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ビン子の料理♪

「ギャワン‼ワン!」

 引きはがされた子犬はタカトの手の中で大暴れしていた。

 少しでも油断すれば再びタカトに噛みつかんとするほどの勢いなのだ。

 それはまるで、恋のライバルにケンカを売るかのようwww

 そのため、タカトは子犬を地面に下すすわけにもいかず途方に暮れていた。

「どうしたらいいねん……こいつ……」

「ギャワン‼ワン!」

 だが、牙をむいて吠えようが、所詮は子犬www

 抱きかかえた両手をピンと伸ばして距離を取ってしまえば大した脅威ではない。

 だが、驚くべきはその重さ。

 ――第一の門に毒消し運んだ時のコイツ、こんなに大きかったっけ?

 以前見た時は両の手の平にのるほどの大きさだったような気がする。

 それがどうだ、今では、母犬よりちょっと小さいぐらいにまで成長しているのである。

 男子、三日会わざれば刮目して見よ!という言葉の通り、子犬の金玉は大きく成長していた。

 って、この子犬はオスなのかwwwそう!オスなのだwww

 しかも!この子犬、ただの犬ではない。

 魔物と犬との混血種、いわゆる半魔の犬なのだ。

 だが、半魔といって、ここまですぐさま成長するだろうか?

 その成長速度が少々早いような気がするのはきのせいなのだろうか。

 しかし、タカトには思い当たる節があった。

 というのも、あの時、第一の門に毒消し運んだ時にタカトが子犬にあたえた弁当。あれが原因のような気がするのだ。

 ――まさか……『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』を食べたせいなのか?

 そう、あの時の弁当! 何を隠そう!ビン子が作った創作アート料理『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』である。

 それは本来、ビン子が自らのオッパイを大きくするために悪魔召喚の呪文を封じ込めた食べ物であったのだが……残念ながら胸は全く大きくなることはなかった……それどころか……別のモノが体内で大きく育ってしまったのである。

 別のモノ……それはゴジラの天敵であるモスラ! しかも茶色いモスラである!

 そのため、タカトなどは『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』を食するたびに、トイレに駆け込むことが日常になっていたのだ。

 ケツから生まれてくる巨大なモスラ。

 トイレの中で繰り広げられる激しいバトル!

 まるでゴジラのようにタカトの口から発せられる「うぎゃぁぁぁぁぁぁあ!」という悲鳴!

 そして、下の口からは「クワァーッ!クワァーッ!」と、この世のものとは思えぬモスラの叫び声が家中に響き渡るのだ。

 しかも! 生まれてくるモスラの数!一匹や二匹ではない!

 体中の筋組織が茶色い芋虫として召喚されたのではないかと思えるぐらい大量に発生してくるのである。

 まさにもう……悪魔的な食べ物!

 それをこの子犬はペロリとたいらげたのだ……

 だからこそ、子犬にもそれ相応の反応があったはずなのだ……だが、タカトはそれを見届けたわけではなかった。

 というのも……犬がウ○コをしているところを観察したところで面白いものではない。

 それどころか、犬の飼い主と間違われでもしたら、ウ○コの後始末をしなければならないことにもなりかねないのだ。それはそれで面倒くさいし、ウ○コ臭い……

 だが……もしかしたら……

 半魔の体の中では人とは違う反応、すなわち、モスラ生成とは違う反応を起こした可能性も否定できないのである。

 あくまでも可能性であるが、その可能性が事実であるとするならば、 あの『思いでぽろぽろほろにがパイパイ』は……オッパイは大きくできないが、ウ○コと半魔の体は大きくできる効果を有していることになる……そう考えると……ビン子ちゃんの作った料理ってある意味すごくない?

 ――いや……まさか……まさかな……


 しかし、今はそんなことを真剣に考えている暇はなかった。

 そう、こうしている間にも母犬の容態は悪化しているのである。

「お前な! お母さんがどうなってもいいのかよ!」

 タカトはいまだに唸り声をあげている子犬に怒鳴った。

 だが、そうは言っても薬草の知識のないタカトにどうすることもできない……

 ――どうすればいいんだよ! 俺一人じゃ無理だよ!

