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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第五章 半百合冒険

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第336話 楽しい時間に水を差す

 盗賊の事はすぐにルクセンの耳に入れる。するとそれを聞きつけた第二騎士団長レルベンゲルが、俺の所に喜び勇んで来やがった。


「なんと! 盗賊が出ましたか! ならば討伐は我々に!」


「えっと、被害はなく逃げてしまいましたけど」


「何かをされたわけでは無い?」


「する前に逃げました」


「そうか…ならば、周辺の警備を強化するくらいしかできませんね」


「まあそれでも、貴族令嬢に何かあってからでは遅いですから」


「は!」


「貴族令嬢の集団の事が市中で噂になっているようで、それが原因になっている可能性がありますね」


「分かりました。では王都周辺の警護は、この第二騎士団にお任せください」


「よろしくお願いします」


 そしてレルベンゲルは出て行く。第二騎士団は第四騎士団と合流し、国内では一番大きな部隊となった。全ての騎士に仕事がないのかもしれず、仕事が出来た事を喜んでいるようにも見えた。


 その後は貴族令嬢達の話を聞き、理事達の報告を聞いてから夕食となった。今日はルクセンが一緒に食事をしたいと言い出したので、俺達は辺境伯邸の食堂で食事をとっていた。


「研修も折り返しですかな?」


「はい。かなり勉強になったみたいです」


「そうですか! それは良かったのじゃ! のう、ウェステート!」


「はい。とても」


「王都の方もだいぶ落ち着いて来たようですのう。騎士のネルから話は聞いておりますじゃ」


「ネル爺とはお知り合いで?」


「もちろんじゃ。若かりし頃は、王都の騎士学校でしのぎを削った仲じゃからのう」


 そうだったんだ。そう言われてみると、年齢的には同じような年齢だもんな。


「とにかく、娘さん達を無事に王都に返すようにと、陛下からもお達しが来ているからのう。みなさん研修中は怪我無くお過ごし下され」


「「「「「「「「「はーい」」」」」」」」」


 みんな素直で可愛いなあ。


 なんてほのぼのとしている時だった。スッとドアを開けて、ルクセンのところの従者が入って来た。ルクセンの耳に手を当てて、何かを囁いている。


 一瞬ルクセンの表情がピクリと動いた。だが直ぐに表情を戻し従者を下がらせる。


「お嬢様がた、ヴィレスタンの町はどうですかな?」


「市民がイキイキしているようです」

「活況で物があふれているようでした」

「食べ物がおいしいです!」


「そうかそうか! それはよかった!」


 それぞれに感想を述べている。それから少ししてルクセンが皆に言った。


「まずはごゆっくりして下され。年寄りはそろそろ休むとしようかのう」


 ルクセンはそそくさと出て行った。それを見ていた俺が隣のアンナにこっそり言う。


「…なんか…あったな?」


「そのようだ」


「なんだろ?」


「あの傑物が一瞬眉をひそめた。このような席にしては珍しい」


「だよね」


 令嬢達は楽しく歓談しているが、俺はこっそりソフィアに耳打ちをする。


「ソフィア。皆をお願いね、私は席を外すよ」


「はい」


 そして俺はアンナを連れて、ルクセンが何処に行ったのかを従者に聞いた。


「あの。お館様には黙っているようにと」


「連れて行きなさい。これは命令です」


「は、はい!」


 半ば強制的にルクセンの元に案内させた。やはり寝室などには行っておらず、ルクセンの執務室へと連れていかれる。


「失礼します。聖女様が起こしになりました」


「うむ。お通ししておくれ」


「はい」


 使用人がスッとドアを開けて俺達が中に入ると、さっきの使用人とルクセンが話をしていた。俺の顔を見てルクセンが開口一番。


「やはり聖女様は誤魔化せませんか」


「何かございましたか?」


「うむ。まだ未確定情報なのですがな、東スルデン神国とアルカナ共和国に、不穏な動きがあると密偵が伝えて来たようなのじゃ」


「不穏な動き?」


「軍隊の移動が確認されたようなのじゃ」


「軍隊がか…」


「この期に及んで、まだ何か企んでおるのじゃろうか?」


 ルクセンはそう言うが、俺とアンナには若干の心当たりがあった。それはネメシスを倒した時に、小さな何かがネメシスから飛び出して逃げたのである。期間から考えると、それが直接的な関係を持っているかは定かではないが、敵は邪神であり想像を超えてくる事は容易にある。


「まったく、こんな時に」


「どうじゃろう? 聖女様。研修を早めに切り上げて帰られてはいかがかのう? 王都の貴族令嬢が巻き込まれなぞしたら、申し訳が立たない」


 確かにその通りだった。まあ第二騎士団と第四騎士団、それとヴィレスタン辺境伯の兵が睨みを利かせているから、いきなり攻めては来ないだろうが、万が一間者なんかが入り込んだらまずい。それでなくても、王都の貴族令嬢の集団がここに来ている事が噂になっている。


「まさに今日、盗賊に襲われたばかりですからね」


「ふむ。それが隣国に伝わったりなぞしたら、誘拐騒ぎなどにもなりかねんのじゃ」


「おっしゃるとおり」


「まあ、まだこちらに挙兵するような動きを取ってはいないので、はっきりとは言えないが、万が一の為に研修を切り上げてもらうのがよかろう」


「まずは明日、理事会と話をして決めます」


「そうして下され」


「また動きが出たら教えて下さい」


「そうさせてもらうのじゃ」


 俺とアンナは執務室を出る。そこで俺は大きなため息をついた。


「はぁーーーーーーーー!」


「随分長い溜息だな」


「やっぱり完全に決着ついてなかったかなあ?」


「ネメシスとは限らんがな」


「せっかくの研修なのに、また中断?」


「まあ国家の情勢などすぐに変わる。まずは明日の朝一番で、理事会に話を通すしかないな」


「だね…」


 めちゃくちゃブルーになる。とりあえずそのまま、食堂に戻って令嬢達の元に戻った。俺は笑顔を浮かべて歓談に混ざる。そのまま食事会は終わり、俺が部屋に戻ろうとした時だった。


 ソフィアが心配そうに声をかけて来た。


「聖女様の顔色が優れませんが、どうなされました?」


 極力顔に出さないようにしてたのに、ソフィアには見抜かれていたようだ。俺はどうしようかを考えたが、意を決してソフィアに言う。


「一人で私の部屋に来て」


「わかりました」


 そして俺はソフィアを連れて、自分の部屋へと戻るのだった。

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