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願えど叶わず……欲すれど届かず……焦がれる思いは身を縛る

 というのも、高斗(タカト)が自衛隊に入ったのは軍用武器を研究するため。

 先ほどの人型装甲騎兵白虎だって高斗(タカト)のアイデアが多く組み込まれている。

 だが、そんなことで高斗(タカト)が満足するわけはない。

 毎分6,000発を発射できるというM61バルカン砲。

 それを実験用人型装甲騎兵玄武の背中から伸ばしたアームで4本持ち!

 ついでに両の手には、それぞれ一本ずつ!

 併せて6本の重機関銃が火を噴いた。

 ガガガガガガガガガ!

 みるみるうちに演習場の地形が変わっていくwwww

 カ・イ・カ・ン!

 おそらく、もう、これ以上の快感は無いだろう!と、思ったのだが……

「よし! 今度はドーン!と爆発いってみるか! 爆発wwww」

 と、超小型バンカーバスターを開発しようとしていた。

 バンカーバスター……それはアメリカ軍が開発した地下の目標を破壊するために用いられる航空機搭載爆弾の一種である。レーザー誘導地中貫通爆弾の「GBU-28」の場合、その重量は約2,268キログラム……だが、この重量では、とてもじゃないが人型装甲騎兵には装備できない。

 もっと小型に! コンパクトに!

 威力はそのままに、もっと使いやすく!

 そう考えるのは、技術者のサガ!

 あくなき探求の前に物事の善悪など些末なことだった!

 おそらく、それは、どこの世界線であっても同じこと!

 だから、高斗(タカト)は勝手に隊の予算を流用したのだ。

 だって……欲しい部品のお値段がめちゃくちゃ高かったのだから仕方ないww

 しかし……世の中……なかなか上手くいかないもの……

 事もあろうか!その流用が上官である敏子に見つかってしまったのだ。

 あれだけ巧妙に細工をしたにもかかわらず……

 敏子いわく、「それは流用ではなく!横領です!」だと……

「なんでやねん! 俺は隊のために使える武器を開発してんだぞ!」

高斗(タカト)3曹、それは分かりますが、まずは予算を通してください! それが筋というものです!」

「アホか! アイデアっていうのはな!待ってくれへんのや! まるで霧のようにふわっと浮かんではすぐ消える! だから、見えてるうちに固定化するんや! 分からんのか! この理論!」

「分かりません!」

「だから女は嫌いやねん!」

「男とか女とか関係ないでしょ!」

「いや! 男なら分かる!絶対分かる! この男のロマンが! ロマンの前に金など大した問題ではあらへん!」

「ロマンなんかどうでもいいです! とにかく、隊の規律に従ってください!」

「規律がなんや! 俺の技術者魂の前に規律なんてクソみたいなもんや!」

「ならば、その規律に従って……高斗(タカト)3曹! 当面の間、民間への出向を命じます!」

「なんでやねぇぇぇぇぇん!」


 民間に異動した高斗(タカト)3曹……もう、銃火器の開発などできはしない。

 爆発? そんなもの演習場でもない限り実験すらできない……

 ――無理ポ……もう……無理ポ……

 やけくそになった高斗(タカト)はパチンコで憂さ晴らし!

 だが、そのパチンコにも負け……人生負け組……

 だからなのか、もう、こんなものしか開発できなかったのだ……

 EBE(地球外生命体)観測装置。

 いやもしかしたら、あの時見た異質な存在。七色の髪をした女を探すためのものだったのかもしれない。

 だが、それが役に立った。

 目の前の二人の男たちは、明らかに人とは違う波長を放っていた。


 その画面が、突然大きく乱れた。

 この現象、おそらく何か別の波長が流れ込んできたにちがいない。

 ――これは歌?

 高斗(タカト)はとっさに上空を見上げる。

 そこは建設中のビルの上から伸びた鉄骨の先。

 月の光の中に一人の人影がうかんでいた。

 風に揺れる七色の髪。

 まるで宝石のように月明りを散らしながら歌っていた。


 「膝を抱えて震える心

 そんな私を照らしてくれた」


 この歌に高斗(タカト)は聞き覚えがあった。

 ――この歌は!

 そう、それは技術オタクの高斗(タカト)であっても聞いたことがある流行歌。

 だが、どう考えても、あんなビルの屋上にAQB48のメンバーがいるとは思えないのだ。

 ならば!

 ――あれは誰だ⁉


「小さな小さなマッチの炎

 触りたいけど触れない

 近くて遠い貴方の温もり」


 そして、意識の中のタカトもまた、この歌に聞き覚えがあった。

 (この歌は!)

 そう、それはまぎれもなくタカトのいた聖人世界ではやっていた流行歌。

 だが、どう考えてもこの世界にあの人がいるとは思えないのだ。

 だけど!親衛隊の補欠の補欠であるタカトが間違えるわけはない!

 見上げる先の人影は小さいけれど!

 (あれはアイナちゃん!)


