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悪口を言われた本人のとる行動は……次の①~③のどれ?

「タカト! 何とかしないと」

 ビン子もまた、あの時の犬たちであることに気づいたようだ。

 だが、何とかしたくても相手は巨大なイノシシ。

 この場にいるのが魔装騎兵なら、イノシシなど瞬殺モノである!

 だが……タカトは……少年同士の喧嘩にも勝てない……

 そんなタカトが下に降りたところで、どうにもならないというもの……

 ならないのだが……このままでいいわけもない。

 というのもイノシシの様子。今すぐにでも子犬にとびかかりそうな勢いなのである。

 ならば!

 と、タカトとビン子は、落ちていた石を拾い上げると崖下めがけて投げつけだした。


 ビュン! びゅん! ビュン!

 大小さまざまな石が飛んでいく。

 しかし! ノーコントロールの二人。

 懸命に石を投げるが一向にイノシシに当たらない。

 あれほど的がでかいにもかかわらずであるwwwwこの!役立たず!

 まぁ、石が当たったところでイノシシを倒せるとは思っていない。

 要はイノシシの殺気が犬からコッチに移れば儲けものなのだ。

 というのも! 二人がいるのは崖の上!

 それも、垂直以上に切り立った、いや、せり出した崖なのだ!

 いかにイノシシがこちらに狙いを定めようが崖の上には登ってこれない。

 飛べない豚はただの豚だ!

 そう! 奴は!ただの豚!

 なに?豚なのかイノシシなのかはっきりしろって?

 そんなのどっちでもいいんだよ!

 デブは豚!

 豚はイノシシ!

 だいたい奴の脂肪にまとわれた背中には羽なんてついていやしない!

 まして、あのぶっとい豚足では飛行機の操縦なんてできやしないのだ!

 ならば、崖の上は絶対的な安全地帯!

 いかに喧嘩の弱いタカトであっても負けはしないのだ!

 ますます調子に乗ったタカトはイノシシを挑発し始めた!


「この豚野郎! てめえの汚ねぇケツを掘ってやるぞ! こっちに来れるもんならこっちに来てみやがれってんだ!」

 だから……崖の上には来れないんだって……

 崖下から崖の上へはぐるりと回ってこないと辿り着けない。

 いかにイノシシが全速力で走ったとしても10分はかかることだろう。

 そのことをビン子も理解したようで、タカトの挑発に調子を合わせる。

「豚さん。こちらですよぉ~♪」


 だが、イノシシも馬鹿にされているのが分かったのだろうか。

 ぐるりと顔を背後に回すと崖上のタカトとビン子をにらみつけたのだ。

 ふがーーーーーー# # # # # #

 それは、まさに怒髪天をつく勢い。

 まぁ、イノシシの場合、どこからどこまでが髪の毛なのか分からない。

 そのため、全身の毛が逆立っていた。


 ――ひーーーー! あの豚! 怒っとる!

 当然、タカトはビビった。

 というのも二人に向けられる怒りは、魔装騎兵の闘気にも匹敵するほどの威圧感。

 あんなものと戦えと言われたら、秒で!速攻!お断り!

 というか、勝てる気がしない!

 だが! 今は負ける気もしないのだwwww

 ということで! 挑発続行wwww

「この豚野郎! 尻がでかくて登れないのか! お前の尻なんか小さい方じゃ!」

「こちらにおいで、手のなる方へ♪」

 ぱん! ぱん! パン!

 ビン子も面白そうに手を叩く!


 もう、面白くなってきたタカトの挑発は勢いを増した!

「この豚野郎! フガフガ言ってんじゃねぇぞ! コラ! うちの尻デカ女は、お前なんかよりも!もっと鼻息荒いぞ!」

 タカトは石を投げながら言葉をつづける!

「ぶた! 豚! 豚! お前の乳は小さいのに体だけはやけにデカい!いや!態度だけはメッチャでかいのぉ!」

 あくまでも!イノシシに向かって石を投げながら!