「じいちゃぁぁぁぁぁぁあん! 助けてくれよ!」

 と、タカトは天に向かって大きな声を上げた。


「呼んだか?」

 すると何と言う事でしょうwwwwタカトのすぐそばの茂みから権蔵がひょっこりと顔を出したではありませんかwwww

 だが、その腕の中にはぐったりとしたビン子が抱きかかえられていた。


 とっさにタカトは

「ビン子!」子犬を投げ出すとビン子の元へと駆けつけた。

「おい! ビン子どうしたんだ! いったい何があった!」

 必死に肩を揺らす。

「うーん……むにゃむにゃ……あ……タカト……大丈夫だった?」

 すると、ビン子は手でまぶたをこすりながら寝ぼけた声を出したのである。

 って……お前……

「寝とっただけかーい!」

 タカトの強烈なツッコみ!

 それは、まるで先ほどまで心配していた姿を隠すかのよう。

 だが、そのツッコみにビン子はカチーん!

 権蔵の腕の中から飛び出すとタカトの目の前で腕を組みながら声を荒らげ始めたのだ。

「何よ! だいたいタカト! アンタが崖から落ちたからでしょうが! わざわざ爺ちゃんを呼びに行ってあげたのよ! 感謝しなさいよ!感謝!」

 まあ……確かにダンクロールを目の前にしてビン子にできることはない……

 権蔵に助けを求めるのは当然といえば当然なのだが……

 タカトは何か釈然としない。ということで、当然、反論しはじめた。

「そもそも!崖から落ちたのはお前じゃねぇか!」

 そう、最初に崖から落ちたのはビン子である。

 そのビン子を救い上げたがためにタカトが代わりに落ちたのだ。

 ということは、

 ――悪いのはビン子であって、俺じゃない!!

「なんで俺がキレられないといけないんだよ!」

 と、タカトは言うのだが……それが悪かった……

 時にして正論は相手の感情を逆なでする!

 特に!怒る女に対して正論は火に油、いやガソリンを注ぐようなものなのだw

 さらにヒートアップしたビン子の口からマシンガンで打ち出されるかのように小言が出てくる!

 もうね……ほんと、こういうときの女はすごい! マジですごい!

 言葉の弾幕がまったく途切れないのだ!

 ほんと、次から次へとよく言葉がでてくるものだと思う。

 そのため、タカトなどは反論する機会すら持てない様子なのだ……

 え? 分からない?

 分からない男性諸君は、まぁ、一度結婚してみwww

 実際に体験すればわかるよ……

 マジで言い返す気力がなくなるからwwww

 しかも、女の小言というものは、すぐにベクトルが変わるのである。

 今、発生している事象に怒っているのかと思えば、いつのまにか過去の出来事へとシフトしている。

 そんなものだからビン子の文句も、すでに関係ない方向に……

「だいたいタカトがいつもアイナちゃ~ん!アイナちゃ~ん!って言っていのが悪いんでしょよ!あんな巨乳しか取り柄のない女の何がイイのよ!」

 ――もうね……崖から落っこちたこととアイナちゃんは関係ないとおもうんですよ……

 だが、そんなことはビン子には関係ない!

 もう、頭に血が上ったビン子にとって、日ごろ溜まったうっ憤をただただ吐き出しているだけなのだwww

「巨乳なんてね!脳みそに行く血が全部!乳に流れていってるのよ! だからア・イ・ツらは馬鹿! 馬鹿なの! 分かる! 巨乳は馬鹿なの!」

 ――もう……それって……ビン子さんの個人的な妬みですよね……

「巨乳は人類の敵! いや!存在そのものが悪なの! 悪! 悪! 悪! 悪! 悪! 悪!  悪魔ぁあぁぁぁぁぁぁ! エロエロ~エッサイム! エロエロ~エッサイム! われは求め!訴えるなり! わが胸を大きくせよ! わが胸を巨乳にぃぃぃっぃいぃ!」

