【第十九話】「焚き火を囲う五人」
ルリアは既に焚き火を囲う五人のすぐ近くに仁王立ち。
その空間にいる全員が、急に現れたルリアの姿に目を丸くした。
大男が立ち上がって怒鳴る。
「おい、てめえ! なんで檻から出てやがる!! どういうつもりだ」
ルリアはそれを気に留めることなく、大きく息を吸った。
「あの!!」
「うるさい! 今すぐ戻れ」と早足で接近する大男。
お頭が口を挟む。
「何だ、言ってみろ」
「あの……、私をメンバーに入れてください!!」
唖然とする五人。
そして洞窟の外から静かに見守っているミヤとレイも同じ反応。
大男が先ほどとは打って変わって戸惑った様子で問いかける。
「お……お前自分で何言ってるのか分かってるのか?」
「私はあの屋敷に戻りたくありません。かといって、皆さんの収入を奪うのも申し訳なく思っています。……なので……なので私は、屋敷からあなたたちに支払われる報酬分をここで働きます! それじゃダメですか!?」
しんとなる。
即座に返答がないので、ルリアはさらに続ける。
「それで、お願いもあります。ミヤさんたちは解放してください。彼女たちは噂を言いふらすような人ではありません」
その後も沈黙が数秒続き、お頭が冷静に話し出す。
「お前、俺らがお前を引き渡すことで屋敷からどのくらい金をもらえるのか知ってるのか? 到底お前が何ヶ月か働いて稼げるような額じゃない」
「……」
「お前が魔法で生み出した高価なものを配って客を寄せる。そんな、この前のようなマジックのスタンスには、俺たちの中でも反対をする声もある。俺もそれとまったくの同じ意見だ」
「…………」
ルリアは俯いた。
「だが……、そういった高価なものじゃなく、お前がマジックの道具を魔法で作ってくれるというのなら話は別だ」
メンバーは一斉に驚きの反応を見せた。
「お頭、何言ってるんすか!」と大男。
「しかしこの組織は合議制だ。もし反対が多ければそれもやむなし。反対のやつはいるか!」
その問いにみな黙り込み、大男を含むメンバー全員は反論を出さなかった。
レヴェカはすっと立ち上がり。ルリアの前までゆっくりと近づいた。そして優しい表情で向き合う。
「あ、これじゃできないね?」とレヴェカ。
「え?」
レヴェカはルリアの両手首の紐をほどく。
そして右手を差し出した。
「マジック集団『ラチッタ』へようこそ」
***
一部始終を隠れて見ていたミヤは呟いた。
「ルリア……、あなたらしい決断ね」
ミヤの付近でガサッという草をかき分ける音がした。
(? タヌキかな?)




