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【第13回ネット小説大賞・金賞】異世界に落ちて10年、高校時代のクラスメイト達が勇者召喚されました。  作者: ふぇありす
1章

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第33話:シテュリ婆さんと男爵婦人

本日はHJ大賞の締め切り日で、締め切り時の文字数が8万字必要なのですが今の投稿数ですと足りませんので今日はあと四話投稿します!19時台 21時台 23時台に投稿しますね!

あれから朝食を食べて三人で娼館へ向かう、空間収納アイテムボックスに入っている調理器具とかを置きに行く為だ。


「二人共、一応普段から俺が付いて行くけど。もし一人で行くのであればすぐ大通りに出れる道があるからそっちを使ってくれ、今は襲ってこないが無防備だと襲って来る馬鹿も多いだろう」


戻った後、少しだけ話し込んでて遅れてしまったので、速足で裏通りを歩く。どの時間も正直通りたくないがこの道の危険性を知らせる為にも、夜に比べ比較的に安全な時間に通っている。


とは言っても、朝まで飲んで酔いつぶれた男や、娼館遊びに耽った人、そいつらの財布を狙うスリや物乞いが沢山居る時間で治安は良く無いが、視線と目を張らせている間はこちらへ手を出す事はないが二人だけだったら襲われるだろう。


「それと……特に夜はこの道は通らない様に。夜鷹……俺達の知ってる言葉風だとパパ活とか街娼が正しいかな? そんな感じの人や、乱暴目的の男とか多いから気をつけてね。特に二人は可愛いからさ」


今ですら不躾な視線が多い、俺には街娼の視線が。二人には酔った男共の舐めるような視線が向く。


「わかったわ」


「ですね……」


身震いをした二人が、袖を握りながらついて来る、それ以外にも、道行く奴隷商人や娼館の店主がジロジロと見て来る。


「ささっと、抜けちゃおうね」


本当に仕方がないとはいえ、嫌気が差してくるのでさっさと通り抜ける事にする。


「おやぁ……ホウショウじゃないのぉ?」


普段ならここで聞くような声じゃない声が聞こえて足を止める、声のした方を向くと一人の老婆が立っていた。


「ん? シテュリばあさん?」


ひょこひょこと歩いて来るこの老婆は薬草屋……地球でいう所の調剤薬局である、普段は歓楽街の近くで薬草を生成した様々な薬を売っているのだが、こんな所に居るのは非常に珍しい。


「あぁ、紹介するね二人共。この人はシテュリ婆さん、薬草屋っていう仕事をしてる人、分かりやすく言うと薬師だね。かなり腕が良くて値段も安いから、この街に来た頃は大分お世話になったんだ」


「ふぉふぉふぉ、相変わらず世辞が上手いのぉ。」


わかりやすく魔女って感じに笑うシテュリ婆さん、怪しさ満点である……。


「よろしくお願いしまス、私はネモフィラと申しまス」


「私はミモザでス、よろしくお願いしまス、シテュリさン」


「ほうほう、よろしくのう。それにしてもホウショウ、お主にしてはかなり愛らしい二人を連れておるのぉ……やっと腰を据えることにしたんかぃ?」


シテュリ婆さんがニヤリと笑う。


「あーうん……そうだな、色々と縁があってね。俺には勿体ない二人だよ」


そう言うと、二人の握る手が強くなる。


「ふぉふぉふぉ、お主がそんな顔をするとはな……それにしてもどこに向かおうというんじゃ?」


「あー、最高級娼館アラビアンナイトだよ。大旦那に用事があるんだ」


そう言うと、シテュリ婆さんの目が細くなる。


「お前さん、流石に無いと思うが、嫁を売るほど金が無いのかぃ?」


「いや違うよ!? この二人がね大旦那に商才を認められてね。仕事前に送りに行ってるんだ」


「そうかい、金が無いんじゃ、もう少し頻繁に指名依頼を出さないといけないと思ったわい……」


「いやいや。俺、金等級に上がっちゃったから指名料なんてとんでもないよ?」


「そうなのかい? いつか大きくなると思っておったが、金等級とは恐れ入った……」


驚いた顔をしているが、どこか嬉しそうだ。


「そうさのう、金等級か……。丁度良いかもしれんなぁ……」


何かブツブツと言うシテュリ婆さん、しばらく考え事をしていた後顔を上げた。


「ホウショウ、お主に指名依頼を頼みたい。ちょいと難しい依頼でな、悩んでおったんじゃ」


「指名依頼ですか……どんなものですか?」


「それがのう、とある昔馴染みの男爵夫人に頼まれ事をしておってな。必要な材料が欲しいのだがちと市場では手に入らなくてな」


「そうなんですね。今、俺も長期の指名依頼を受けてまして……」


「そうか……どうしたもんか……」


悩むシテュリ婆さん、どうにか仕事受けたいけど……場所次第かなぁ?


「それって、どこにあるんですか?」


「ここから2日程の山じゃよ、魔物も少ないし中堅であれば散歩気分で行けるとこじゃ。だが劣化が異常に早いのと生薬でないと意味が無くてな、故に空間収納アイテムボックス持ちでないと難しい訳じゃよ」


「そうですか。でも二日となると、大体あそこか……」


詳細な地図を見ないとわからないけど……クラスメイト達の戦闘訓練には良さそうだな。


「とりあえず、詳細な場所と依頼を指名で出してください。依頼を受け取ってから少し考えてみます。期限はどのくらいですか?」


「おおよそひと月じゃな、依頼主次第じゃがもう少し待ってもらえるかもしれん」


「わかりました、依頼人って俺も知ってる人ですか?」


「本来は明かすのはあまり良くないだがな……。驚くなかれ、依頼人はエルヴィール男爵夫人じゃよ」


「マジですか……」


意外過ぎる人の繋がりに俺は驚きを隠せ無かった。


作者です!

今回は【シテュリ婆さん】の企画段階の説明(設定)を。※流石にヒロインじゃないよ。

主人公がこの街に来てすぐの時にお世話になった人、人間で歳は60歳超え。

師匠がエルフで、人間ながらエルフの薬が作れる珍しい人。

歓楽街の高級娼館は彼女の薬を卸している、主人公とは塩漬け依頼の消化の際に出会う、空間収納アイテムボックスが使える主人公は質のいい薬草を卸せるという事で気に入られてる。

一部、主人公の助言で薬草の栽培も行っているが今回の薬は新しい物なので薬草は栽培していなかった。

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― 新着の感想 ―
 男爵夫人、さて……何の薬? もしかして……
今更ですが、何故この二人は売られたんですか?他のクラスメイトも訓練が必要なレベルなのに、用無し?勝手に召喚しといて、言葉も通じないのに? 酷い国だと思うんですけど。友好的に話が進んでいるのがモヤモヤし…
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