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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第380話 邪神の瘴気と聖なる食卓

朝になり、ソフィアが目覚める。そして、隣で見つめていた俺の顔を見てすぐにしがみついてきた。


「聖女様! やはりネメシスはまだどこかにおります!」


「そっか。そう言う夢を見たのかい?」


「はい。とても恐ろしかった」


「どんな感じ?」


 ソフィアの顔色は悪く、夢を思い出して震えているようだった。


「今までとは違います。どこかの人々が、どんどん変形していって……急がないと、どこかの国が……そして何かを準備しています。弱体化した邪神が、新たに力を得るために」


「どうやって力を得るんだろう?」


「わかりません。恐ろしい……私は恐ろしかったのです」


「他には?」


「早くしなけば、いずれ大陸中が破滅に向かいます」


「どんな風に?」


「はっきりは分かりません。ですが、人々が……たくさん死にます」


「人が死ぬ?」


「国の王、騎士、農民、市民、子供に至るまで生き残る者はいません」


 かなり深刻な夢だったらしい。しかも、今までのネメシスの攻撃とは明らかに質が違うように思える。そんな恐ろしい夢を見たソフィアを、グイっと引き寄せて抱きしめる。


「怖かったね」


「はい……」


 そしてソフィアがえづき始めた。


「気持ち悪いの?」


「はい」


 俺は急いで飛び起きて、桶を持ってくる。ソフィアの背中をさすりながら、落ち着くまでそうしていた。そこにミリィが入ってくる。


「物音がしましたので」


「ソフィアが具合悪いらしい。シーファーレンを呼んできて」


「はい」


 そしてすぐにシーファーレンを連れてきた。既にみんなが、ソフィアの予知夢の後のためにスタンバイしていたらしい。


「薬です」


 シーファーレンが小瓶を差し出し、それをソフィアが飲んだ。すると少しソフィアが落ち着いたようで、薄っすらと笑う。


「吐き気がおさまりました」


「めまいは?」


「します」


「血の気が引いたのでしょう」


「ありがとうございます」


 そのまま俺はソフィアを寝かせて、回復魔法と癒し魔法をかける。するとそこでシーファーレンが俺に言う。


「聖魔法もお願いします」


「わかった」


 聖魔法をかけると、たちまちソフィアの顔色がよくなって来る。


「ふう。ありがとうございます。楽になりました」


「よかった」


 するとシーファーレンが言う。


「邪神の瘴気が、ソフィア様に不浄の傷をもたらしていたようです」


「邪神の瘴気?」


「浸食しようとしたのでしょう」


「今は?」


「聖女様の聖魔法で除去されてます」


「そうなんだ」


「よろしいでしょうか?」


 俺とソフィアが、強い口調のシーファーレンを見る。すると彼女が言った。


「二人は離れてはなりません。恐らく邪神は、ソフィア様をまだ狙っているのでしょう。隙あらば、必ずソフィア様に災いをもたらそうとします」


「災い……」


「今のように。ですので、二人は一緒にいてください」


 やった! 完全な大義名分が来た。常にソフィアと居れるぞ!


「わかった! そうだね! そうしよう! ソフィア! 私がずっとそばに!」


「は、はい……」


 そして後ろに立っているアンナがいった。


「たぶん、わたしは二人を守らねばならないのだろう」


 初めて俺以外を守ると言った。


「そう?」


「なぜか、今そう思えた」


「聖女の剣が、私を?」


 ソフィアが不思議そうに言う。


「いや、なぜかそう思っただけだ」


「そうですか……」


 そんな話を静かにしていたら、次々に仲間達が部屋の前にやってきた。心配そうにドアの外からこちらを覗き込んでいる。そして俺はソフィアに言う。


「立てる?」


「もう大丈夫です」


「この話を、皆に聞かせてやろう」


「わかりました」


「みんな。入ってきて」


 スティーリアとアデルナを筆頭に、ぞろぞろと仲間達が俺達の周りを囲んだ。そこでソフィアが夢に見た内容を話す。するとそれぞれが、ブルッと身震いをし自分の体を抱くようなしぐさをする子もいた。


