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ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~  作者: 緑豆空
第四章 異世界聖戦

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第277話 深夜のエロ来訪者

 とりあえずカイト王子ってやつが、非常にドライな奴だと分かった。警戒するべき相手なので、ぼろを出さないよう対応はシーファーレンか俺がする事にする。


 そして俺達は密かな話しあいの後、さっそく仕事に取り掛かる事にする。この世界の屋敷は、前世の住宅よりも気密性が悪くあちこちに隙間があった。その為、小さなネズミが入り込んでおり、ゼリスがテイマーの力で呼び寄せる。いま、ゼリスの目の前には、ネズミが整列をし静かに待っていた。


「まずは、情報を集める必要がある。この好条件を無駄にすることは出来ないからね。王城だけじゃなく、周囲にある屋敷にもネズミを潜ませておいた方が良いね」


「はい」


「あとは身代わりに出来るような人を探そう。魔道具で入れ替わって自由に王城を徘徊できるような人が良いね」


「わかりました」


 ゼリスの指示で、ネズミ達が一斉に部屋から出て行った。


 すると今度はクラティナが声をあげた。


「あの」


「ん?」


「万が一の為に、いろんな薬を作っていた方が良いと思います」


「いろんな薬?」


「明日の朝から準備するので、見てもらいたいです!」


 クラティナも何とか役に立ちたいと思っているらしい。いろんな薬というのが何を指すのか分からないが、とにかく自由にやらせてみる事にしよう。


「良いんじゃない?」


 それを聞いたシーファーレンが言う。


「あの倉庫を見て、薬師魂に火がついた?」


「はい! シーファーレン様! あれほどの材料を手にする事など初めてです!」


「手伝うわ」


「ありがとうございます」


 二人がとてもうれしそうにしている。


「随分嬉しそうだ」


「かりそめの住み込み薬師でございます。好き勝手やったところで、いずれ逃げ出す事を考えましたら、思う存分試したい事がございますわ」


 シーファーレンはしたたかだ。この状況を最大限に利用して、薬の研究に勤しむつもりだ。


「良いと思う」


「面白い事が出来そうですわ」


 そしてアンナが言う。


「念のため言っておくと、場内のあちこちに監視がいるぞ。恐らく我々を警戒しての事だと思うが、教会で向けられたような視線を感じる」


 皆がアンナを振り向いた。


「あの教会で追跡された?」


「そうだ。気配は近いものがある。恐らくは王城周辺を警戒している奴らも、同じ類の奴らだ」


「なるほど。カイト王子は手放しで私達を受け入れてはいないと言う事か」


 それを受けてシーファーレンが答える。


「それは承知の上。王城に入る身元の不確かな者に、全く監視がつかない事は考えられませんわ。むしろ身元不確かな者を入れたのは、カイト王子の独断だと思われます」


「彼の性格のおかげで潜り込めたという事か…」


「そうだと思います」


 するとネル爺が言う。


「わしは何をいたしましょうや」


「監視が周りに居るとなると、いざという時クラティナやマグノリア達が危険に晒される。なるべく固まっていた方が良いと思うから、ネルさんとリンクシルは常に薬の調合に助手としているべきかな。私とシーファーレンが動く時は、アンナが単独で護衛するしかない」


「わかりもうした」


 そんな話し合いをしている時だった。アンナが言う。


「誰か来る」


「えっ? こんな夜更けに?」


「やり過ごしましょう」


 俺達が息を潜めて、廊下に意識を集中していると、なんとその足音が俺の部屋の前で止まる。


 コンコン!


「「「「「「「!!」」」」」」」


 なに?


「はい」


 俺が返事をすると、廊下から声が聞こえて来る。


「あー。僕だけど」


 カイト!


「どうされました?」


「もしよかったら扉を開けても良いかな?」


 うそだろ! 嗅ぎつけられた?


 俺がシーファーレンを見るが、結界はきちんと張っていたという意味で首を振る。だが声が漏れたのだろうか?


「しょ、少々おまちください! どうされました?」


「いやあ…君の話をもっと聞いてみたいと思ってね」


「私のお話でございますか?」


「とにかく顔を見せて欲しい」


 俺は慌てて変装のペンダントをつける。皆に目配せをすると、アンナとリンクシルがベッドの下に潜りこみ、シーファーレンとクラティナがクローゼットに隠れる。ネル爺はサッとカーテンの後ろに隠れた。そして俺は、マグノリアとゼリスの手を握りここにいるように促す。


「いて」


 二人がコクリと頷いた。俺は急いでドアにいって開ける。


「どうされました?」


「ああ…あれ。一人じゃないんだ?」


 カイトは一人で来ていた。室内を見渡して、マグノリアとゼリスを見つけて言う。俺はそれを振り向いて言う。


「二人はまだ子供ですので、夜が怖いと申しております。私と一緒に寝たいと部屋に来たのです」


「…そうか…出来れば二人きりで話がしたかったけど」


「すみません。初めての場所で二人が怖がっております。それに夜に殿方が一人で女性の部屋に訪れるのは、この国の習わしか何かでしょうか?」


「いやそう言う訳じゃないんだ。まだ初日だからね、そりゃ慣れないよね。小さい子には怖いかあ」


「そうですね」


「分かった。ゴメンね、じゃあ夜も遅いし休んでくれ」


「そうさせていただきます」


「じゃあ、明日からもよろしくね!」


 なにが? 薬作りだよな? 薬作りの事だよな!


「は、はい」


 パタン。そうしてカイトが出て行った。俺が直ぐに鍵をかけると、みんながぞろぞろと出て来た。アンナなんかは、剣を抜いていたようだ。


「焦った」


 するとシーファーレンが怒りをあらわに言う。


「まったく! 夜更けに女性の部屋に来るなど失礼ですわ! あの王子は評判通りのようです」


「確か…女にだらしないだっけ」


「はい」


「何かあれば斬るところだった」


「アンナ。それは最終手段にしておこうか?」


「ああ」


 夜更けの来訪者に、俺達はまた違う危機感を覚えるのだった。

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