表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第四章 異世界聖戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

286/414

第285話 来訪者の情報を掴む

 俺達の計画を知ったメリーが、さっそく信用のおけるメイドに声をかけてくれた。もちろんいきなり計画の全容を話すわけにいかないが、メイド間の雑談レベルで王宮の情報が聞けた。それをゼリスの鼠が集めて来た情報とリンクさせ、城内の流れを大まかにつかむ。


 そのおかげで来賓の情報を知る。それはマルレーン家では無かったが、景気のいいトリアングルム連合国に、南方の国の王様が来るそうだ。ようは物資を必要としているヒストリア王国への輸出に、いっちょかみしたいという事らしい。


 メイド室は接待の準備に追われており、宮廷で料理をふるまう予定らしい。隣国の王室が来るという事で、第一王子のジュリアンだけではなく、第二王子のメルキンや第三王子のカイトも出席させられるという。


 何の事はない、第一王子は外交を通じて自分が次の王だと誇示したいのだろう。周りの国から固めて、その地位を万全なものにしたいに違いない。


 で、コイツは不機嫌になって、俺達の所に来て管を撒いているわけだ。


「全く! 景気が良くなれば顔色を変えて、突然すり寄る国なんかに良い顔しても仕方ないのに!」


 カイトだった。


 わざわざ俺達の所に来て、どっかりと椅子に腰かけてぶつくさ言っている。俺達はそれにかまわずに薬の調合をしていた。正確にはクラティナとシーファーレンとメリーがやっていて、俺達はやっているふりをしている。


 もちろん作業中なので、俺達はそれにかまう事は無く、従者がなにやら困った顔をしていた。


「王子! なにもこのような場所で!」


「いいのいいの! 彼女らは、凄いものを作っているんだから! そうだ! そう言えばメルキン兄が凄い薬だと褒めていたよ!」


 そう言われれば俺たちも無視するわけにいかない。みんながカイトの方を振り向いて、ぺこりと頭を下げる。


「すみません。なにぶん急だったものですから」


「まあ僕が外遊中だったからね、でも結果オーライさ。これでメルキン兄には恩を売る事が出来た。おかげさま様だよ」


「それでしたらよかったです。ですが在庫が無くなりました」


「仕方ないよ。まあメルキン兄に恩を売れたから問題なし」


「はい」


 そうして俺達はまたそれを無視するように仕事をし始める。だがまた、カイトが俺達に言う。


「あー、明日嫌だな。なんで僕まで」


 またその話。嫌ならバックレればいいじゃねえか。


「あの薬の事は重要機密だし、僕が売り込めるものは今の所なにもない」


 ようやくわかって来た。カイトは自分の地位を良くするために、俺達のあの傷薬に目を付けたようだ。王宮内で使用された事については良しとしているが、他国にバレるのはまずいらしい。


 すると唐突にシーファーレンが話し出す。


「それでは殿下、こちらのお香はいかがでしょうか?」


「お香?」


「とても良い香りのするお香で、会場のあちらこちらで焚けば、その香りに興味を示すやもしれません。ですが実はこのお香には効能がありまして、人の気持ちを高揚させる効果があるのです。宴が盛り上がる事、間違いなしかと」


「フーン…お香ねえ。そんなものもあるんだ」


「まあお役に立てられるか分かりませんが」


「まあ、一応やってみるか。様子を見てみよう」


「あともう一つ」


「何かあるのか?」


「これは大々的には申し上げられませんが、こちらの錠剤をご覧ください」


 そう言って薬の粒を目の前に出した。


「何の粒だ?」


「こちらは精力剤に御座います。私的な場で、こっそりお相手にお渡しになれば、相手方との交友関係を深める事が出来るかもしれません。もちろん王様にお渡しすると言う訳には参りませんが、その取り巻きに気に入ってもらうというのも、後々役に立つかもしれません」


「それは面白いな! やってみよう!」


 少し機嫌を取り直したらしい。その粒の入った袋を握りしめて言う。


「お香は準備しといてくれ。後でメイドに取りに来させる」


「はい」


 そう言い放って、意気揚々と部屋を出て行った。


 そこで俺がシーファーレンに言う。


「上手くいったね」


「やはり愚痴を言いに来ただけは無かったですわね」


「どうやら、私達を虎の子だと思っているのかも」


「手の内のひとつとして考えていますわね。きっと」


「だけど半分嘘だし」


「精力剤は本物です。お香は良い香りがしますが、実際の効果は違いますから」


「聖結界のような効果をもたらすんでしょ?」


「そうです」


「ネメシスを入れこまない事と、その眷属がいたらあぶり出すという事だよね」


「かなり嫌がるかと」


 流石賢者だ。あの傷薬を作っていると見せて、そんなものをせっせと作り込んでいたのだ。あのカイトのエロさを見抜いて、精力剤にめっちゃ反応するだろうと見込んでいたのだが、まんまと王子はそれに乗った。おかげで、聖結界のお香を城内のあちこちに置く事が出来る。


「だけどこれで、どさくさに紛れて入り込まれる事は無さそうだし、万が一南国の王家が連れた中に、ネメシスの関係者がいたら直ぐにわかるね」


「そう願います。ですが本当の権力者が嫌がればそれも難しいかと」


「大丈夫だよ。王様がそれだったとしても、力関係はトリアングルム連合国の方が上、物流の通過点として依頼するうえで物申す事なんで出来ないはず」


「はい。まあ念のため、ネメシスがその場をめちゃくちゃにしようという魂胆な場合は、全てをひっくり返すと思いますが」


「そうなったらそうなったで、どさくさに紛れてやれることはある」


「はい。なにせ聖女と聖女の剣が…」


「しっ、壁に耳あり」


「失礼いたしました」


「だけど、その通り。仕留められる機会があったらやってしまおう」


 そう言ってアンナを見ると、コクリと頷いた。


「だけど、そろそろマルレーン家も到着する可能性もあるし、各方面に気を巡らさないとね」


「最善を尽くしましょう」


 皆が頷く。俺達は陰で万全を尽くし、南国の使者を迎える準備をするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