてみる。


「ねるかな?」


「少し待ってみよう」


 しばらく待って、煙突に耳を付けてみると物音がしなくなっていた。


「聞こえない」


「行って見よう」

 

 俺とアンナは念のために、首の襟をグイっと上げて、顔を半分隠しマスクをした。来た時と同じようにするすると雨どいを降り、部屋に入ると女はまだ眠っていた。俺はおっぱいを触りたいのを我慢しつつ、するりと廊下に出てみる。


「静かだ……」


「流石は、賢者の薬」


「ヤバいくらいだよね」


「調べやすくなった」


「じゃ、いこっか」


 そして部屋に片っ端から入って行く事にした。最初の部屋を開けると、男が女に覆いかぶさるようにして眠りこけている。女も眠っていて、どうやら事を行おうとした際中だったらしい。


 だが……中身が男の俺は、それを見て……興奮してしまった。


 うわあ……気持ちいい事しようとしてたんだ。いいなあ……。


「ここは何もなさそうだ」


 ハッ!


「そ、そうだね! 行こう」


 それから次々に部屋に入るが、まだ服を着ている状態の者から、アフターの者まで様々だった。ただ、羨ましくて、俺は男がめちゃくちゃ憎たらしくなってきた。


 だがその時、アンナが言う。


「その男を見ろ」


「ん?」


 すると、裸の男の汚い尻に……。


「トカゲの入れ墨」


「足無し蜥蜴だ」


「どうやら、アデルナはここに出入りしてる事を掴んだんだな」


「そのようだ」


「ふう……、この汚いのを連れ出すの?」


「そのために入った」


「仕方ないか」


 俺とアンナは、そいつの手足を縛り上げて、窓を開け外に連れ出す。するりと路地裏に出て、二人で担いで先に進んだ。


「この辺は治安も悪いし、人が近寄らないみたいだね」


「だから、運びやすい」


「だけど、表通りには出れないよ」


 アンナがきょろきょろと見渡すと、そのさきに納屋が見えて来る。


「そこに行ってみよう」


「わかった」


 そこに馬がいて、俺達が来たら騒ぎ始めた。そこで俺は、シーファーレンの眠り薬を馬にかけてみる。


「ヒヒ……」


 ドサリ。


 寝てしまった。


「馬にも効くの!!」


「凄いものだな」


 そして、土の上に男を放り出す。そしてアンナが、パン!と頬をはたく。だけど、ピクリともしない。眠りは深くて、目覚めそうにも無かった。


「どうしよう……」


「わたしが背負っていく。フードをかけよう」


「わかった」


 裸の男にマントをかけて、アンナが背負い俺達は何食わぬ顔で納屋を出る。そしてそのまま、街を離れ川の音がする方に向かった。そこに小川が流れており、俺達は川のほとりで男を降ろす。


「水をかけてみよう」


「ああ」


 二人で水を汲んで、バシャバシャとかけていると、その冷たさにじわりと男が反応した。


「う、うう……」


「起きたようだ」


「あ、あれ……俺は……」


 まだ朦朧としているが、俺を見て言った。


「あれ……こ……んな……キレイな……女だったか」


 俺は娼婦のふりをした。


「あんた。酔っぱらって伸びちまったんだよ。だからこうして、川で解放してるのさ」


「な、なる……ほど。何か……体がだるくて動かねえ」


「まだ動かない方がいいねえ。きっと疲れてるんだよ」


「なるほど……」


「あんたら、良く来るけど、前はいなかったよね」


「おれ……たちゃ……ある……人についてきた」


「へー。この町で何してんだい?」


「あ? 知ら……ねえ。俺……たちは……言われたら……動くんだよ……」


「言われたら? だれに?」


「カシラ……だよ……えれえ人だ」


「そうなんだ。カシラどこい居るの?」


「あの……店……にも来る……あとは、いろいろ……動きまわって……」


「今日はどこに?」


「分から……ねえ……」


 それからしばらく尋問したが、男からは情報はとれなかった。だが、奴らがこの地で動き回っている事は確実だと分った。俺はアンナと目配せをして、男に薬をかける。また深い眠りに入り、俺達は裸の男をそのままに、そっとその場を離れた。安宿に戻る前に変身の魔道具を付けて、カウンターに行った。


「おかえり! 冒険はどうだった?」


 俺は、普通に答えた。


「小さな収穫があったよ」


「そいつはよかった!」


 そして俺とアンナは二人、自分達が泊まる部屋へと上がっていくのだった。


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