「アイナや!」

「見つけたっしゅ! アイナっしゅ!」

 見上げるガイアとマッシュは大きな声をあげた。

 そして、いきなり高斗(タカト)に背を向けたかと思うと建設中のビルの入り口に向かって走り出そうとしたのだ。

 そんな二人の行動を高斗(タカト)は制止しようと手を伸ばす。

「おい待て! あの女の名前はアイナって言うのか!」

 その名前は意識の中のタカトは知っていても高斗(タカト)本人は全く知らない。

 だからこそ、今、一番欲していた情報でもあったのだ。

 さらなる情報を聞き出そうと高斗(タカト)の手がガシッとガイアの肩をつかみ引き寄せるのであるが、振り返ったガイアは先ほどまでとは打って変わって怖い表情で睨み返してきた。

「邪魔するなやァァァァァァ! この人間ふぜいぎゃぁぁぁぁぁや! マジでケツの穴から手ぇ突っ込んで脳みそチューチュー吸うたろかいヤ!」

 鬼気迫る様子。

 逆立つリーゼントから発せられる恐竜のような叫び声は周囲の空気をびりびりと震わせる。

 

 一瞬、そのプレッシャーに気おされる高斗(タカト)

 だが、ココで引き下がれば、あの少女の情報が手に入らない。

 というか、こいつら二人を、あの少女の元に近づけてはいけないと直感が叫んでいるのだ。

「いかせるかよ!」

 そんな高斗(タカト)は躊躇なく超振動チタンブレードを振りぬいた。


 まぁ、相手は多分……EBE(地球外生命体)

 人間でなければ容赦なく切りつけられるというものだ。

 おそらく、犬猫と同じく器物損壊罪ぐらいで済むだろう。

 いや、他人の所有物でないEBE(地球外生命体)をブチ殺したところで誰が罪に問えようぞ!

 否!罪には問われることなど断じてありえない!

 文句を言うとすれば、情報を取りそこなった茂武(もぶ)敏子(としこ)ぐらいのものである。

 ――ならば、ここでブッ殺しても問題なし!


 青い残光が夜道に走る!

「ぎゃぁぁぁああアア゙あ゙アア゙アあ゙あ゙あ゙アヤヤヤ!」

 それと同時に壮絶な悲鳴を上げるガイア!

 その斬撃はまるで豆腐でも切るかのようにガイアの左腕を切り落としていた。

 さすがは超振動チタンブレード! 半端ない!


 というか……容赦ない……

 人じゃないと分かっていても、相手は人型。

 少しは躊躇ってもんがあってもいいのではないだろうか。

 もしこれがタカトだったら、確実にビビって小剣なんて振りぬくことなどできなかったことだろう。

 だが、高斗(タカト)は自衛隊で訓練を受けていた。

 技術職と言えども、一通り武器の扱いは練習していたのだ。

 ――超振動チタンブレード! マジ! バネェ!

 だが、練習と言えども今まで動く肉は切ったことがなかった。

 よくて巻藁。

 いくらそんなものを切ったとしても超振動チタンブレードの切れ味なんて実感できるわけはなかったのだ。

 それが、目の前に人外のモノがいるのであるwww

 もう何をためらう必要があるというのであろうか。

「うぉりゃぁぁぁぁぁ!」

 調子に乗った高斗(タカト)は再度、腕を振り上げた!


 というか……いいのかよ……有無を言わさず切りつけたりして……

 だいたい……コイツラ……EBE(地球外生命体)というだけで、女子大生を殺害した犯人とは限らないじゃないか。

 それどころか、もしかしたら地球に友好的な種族かもしれない。

 そんな奴らを超振動チタンブレードでいきなり切りつけたりしたら……

 もう!それこそ星間戦争が起こりかねない。

 スターウォーズですよ! スターウォーズ!

 それがスタウォーズ出てくるアイソリアンのような温厚な種族であったとしても高斗(タカト)の行為にはガチで怒るに決まっている!

 ということで! 当然!


「しゅ! しゅ! とらん!ザム!しゅ!」

 怒ったマッシュの体が赤い軌跡を描いたかと思った瞬間!

 まっすぐに突き出された掌底が、今まさに剣を振り下ろそうとする高斗(タカト)の腹へと直撃していた!

 ぐはっ!

 白目をむき、唾液をまき散らす高斗(タカト)

 そのまま後方へと吹き飛んだ。

 ガシャーン!

 ゴミの山に突っ込んだ高斗(タカト)の体。

 飛び出した生ゴミがあおむけとなった体の上に飛び散っていた。

 その匂いたるや……凄まじい……納豆の匂いを凌駕する。

 だが、高斗(タカト)はすでに意識を失っているのかピクリとも動かない。

 そう、自衛隊と言えども技術職。

 本職の方々とは鍛え方が違うのだ!