「飯がまずいんじゃ! 口が悪いんじゃ! 自分のベッドで寝やがれ! この豚ぁぁぁぁ!」

 何度も言うがイノシシに向かって石を投げながら……である……


 そして、ビン子も……

 って、なんだか白い目でタカトをにらみつけていた。

 じとーーーーーー……

 さっきまで、あれほど面白がって豚を挑発していたにもかかわらず、なにやら怪訝そうな目をタカトに向けているのだ。

「……ちょっと……タカト……豚の挑発にかこつけて、さっきから私のことディスってない?」


「へっ……(;'∀')」

 タカトの石を投げる手が止まった。

 ――もしかして、バレたか……?

 というのも、悪口をすぐさま発するという行為は意外と難しいのだ。

 作者を含め人の良い人間というのは 日ごろ、人をディスったことがない。

 だからこそ、悪口など簡単に思いつかないのである。

 ならばどうする。どうすればいい!

 簡単ではないかwwww

 日ごろのうっ憤!思いのたけをぶちまければいいのだ!

 クソ上司に対して思っていること!

「くそ上司! その命令!朝令暮改なんだよ! お前の脳みそは猿並みか!いや穴の空いたザルか!」 

 妻に対して感じている不満!

「ごにょごにょごにょ……(バレたらマジでマズイのでとてもここでは書けません(-_-;))」

 それを「学校に行こう」という番組内で行われた「未成年の主張」のように大きな声で叫べばいいのだ!

 ここは崖上! せり出た崖の先!

 屋上と同じように端に立て叫べば声は通る!

 ということで、この際だからタカトは日頃思っていることを思いっきり叫んでみたwwwww


 だが、やはり……悪口とはバレるものwwww

 それとなく……主語を省いて、暗に言ったつもりなのにもかかわらず……

 というのも、悪口を言われた本人は気づくものなのだ。

 感受性が鋭いとかそんなレベルではない。

 直観! 天のお告げ! 生存本能が自己を否定する天敵を感知する! まさにそんなレベルで、コイツ!今!私の事をディスっているわ!って気づくのだ。

 で、この後、悪口を言われた本人のとる行動は……


 ① 無視をする。

 日本人としてはよくある行動パターンwwww争いごとを避ける場合には、一番のおすすめである。


 ② なんでそんなことを言うの! と悪口を言うのをやめさせようとする。

 子を持つ親としては、まず、なぜ問題が起こっているのかということを当事者同士で話し合いさせたいものだ。それで解決するのであれば、互いにいい方向に向かって改善できたという事に他ならない。まぁ、仮に当事者間で解決できなかったとしても、まわりに助けを求めることができるということをかんがえれば、なかなかいい方法だとおもう。


 ③ とりあえず!一発殴っとく!

 一番、手っ取り早いわなwwww

 学校におけるいじめでも相手が反撃してこないとタカをくくっているからドンドンとエスカレートするのである。

 ならば一発どつく!

 悪口を言われた時点で、とにかくどつく!

 だが、中途半端にどついたぐらいでは「コイツ、何むきになってんのwww超ウケるwww」ってことになりかねないので、どつくときは「こいつ!マジでヤバい!」と思われるぐらいに命がけでどつく!


 ということで、ジャンプしたビン子はハリセンを振り上げた。

 それも思いっきり体を反らして上段に!

 そして! 渾身の力を込めて一直線に振り下ろすのだ!


 ビシドカンっ!


 ビシドカンっ?

 ビシっ!……じゃなくてビシドカンっ?

 そう……ビシがちょびっとで、あと!ドカンっwww


 タカトの頭に「ビシ」っとハリセンの先端が触れた瞬間!タカトの足元が激しく揺れた。

 それはまるで地震のよう。

「なに⁉」

 タカトは咄嗟に足を出し揺れる体を支える。

 もう、そこにはハリセンの衝撃にもだえてやる余裕などありはしなかった。


 そう、あの時……ビン子がバカにされて怒った時の事である。

 その場にはディスられて怒った奴がもう一人……いや、もう一匹いたのだ。

 崖下で子犬と対峙していた豚。いわゆるイノシシである。

 おそらく、タカト達に馬鹿にされたことを理解できるほどの知能があったのだろう。

 その知能をフル回転して一つの答えを導き出す。

 一発殴る!

