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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第369話 敵を縛るための施策

 完全に東スルデン神国の兵は引いたようだが、まだ国境沿いの警戒は続けていた。打って変わって沈黙している状況に、不気味さを感じてしまう。


 ルクセンが俺に聞いて来る。


「アルカナ共和国はどうなっているでしょうなあ?」


 だよね。


「やはりそこが気になりますね」


「下手をすればですが……」


「はい。東スルデン神国が裏切ったアルカナ共和国へ、矛先を変えた可能性がありますね」


「ですな」


 内政が不安定な状態で、東スルデン神国が攻め込んで来たら問題だ。


「フォルティス団長にも話してみましょう」


 俺とアンナとルクセンが、駐屯地の屯所へと急ぐ。騎士達の危機感も多少薄まっており、どうやら外で火を焚いて肉料理などをしているようだ。その脇を通り過ぎようとすると、騎士達が一斉に俺に敬礼をしてくる。


 うっざ。肉食ってろ。男は嫌い。


 そんな事を思いつつ屯所に行くと、フォルティスとレルベンゲルが話をしていた。


「失礼するのじゃ」


 ルクセンと俺達が入っていくと、二人が席を立って礼を取る。だが俺はすぐに言った。


「おかけください」


 テーブルを囲んで、俺とルクセンが席に座る。


「どうされましたかな? 聖女様」


「この沈黙は非常に気になります。状況から考えても、東スルデン神国はアルカナに向かったのではないでしょうか? 現在、アルカナ共和国は不安定な情勢なのです。そこに東スルデン神国から進軍されれば、かなり苦しい状況になります」


「しかし、それは隣国の話でありましてな。軍事介入する理由にはならんのです」


「分かっております。ですが、共闘した相手でもありますので、このまま知らん顔は出来ないかと」


「むろんそれは分かりますがな。アルカナに行くには、東スルデン神国かズーラント帝国を通らねばなりません。このような状況ですから、すぐさま戦争に突入してしまいます。正式に救援要請などをもらえれば話は変わりますがね」


 このヒストリア王国に向けられていた矛先を変えて、東スルデン神国とズーラント帝国が組んで、アルカナ共和国に行く可能性がある。そうなってしまえば終わりだ。


「密偵からはなんと?」


「まだ連絡はありません」


「そうですか」


「かといって、聖女様は行ってはなりませんぞ。それは流石に国王が許しません」


「そうですか」


 だとプーリャが死んじゃうかもしれない。


 どうしよう……知らなかったらそれで済んだ事なのに、今は可愛いプーリャを知ってしまった。放っておくなんて出来ない。


 うーん。


「ちょっと話し合いをしてきます」


「動かれる前に、必ず言ってくださいよ!」


 フォルティスが釘を刺してくる。


「まずは動きません。ご安心を」


 そして俺とアンナは屯所を出て、ルクセンとも別れる。


「ちょっと賢者と話してきます」


「わかったのじゃ」


 困った時のシーファーレン頼み。他国の事情を良く知っているので、何かアイデアがあるかもしれない。ヴィレスタン城に行くと、仲間達が集まって来た。ソフィアが心配そうに俺に言う。


「動かれるのですか?」


「動かないように、釘を刺された」


「あまり危険な真似は、おやめいただけますようお願いします」


「わかってるよソフィア。シーファーレンと皆を集めて」


 ああ…大好き。俺と結婚してほしい。


「はい」


 仲間達を会議室に集めて、早速アイデア出しをして見る事にする。俺が現状の問題点を列挙すると、早速シーファーレンが言って来た。


「情報操作をしましょう。そして圧力をかけるように王に話を」


「どういう事?」


「既に密偵がズーラント帝国にも東スルデン神国にも潜入しています。それらを使って、不正確な情報を流布する事を進言します。今回の事で腹に据えた我が国が、軍事進攻をすることを決定したような情報です。そうすれば、不用意に軍事力をアルカナに向ける事が出来ません」


「なるほどね」


 流石はシーファーレン。賢者の異名は伊達じゃない。そしてもう一つ圧力について聞いた。


「圧力はどうやって?」


「ヒストリアとアルカナの軍事同盟が、トリアングルム連合国に支持されているという情報です。ズーラント帝国や東スルデン神国が攻撃を行えば、多国間戦争に発展する可能性をちらつかせるのです」


「騙せるかな?」


「そこで聖女様の出番です。トリアングルム連合国に足を運び、小さな軍事行動をとるように依頼してください。ズーラント帝国との国境付近に僅かでもいいので、兵団を進軍させるのです」


「なるほど!」


 凄い。やっぱり最高の軍師だった。仲間達も自分達が全く思いつか居ない事を言うシーファーレンに、うんうんと頷くだけだった。それから俺達は話をまとめて、再びフォルティスの元に報告に行く。


 一通り話をして、フォルティスが感心している。そして一つ質問して来た。


「トリアングルム連合国は動いてくれますか?」


「トリアングルムを救った私の言う事はある程度。それにそれほど大した事はしてもらいません」


「なるほど。あとは、密偵を使って情報を撒けばいい訳ですね」


「直ぐに陛下の了承を取り付けて、トリアングルム連合国へ飛びます」


「いい考えです」


「ここからアルカナ共和国まで、東スルデン神国が兵を差し向けるとしたら何日かかるでしょう?」


「一週間ほどでしょうか?」


「では三日で全ての段取りをつけます」


「は! まさに神速ですな」


 ヒッポがいるからできる事だけどね。


「では」


 俺はまた、ヴィレスタン城に戻り、まずは仲間を聖女邸に連れていくことを告げる。


「ようやく我が家に帰れるよ! 一旦そこで体制を整えて、動く事にする」


「「「「「はい!」」」」」」


 するとウェステートが寂しそうに俺に聞いて来る。


「聖女様! 私も連れて行ってくださいまし!」


「えっと、それはお父さんの……」


 すると父親の、シベリオルのおっさんが出てきて言う。


「聖女様。私からもお願いいたします! 母親の弔いが出来た事の感謝もあり、この子もお役に立ちたいと申しております!」


 それを聞いたソフィアが苦笑いして言う。


「私のお父様とは大違いです。貴族としてとても素晴らしいお心がけ」


「は!」


「じゃあ、ウェステートも行こう」


「はい」


 俺は仲間達に加え、ウェステートも連れて王都へ戻る事を決めたのだった。

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ウェステートちゃんがとうとう聖女邸に!?やったー!
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