「怖いです」


 マロエが言う。


「そうだね。今回はソフィアに来たけど、ここの誰かにそれが及ぶかもしれない。だからこれからは、なるべく皆で行動したほうが良さそうだね」


「「「「「「「「はい!」」」」」」」」


 そしてアデルナが言う。


「離れていながらにして、忍び込めるのですね」


「そうみたいだ」


 また皆が身震いする。そしてソフィアが言った。


「多分私の感覚ですが、こうやって父や他の貴族を浸食していったような気がします。第三騎士団も、そうやって毒牙にかかったのではないでしょうか?」


「ありえる」


 そこでシーファーレンが言った。


「ですが、聖女様の側に忍び寄ったのはこれが初めての事です。恐らくは、ネメシスも相当の力を使ったと思われます」


「なぜ?」


「聖女様のおそばに潜り込むのは、並大抵ではないからです」


「なぜ、ソフィアに?」


「恐らくは警告、もしくはこちらをかく乱する為かもしれません」


「なるほど」


 そんな話をしている間に、日が登り太陽が部屋を明るく照らした。ミリィがサッとカーテンを開いて、うすら寒いこの状況を変えようとする。


「さ! みんな! 気を取り直して! 一日頑張るよ!」


「「「「「「はい」」」」」」


 俺達が身支度を整え始めた所に、メイドがやってきた。


「皆様、もうお目覚めになったのですね」


「そうだね」


 するとシーファーレンがメイドに言う。


「葡萄酒、ライ麦のパン、リンゴ、はちみつを用意してください」


「かしこまりました」


「では、聖女様。恐れ入りますが、一緒に台所へと来ていただけますか?」


「わかった」


「皆さんは食堂へ」


 そして俺とシーファーレンがキッチンへと向かう。メイドも一緒に入っていくと、朝食の準備をしていたメイド達が、俺に頭を下げて止まる。


「おはようございます」


「「「「「「おはようございます」」」」」」


 するとシーファーレンが一緒に来たメイドに促す。


「先ほどの食材を」


「はい!」

 

 そしてメイドが皆に良い、さっき言った食材をテーブルに並べた。そこでシーファーレンが俺に言う。


「恐れ入りますが聖女様。こちらに聖魔法を」


「はい」


 そして並べられた食材に聖魔法をかける。食材が光り輝いて、次第に元に戻る。


「では、みなさま。こちらの食材を料理に入れてくださいませんか?」


「「「「「はい!」」」」」」


「聖女様まいりましょう」


「あ、みなさんお邪魔しました」


 そして俺は廊下でシーファーレンに聞いた。


「あれはなに?」


「清めの食事をします。体の芯から清めて、邪を受け付けないようにしてまいりましょう」


「そうなんだね」


「はい。古の方法に従ってまいりましょう」


「わかった」


 そして俺達は食堂に行き、皆と一緒に食卓に座る。するとそのうち、さっきの食材を使った料理達が運び込まれてきた。そこで俺は、スティーリアにいう。


「祈りを」


「はい」


 スティーリアはしっかりと祈りを捧げ、皆がそれに従うように口に出して祈りを捧げる。それから食事を始めるのだった。


 一口食べてすぐにわかった。体の奥が温まるような、気味の悪さが吹き飛ぶような感じがしてくる。どうやら、さっきの清めの行為と食材は密接な関係があるらしい。


「おちつきました」


 ソフィアが言う。


「よかった。皆も全部食べて」


「「「「「「はい」」」」」」


 シーファーレンが物知りで本当に良かった。そうじゃないと、皆もこんなに落ち着かなかったと思う。


 だが……この事で、邪神が再び力をつけつつあることを理解したのだった。

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます。 やばい事になって来ましたね。 これからの活躍が楽しみです。
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