 マジで殴る!

 どうやら、コイツもまたビン子同様に一発どつくという選択肢を選んだようなのだ。


 唐突に崖にむかって突進する巨体。

 その勢いのままに反り立つ壁へと突っ込んだ!

 ドカンっ!

 激しい衝撃が崖全体を襲う。

 しかも、そこはせり出した崖の壁

 逃げ場のない衝撃波は反復共鳴を伴って崖の根元へと集中する。


 次の瞬間! タカトの足元にひびが入った!

 ちょうどそこは突出した崖の根本。

 そんな場所にハリセンを振り下ろしたビン子の足が着地したのだ。

 その重み、その衝撃が悪かったというのだろうか……ヒビは大きな裂け目へと変わると割れた先端が崖下へと落ち始めたのである。

 それも、ビン子の体を伴って!

「え?」

 訳の分からないビン子!

 ハリセンでドツこうとビン子の視界はタカトの顔を確かにとらえていた。

 それが、突然、ぐるりと回り青空へと変わったのである。

 そんな視界の端に消えていくタカトの表情が驚いている!

「タカト!」

 ビン子はタカトへと咄嗟に右手を伸ばす。


 あおむけに落ちていくビン子の体。

「ビン子ぉぉぉぉお!」

 タカトもまた反射的に手を伸ばした。

 それは考えるよりも早く!本能的に!

 大切なものを守る!

 愛するものを守る!

 自分の身がどうなろうとも!

 そんなタカトはビン子をつかんだ手を思いっきり引っ張った。

 体をひねり、その反動を使って後方へとビン子の体を投げ飛ばす。

 そのかいあってか、ビン子は何とか崖のへりにしがみつくことができたのだ。

 ――よかった……ビン子が無事で……


 だが……

 タカトには崖にしがみつくビン子の姿が、まるでスローモーションのようにどんどんと離れていくのだ。

「あれ……?」

 ――もしかして、俺……落ちてるとか?

 もしかしてではない、実際に落ちているのだwwww

 そう、落ちそうになったビン子を引っ張り上げた際、代わりにタカトの体が崖下へと落っこちた。

 だが、今さらそのことを理解したとしても仕方ない。

 聖人世界にも重力というものが存在する。

 それは高い所から低い所に落ちていく自然の摂理。

 タカトがいかにそれを拒もうと、自然法則は変えられない!

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 悲鳴を上げるビン子……ではなくてタカト君wwww

 え?ビン子ちゃん?

 ビン子ちゃんは必死になって崖をよじ登っていたので、タカトの様子なんてわかりませんwwww


 ということで、地面に衝突! いらっしゃ~いwwww

 次の瞬間!タカトの体を激しい衝撃が襲った。

「いてぇ!」

 崖の高さはおよそ大人二人分。

 二階建ての高さぐらいである。

 そんな高さから落っこちたら骨折だってしかねない。

 だが、タカトは着地と同時に受け身を取った。

 落下の衝撃を回転で逃がす。

 こすりつけられる頭部や背中に激しい痛みが走っていく。

 だが、骨が折れるという最悪の事態は避けられた。

 そう!それは不格好ながらも、一応、前回り受け身。

 万命拳の修行と称して万命寺でしこたま練習した受け身のひとつである。

 おそらくガンエンに死ぬほどしごかれたせいなのだろう……おのずと受け身が取れるようになっていたのだ。

 タカト君! すごいじゃん!

 受け身が取れるようになってるじゃん!

 そのため、運よく「いてぇ!」だけで済んだのである!


 まぁ、そこまではよかった……よかったのだ……

 だが、尻もちをつくタカトの目の前には、イノシシが鼻息を荒くしながら、まるで「いらっしゃぁ~い♡」と言わんばかりに前足をこすっていた。

「コイツ、何むきになってんのwww超ウケるwww」

 タカトは顔を引きつらせて笑みを浮かべる。

 いや、もう、笑うしかなかったのだ。

 というのも、イノシシから逃げようとケツを後ろへと少しずつずらしていく。

 ずらしていくのだが、それはすぐに止まった。

 タカトの背中が崖の岩肌に当たったってそれ以上進めなくなっていたのである。

 万事休す!

