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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第350話 下着姿で娼婦の館

 俺の合図を見たミリィ(シーファーレン)は魔法の杖を突きだして、窓に向かって撃った。


 だがスッと走った光は、ワイバーンに易々と避けられ空中で大きな音をたてて爆発した。


 パン!


「ふはは! 何処を狙っている! 無駄な事を! 娘は連れてゆく!」


 だが唐突にワイバーンのバランスが崩れた。


「うおっ!」


 ドペルもバランスを崩して、そのままワイバーンの背の上からウェステートを抱いたまま落ちてしまった。俺も一緒に窓から飛び出し、体を真っすぐにして落ちていく。


 するとドペルとウェステートの下に、マグノリアが乗ったヒッポが現れ、背中にぶつかってバウンドした。その拍子にドペルがウェステートを離し、俺が代わりにウェステートを抱きしめて落下する。


「フライ!」


 間一髪でシーファーレンがやってきて、ウェステートと俺の落下をソフトにする。


 トスッ。と地面に寝そべり、俺はウェステートを見上げて言った。


「ウェステート。迎えに来たよ」


「ソフィア様!」


 ウェステートは俺をソフィアと勘違いして抱きしめて来る。もちろん見た目はソフィアなので、勘違いという訳でもないが。


 俺は起き上がりながら、周りを見渡して叫ぶ。


「ドペルは!」


「逃げました」


「くっ」


 そこに仲間達が下りて来た。


「ウェステートや!」


 見た目がスティーリア(ルクセン)がウェステートに飛びついて、ぎゅっと抱きしめ頬を寄せた。


「えっ…髭?」


 するとルクセンがするりと変身ペンダントを取る。


「お、おじいさま!」


 ウェステートがルクセンに抱きついた。とにかく良かった。


 するとそこに王女プーリャと弟のヴァイネン、騎士のヴェールユがやって来た。


「よかったです! 探し人ですか!」


「おかげで助かった!」


「素晴らしい腕前です」


 そして俺が言う。


「では捕らえられている近衛兵を解放しに行きましょう」


「危険では?」


「むしろ今が絶好の機会」


「わかりました」


 そこにドスンとワイバーンが落ちて来た。


「うお!」


 皆が剣を持って構える。だがワイバーンは何をするでもなく、明後日の方向を見ていた。そちらの方にはヒッポが居て、ヒッポの背中にはマグノリアが乗っていた。


「大型の魔獣を二体使役するのは、限界があります!」


「ワイバーンの使役は解いて良い!」


「はい!」


 するとワイバーンがゆっくりとこっちを向いた。


 俺が杖を構えるが、ワイバーンは俺達に攻撃を仕掛ける事無く飛び立った。


「えっ」


 バサバサと羽ばたいて、遠くへと行ってしまった。


「あの子の使役を解除しました。自然に帰ります!」


「わかった! 助かったよ!」


「いえ!」


「ウェステートを連れてロサのところに行って!」


「はい!」


 ヒッポが下りてウェステートを背中に乗せ、そのまま飛び立って行った。


 あっけに取られていたプーリャが言う。


「巨大な魔獣を使役しておられるのですか?」


「そうです。そして敵にもその力のある者がいるようです」


「さっきのワイバーン…」


「いまはその事よりも、近衛の救出を」


「はい!」


 そしてヴェールユが立ち上がって言う。


「こちらです!」


 俺達はヴェールユの後ろについて、王城の敷地を走っていく。だが敷地内には騎士達がうろついており、どうやら城内で起きた騒ぎに気が付いたらしい。


「迂回しましょう」


 場内を知り尽くしているプーリャとヴァイネンが走り出し、植込みの裏に隠れながら迂回していく。するとようやく兵舎が見えて来た。


「あそこに閉じ込められているはずです」