 ――なんか……聞いてるだけで疲れてきた……

 ということで、タカトはいまだに叫び続けているビン子を無視して権蔵に話しかけ始めた。

「なぁ、じいちゃん、ビン子に何があったんだ?」

 権蔵は傍らで叫ぶビン子をあきれた様子で見ながら、

「ああ、子犬に呼ばれて森に入ったらビン子が倒れておってな……って、まぁ、ここまで元気なら、もう大丈夫じゃろうがな……」


 そう、ビン子が権蔵に助けを求めて森の中に駆け戻った時……

 権蔵はというと、森の入り口でイライラとしていた。

 「あのドアホが! 一体どこまで行ったんじゃ。小一時間経っても帰ってきやせん。また、さぼっておるにちがいない! 本当に度し難い奴じゃ!」

 たかが野ネズミやウサギを狩るだけ。

 いや、最悪、食べられるモノなら芋虫だっていいのだ。

 所詮、ガンエンの元に持っていくもの。

 だったらなんでもいいのである。

 そんなものだから、1時間もあればなにか一匹ぐらいは捕まえられると思っていた。

 だからこそ、森の中にタカトとビン子だけで行かせたのである。

 しかし、森の奥には魔物がいる。

 この前の朝に食べたビン子の作った創作アート料理、その名も『電気ネズミのピカピカ中辛(ちゅうから)カレー』だって、この森の中でとれた魔物の電気ネズミが入っているのだ。

 確かに、電気ネズミは手のひら大の大きさ。脅威というほどのものではない。

 だが、小物の魔物であっても窮鼠猫を噛むというではないか。

 追い詰められた電気ネズミは「びかちゅぅぅうぅぅうぅ!」とでも叫びながら10万ボルトをまき散らすのである!

 ……もう、そうなったらジジイなんて瞬殺! 大変なことになってしまうのだ!

 あたり一面に飛び散る10万本のボルトという名のネジ!

 これをいったい誰が片づけるというのだ……

 え?ネジだったら拾って売れるじゃないかって?

 あのね……魔物が作ったネジなんて寸法がバラバラなのよ……だから、全く使えませんwww

 なら! 廃金属として売れるのでは?

 誰が金属っていったのよwwww材質は木や木の実、はたまた葉っぱなど。それらを単に円柱状にして溝を削っただけの代物。

 というか、木材だったら、放っておけば勝手に朽ちて自然に返るじゃね?

 君ね……忍者のマキビシ知ってる? あれと同じで地面に上に円柱状の細かい棒がいっぱい転がっていたら危ないじゃん! その上を走ったら当然転ぶじゃん! ジジイ、こけたら骨!折るじゃん! だから、10万ボルトは超危険なわけ!

 しかも! 森にいるのは電気ネズミだけではない。

 もしかしたら森の奥には中型の魔物立っているかもしれないのだ。

 だからこそ、権蔵は森には注意しろと言ってきた……

 それなのに、あの馬鹿どもときたら……どうやら、ずかずかと森の奥へと入っていったようなのだ……


 森の入り口でイライラする権蔵の足もとに子犬が一匹走り寄ってきた。

「ワン! ワン!」

 だが、よく見るとこの子犬、ただの犬ではなくて半魔のようである。

 ――なんで半魔の犬がこんなところにおるんじゃ?

 権蔵はいぶかしそうに足にまとわりつく子犬を見つめる。

 だが、先ほどから子犬は権蔵のズボンのすそをかじっては引っ張るのだ。それは、まるで森の中についてこいと催促しているようにも見たた。

 ――もしかしたらタカト達に何かあったのでは……

 権蔵の胸に何か嫌な予感がよぎった。

 すぐさま、口に咥えたタバコを地面に投げ捨てると足でゴシゴシと火を消す。

「分かった! 分かった! とにかく、案内せい!」

 と、荷物を背負うと森の奥へと足を向けた。


 それを見た子犬は急いで森の中に駆け込んだ。

 そして、数メートル走ったかと思うと、権蔵がついてきているかどうかを確かめるかのように後ろを振り向くのを繰り返す。

 


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