 これ以上は行き止まり! 行き場がない!

 それを見たイノシシは「はい! 残念♡」と言わんばかりにタカトに突っ込んできた!


「おわぁっぁぁぁ……」

 慌てふためいたタカトはバタバタと四つん這いで逃げる。

 もう、みっともないとか言っている場合ではない!

 というか……腰が抜けて立ち上がることすらできなかったのだから仕方ないw


 イノシシの牙がそんなタカトタカトの袖をかすめて岩肌に突き刺さった。

 ふがーーーーーー# # # # # #

 天へと突き上げられるシシのあご。

 まるで豆腐でも切るかのようにタカトの背後の岩肌には一直線の深い溝がきざまれていた。


 さすがにこの状況、さっきまで調子に乗っていたいじめっ子が、思いもしなかった反撃を食らった時のようでもある。

「ひぇぇぇっ! こいつ!マジでヤバいって!」

 今のタカトにはイノシシを馬鹿にする余裕など全くない。

 まぁ、確かに……ベッツとの喧嘩にも勝てないタカトだ。イノシシに勝てるわけなどありはしなかった。

 ありはしなかったのだが……現状、そんなレベルのお話ではなかったのである。

 そう……状況は、もっと最悪!

 というのも……先ほどイノシシが突っ込んでくる際にタカトは見てしまったのだ……

 え? 何を?

 それはね……イノシシちゃんのつぶらな瞳……

 それを見た瞬間、タカトの目はイノシシちゃんの目にくぎ付けになった。

 それはもう!目と目で通じあう♡間柄かっていうぐらいwwww

 もはやアイコンタクト♡ 心の中で通じ合ったといっても過言ではないwwww

 何を隠そう!その瞬間!タカトには分かったのだ!

 イノシシの強い想いが!

 それは一途に恋焦がれる熱い思い!

 ひたすらに渇望する強い願望といってもいいだろう!

 そんなイノシシが思うのはただ一つ!

「にくぅー------------------!」

 ワンピースに出てくるルフィのごとく肉を食わせろと言っているに違いないのだ!

 ただ、残念ながら、その所望する肉は犬の肉などではない。

 そう……それは人の肉。

 それも、生気が多く宿る心臓と脳みそを食わせろと言っているのだ。

「こいつは……ま……も……の……」

 崖の上からでは気づかなかった……

 だって……イノシシの目って小さいから遠くからだと分からなかったのだ……

 でも、近づいてくる目はよく見えた。

 生存本能?

 火事場のクソ力?

 よく分からんが、ピンチになると人間の認識力は跳ね上がる!

 今まで見えていなかったものが、よりはっきりと見えるのだ。

 緑色のつぶらな瞳……

 それがちゃんとイノシシの顔に二つ付いていた。

 緑の目……それは言わずもがな魔人世界の生き物を現わしている。

 すなわち! この豚! ブタではなく魔物なのだ!

 魔物は人の脳を食って魔人へと進化する。

 それは人の姿に恋焦がれる魔物たちにとっては根源的な欲望。

 そのため、常に人を食らう事を渇望していた。

 そんな魔物の目の前に人であるタカトが無様に転がっているのだ。

 子犬からタカトへと狙いが変わるのは必然というもの。

 しかも! この豚!ただの魔物ではない! 魔豚のダンクロールだったのである!

(ちなみに、このダンクロール。制圧指標42。魔装騎兵数人がかりでの討伐が推奨されている。)


挿絵(By みてみん)


「なんだってぇぇぇぇえぇ!」

 もう、タカトじゃなくてもびっくり仰天!

 だって、ダンクロールっていったら、突進力はダンプカー並みに超強力で有名なのだ。

 もう、乗用車クラスのイノシシなんて比べ物にならない。

 その超強力な突進力で並みいる魔物を蹴散らしていく魔物の中の暴れん坊!

 そんな暴れん坊が、タカトの目の前にいるのであるwww

 もう、タカトのズボンの中の暴れん坊もシュンと縮こまって大人しくなってしまったぐらいである。

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