 俺はアンナと目配せをして言う。


「彼女が一気に走り抜けて、鍵を壊します。騎士様が行って近衛に接触してください」


「わかりました!」


 アンナが猛スピードで兵舎に走り込み、ドアにかけてある閂をはずした。ヴェールユがそのドアを開けて、中に向かって叫ぶ。


「私だ! ヴェールユだ!」


「団長?」


「そうだ」


 すると中から肌着を着た男が顔を出した。


「本当だ! みんな! 団長が来たぞ!」


 すると中から、肌着を着た男らがぞろぞろと現れた。


「すみません。剣と鎧を全て取り上げられました」


「丸腰か……」


 そこに俺達が現れ、ヴェールユに言う。


「一度体制を立て直した方がいい」


 無骨な無精ひげの男が言う。


「この娘らは?」


「姫と王子を救ってくださった。隣国の貴族様だ」


「娘っ子だけで?」


「はやく!」


 そして肌着のおっさんたちがぞろぞろと抜け出してくる。総勢三十名といったところだが、全員が肌着で汚い光景が広がっている。


 おえっ!


 大勢で進んで行けばもちろん目立つ。そこでとうとう敵に見つかってしまった。敵が叫ぶ。


「近衛が逃げたぞ!」


 そこで俺が叫んだ。


「走れ!」


 俺達は近衛を先にやり、王城の門へと走り出す。


「門を下ろせー!」


 こりゃやばい。


「脚力強化!」


 俺が肌着のおっさんらに身体強化を施した。すると脚力が数倍になり、物凄いスピードで走り出す。


「うお!」


 ヴァイネンはルクセンが担いで、プーリャはレルベンゲルが担いでいる。門の前には騎士が十人ほど待ちかまえていた。


「スプラッシュライトニング!」


 パリパリとはじけた稲妻が、そいつらの頭上で炸裂し皆が倒れ込んだ。倒れた騎士達の上を飛び越えて、肌着のおっさんらが門を抜けていく。そのまま全員が門を抜けた頃に、門が音をたてて閉まった。


 ズッズゥゥゥン!


 中から声が聞こえて来る。


「開けろ! 開けろー!」


 再びゆっくりと開いて行く門。だが身体強化を施したおっさんらの足は速く、直ぐに城下町に潜り込んでいく。


「どうするか…」


 そこで一人が言った。


「なじみの店がある! そこに逃げよう」


「わかった」


 俺達は裏町の方に導かれていく。ある店に着いた時、店の前で男が言った。


「すまん! 匿ってくれ!」


 すると店の男が言う。


「そんな、困るよ! 商売の邪魔になる!」


「奥の控えで良いんだ。たのむ!」


「そんな…」


 そこで俺が前に行き、懐から金貨を出した。


「これで少しの間たのむ」


「へ、こんなに?」


 そしてソフィアの顔で甘えたように言う。


「お願い」


「あ、う、うん。少しだぞ! 入れ」


 そして俺達はぞろぞろと店に入っていく。するとその店の奥には、なんともセクシーな女達が飯を食っていた。


 うほ! いい女!


 もちろん俺の心の声である。


「きゃあ!」


 女が騒ごうとしたが、店の男が言う。


「ちっと訳ありだとよ。商売の邪魔にならねえようにすっからよ」


「そんな肌着の男達を入れて何のつもりだい」


 この店に来ようと言った男を見て、ひとりの女が声をあげる。


「あら。あんた…また来てくれたのかい」


「そうだ。今度また来るからよ。今は目をつぶってくれねえか」


「そうかい? いい男だねえ。みんなぁ、この人達はそのうち客になる。だから今は先行投資と考えようじゃないかい」


「「「「「はーい」」」」」


 そして俺達はその店の奥の納屋に入る。


 ヴェールユが男に聞く。


「娼館じゃないか!」


「あ。利用したことがあるんです」


「姫もいるのだぞ!」


「す、すいません。でも他に逃げ場が」


「…だな。まずは目をつぶろう」


 俺達は占領された城を抜け出して、娼館に逃げ込んだのだった。

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