 しかも!マッシュの掌底! それはまるでカタパルトで打ち出されたかのようなスピードと威力を持っていた。

 それをまともに食らったのだ。無事で済むわけがなかった。


 そんな高斗(タカト)のもとにガイアが近づく。

 そして、左腕をのばすのだ……

 って、左腕って、さっき切り落とされたはずなのでは?

 確かに、さきほど高斗(タカト)によって切り落とされていた。

 だが、その切断面から何やら青い物体が伸びてきていたのである。

「ゲルゲや!」

 ガイアの命令に従うかのように、青い物体はプニゅ~んと伸びていく。 

 それはまるで水風船のようにプルプルとした表面を震わせていた。

 というか、この青いタコの足みたいな奴がゲルゲなのか?

 まるでスライムみたい。

 だが、その細い管は高斗(タカト)へと伸びるのを拒むかのように体を横に振る。

「ゲルゲや! アイツが女じゃないからって嫌がるなや!」

 おそらく、男へと伸びることが嫌なのだろう。

 ならば、女だったらいいというのか?

 だが、そんなワガママをガイアが許すわけもなく。

「お前の欲しがっていた このリーゼントをやるから コイツのセイキを全部!吸い出して殺すんや!」

 殺すとは物騒な!

 だが、ガイアは自分の頭についていたリーゼントを掴み取るとポイっと高斗(タカト)の足元へと投げ捨てたのだ。

 というか、そのリーゼントとれるのかよwww

 取れるのだ! そして残るはツンツン頭の黒い短髪……って、そのリーゼントは、ただのカツラかよ!

 その途端、タコのように長細く伸びていたスライムはガイアの手からポトリと落ちると、まるでそのリーゼントを追うかのように体を伸ばしはじめた。

 そして、リーゼントを包み込むと嬉しそうにプルプルと揺らしはじめたのだ。

 この様子……おそらく、日頃からそのリーゼントをかなり欲していた様子とみえる。

 そうなのだ……今までのスライムは……願えど叶わず……欲すれど届かず……焦がれる思いは身を縛る……その強い一念だけで懸命にガイアに使えていたのである。

 スライムがそこまで欲するカツラとは何なんだ?

 一体、そのリーゼントに何の効果があるというのだろうか?

 だが!強い信念は自らの力を解放する!

『告! スキル「隠微(いんび)進化」を獲得しました……』

 どこからともなく某アニメ『転スラ』に出てくる大賢者様の声が聞こえてくるようなwwww

 うん? ちょっと待て!

 ここまでしっかりと読んでくださっている読者の方なら思うはず。

 そう、なんでスライムがおるんやねん!

 転スラか!

 いや! そうではない! 問題はそこではないのだ!

 ……この世界、この時間軸にスライムがいてはおかしいのだ……

 というのも、ガイア達は魔人世界の住人。そうであるならば、スライムは荒神の成れの果てに生まれるモノなのである。

 しかも、その神々はアダムの命が砕けてできたまがい物。

 それなのに、今!この時点において、かつて高斗(タカト)が見た門の向こう側、すなわち、魔人世界にはアダムがいるのである。アダムが健在である以上、成れ果てのスライムが生まれるわけはない!

 そう! このスライムはまがい物である神の成れ果てなどではない。

 ならば、もしかして、やっぱり異世界転生? 通り魔から後輩を助けようとして殺されちゃったとか?

 通り魔って 一体、誰やねんwwwもしかして、アダムとかwwww

 確かに見た目は某アニメ『転スラ』に出てくるリ〇ルのようなツルツルお肌の青いスライム。

 だからなのか……そんなツルツルお肌にリーゼントを乗っけてみたところでスライムはスライム。やはり迫力には欠けていた。

 だが言っておくが! 著作権の関係上、絶対!間違いなく!このスライムは魔人世界(?)で生まれた純粋なる魔物の一つで間違いない!

 だが、スライムはカツラをつけることで、フン!と胸を張った!(分かっているとは思うけど、このスライムはリ〇ルではなくてゲルゲですからね!)

 カツラを身に着けることによって男気?女気?まあいいや、とにかくヤル気を出したゲルゲは嫌々ながらも高斗(タカト)のズボンの裾から入りこむ。そして、男の股をまさぐり始めたのだ。

 もしかして……男の股間にあるセイキってあれの事ですかね⁉

 ダ〇コン? ダイコン?

 いやいや、タカトのダイコンはミニ大根www

 いや、今は高斗(タカト)の体だったか。

 ならば、高斗(タカト)のダイコンは……大人の大根?

 それを吸うって……もしかして、フ〇ラチオ? それは!インビや! 淫靡!

 あかんって! もしそんなことしたら!この小説18禁指定受けてしまうやないかい!

 だが、ご心配には及ばず!

 なぜか長細い管は高斗(タカト)の前にあるダイコンではなく、その後ろにある谷へと伸びていったのだ。

 そう、そこは小汚いケツ峡谷! そして、その先にあるのはダンジョンの入り口となっている小門ではなくケツの門である!

 確か……ケツの穴はセイキには含まれなかったような気がするのだが……まぁ、いいかぁwww



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